特定技能「介護」は5年後どうなる?介護福祉士国家試験の申込開始と在留資格「介護」への道
厚生労働省は2026年7月21日、第39回介護福祉士国家試験の実施概要を公表しました。
翌22日には受験申込みが始まり、受付期限は9月2日午後11時59分59秒、試験日は2027年1月31日です。
申込みはインターネットで行い、受験手数料の支払いまで期限内に終えなければ申込みは無効になります。
一見すると、これは資格試験の日程に関するお知らせです。
ただ、特定技能1号「介護」で働く外国人と受入施設にとっては、今後も日本で働き続けられるかを左右する在留資格のニュースでもあります。
この記事のポイント

・特定技能1号の在留期間は原則として通算5年まで
・介護福祉士の資格を取得すれば、在留資格「介護」への変更を目指せる
・一定のパート合格者には最長1年の延長措置があるが、自動的に延長されるわけではない
・5年目の延長措置を利用する場合、過去にパート合格があっても全パート受験が必要
・外国籍の受験者向け配慮も、受験申込みの途中で申請する必要がある
介護分野には「特定技能2号」がない

特定技能1号は、原則として通算5年を超えて在留できません。多くの分野では、熟練した技能を身につけて特定技能2号へ移行する道がありますが、介護分野は2号の対象外です。
その代わり、介護福祉士の国家資格を取得した人には、在留資格「介護」への変更という道が用意されています。
2020年4月の基準改正により、養成施設を卒業した場合に限らず、実務経験ルートなど、介護福祉士資格を取得したルートを問わず対象となりました。
在留資格「介護」には、特定技能1号のような通算5年の上限はありません。
介護福祉士として長く働きたい本人にとっても、経験を積んだ職員に定着してほしい施設にとっても、国家試験は単なる資格取得ではなく、将来の在留設計そのものです。
受験資格は「3年働けばよい」だけではない

特定技能外国人が実務経験ルートで受験する場合、原則として従業期間3年以上、具体的には1,095日以上で、実際に介護業務へ従事した日数が540日以上必要です。
これに加えて、実務者研修を修了していることも求められます。
2027年3月31日までにこれらの要件を満たす見込みであれば、見込みの状態で申し込める場合があります。
ただし、後日、確定した証明書を期限までに提出できなければ試験が無効になることがあります。
現場では「来日からそろそろ3年だから受けられるだろう」と考えがちですが、来日年月、就労開始日、休職期間、従事日数、実務者研修の修了時期は別々に確認しなければなりません。
ここは施設側が早めに一覧化しておきたいところです。
5年目は「不合格パートだけ受験」が落とし穴になる

介護福祉士国家試験では、第38回試験から試験科目をA・B・Cの3パートに分けるパート合格制度が導入されました。
合格したパートは翌年と翌々年の受験が免除されます。
第39回試験では、対象者は全パートを受け直すか、不合格パートだけを受けるか選択できます。
ところが、特定技能1号の通算在留期間を最長1年延長する措置を利用する場合には注意が必要です。
厚生労働省のQ&Aは、5年の通算在留期間に達する前の最終年度の試験では、過去に合格したパートがあっても全パートを受験するよう示しています。
延長措置の主な条件は、最終年度の試験で1パート以上に合格し、総得点がその年の合格基準点の8割以上であること、翌年度も合格を目指す意思があること、受入施設等が学習計画を作成して支援することなどです。
要件を満たしたうえで、まず厚生労働省の確認を受け、その結果を添えて地方出入国在留管理局へ在留期間更新許可申請を行います。
つまり、パート合格による免除を使える人でも、申込画面で「不合格パートのみ」を選ぶと、5年目の延長措置の対象から外れる可能性があります。
申込み後に受験パートは変更できません。
本人だけに手続きを任せず、施設、登録支援機関、在留手続の担当者が通算在留期間を確認したうえで、一緒に選択する必要があります。
なお、この延長措置はあくまで再挑戦のための例外であり、「介護分野の特定技能1号が一律6年になった」という制度改正ではありません。
外国籍受験者への配慮も申込時に選ぶ

外国の国籍を有する人や日本に帰化した人は、申請により、すべての漢字にふりがなが付いた問題用紙と通常の1.5倍の試験時間を利用できます。
この配慮は自動的に付くものではなく、インターネットによる受験申込みの途中で希望申請を行います。
初めて申請する場合は、在留カードの写しなど、外国の国籍を確認できる書類のアップロードも必要です。
日本語の試験だから本人の努力次第、と片付けるのは少し違うと感じます。
申込みの確認、学習時間の確保、実務者研修との両立、試験後の在留手続まで含めて、受入施設の人材育成方針が問われています。
受入施設が9月2日までに確認したいこと

まずは、特定技能1号「介護」で勤務する全職員について、就労開始日ではなく「特定技能1号としての通算在留期間」を確認します。
そのうえで、受験資格、実務者研修の修了状況、過去のパート合格、今回が5年目の最終年度に当たるかを整理します。
合格後は介護福祉士の登録と在留資格「介護」への変更を進め、延長措置を利用する可能性がある人については、合格発表を待ってから動くのではなく、学習計画や確認依頼書類を事前に準備しておくことが現実的です。
特定技能人材の受入れは、入国時の申請が終点ではありません。
3年目に受験資格を整え、5年目までに国家資格と次の在留資格へつなぐ。そこまでを採用計画に入れて初めて、長期雇用の設計になります。
在留資格「介護」への変更、特定技能1号の通算在留期間、延長措置の対象判断は、本人の職歴や在留履歴によって結論が変わります。申込区分を確定する前に、早めに専門家へ確認することをおすすめします。
4.記事末尾の整理
【結論】

第39回介護福祉士国家試験の申込開始は、特定技能1号「介護」の外国人にとって、5年後の在留を考える重要な節目です。
特に5年目の延長措置を見込む場合は、過去にパート合格があっても全パート受験が必要です。施設側が通算在留期間と受験内容を確認し、本人任せにしない運用が求められます。
【根拠】
第39回試験の申込期間は2026年7月22日から9月2日まで、試験日は2027年1月31日です。特定技能1号は原則通算5年が上限です。
厚生労働省は、5年目の国家試験で一定のパート合格・得点要件等を満たす場合の最長1年の延長措置と、その手続きを公表しています。
【注意点・例外】
延長措置は自動ではなく、一律に特定技能1号の上限を6年へ変更するものでもありません。
受験資格の見込み、通算在留期間、受験パート、学習計画、在留期限と合格発表日の前後関係によって対応が異なります。個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
【出典】
一次情報
・厚生労働省「第39回介護福祉士国家試験の施行について」
・社会福祉振興・試験センター「令和8年度 第39回介護福祉士国家試験」
・厚生労働省「特定技能1号の通算在留期間の延長に関する措置」
・出入国在留管理庁「通算在留期間」
・出入国在留管理庁「在留資格『介護』」
・社会福祉振興・試験センター「パート合格のお知らせ」
参考情報
・外国人雇用新聞「介護福祉士国家試験、受験申込開始!―特定技能『5年目』を分ける6週間」
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