日本人1億2,000万人割れ、外国人住民400万人超え――この数字をどう読むか
この記事のポイント

日本人住民は約91万7,000人減少する一方、外国人住民は約35万4,000人増加しました。
ただし、外国人住民の増加によって日本の人口減少が解決したわけではありません。国内の総人口は、なお約56万3,000人減っています。
今回の統計が示しているのは、「外国人を受け入れるかどうか」という段階を越え、すでに日本各地で暮らす住民として受入れ後の制度を考える必要があるという現実です。
42年ぶりの「1億2,000万人割れ」

総務省が2026年7月29日に公表した住民基本台帳人口によると、2026年1月1日現在の日本人住民は1億1,973万6,483人でした。
前年から91万6,744人減少し、42年ぶりに1億2,000万人を下回っています。
一方、外国人住民は35万3,696人増の403万1,159人となり、初めて400万人を超えました。外国人住民が総人口に占める割合は3.26%、およそ31人に1人です。
両者を合わせた国内の総人口は1億2,376万7,642人で、前年より56万3,048人減少しました。
総務省の公表資料を見ると、日本人住民の減少を外国人住民の増加が約39%補った計算になります。
ここは丁寧に見る必要があります。
外国人住民が増えているため、日本の人口減少が止まったわけではありません。
ただ、外国人住民が増えていなければ、人口減少幅はさらに大きかったことも事実です。
「外国人が増えた」と「日本の人口が減った」は、矛盾せず同時に進んでいます。
外国人住民403万人は「外国人労働者403万人」ではない

今回の数字は、住民基本台帳に記録されている外国人住民の数です。
就労している人だけでなく、永住者、配偶者、留学生、子どもなども含まれています。
短期滞在者や、住民基本台帳に記録されない外国人は原則として含まれません。
厚生労働省の外国人雇用状況届出によると、2025年10月末時点の外国人労働者は257万1,037人でした。こちらも過去最多ですが、基準日と集計対象が異なるため、403万人から単純に差し引くことはできません。
厚生労働省の外国人雇用統計と今回の人口統計は、そもそも別のものです。
外国人に関する議論では、「在留外国人」「外国人住民」「外国人労働者」「外国人旅行者」が混同されがちです。
数字の定義が曖昧なままでは、受入れ人数の議論も感情的になってしまいます。
何の人数を話しているのか。まず、そこを揃えなければなりません。
外国人住民は47都道府県すべてで増加

今回、外国人住民は47都道府県のすべてで増加しました。
もはや東京や大阪などの大都市だけの話ではありません。
地方の製造業、建設業、介護、農業、宿泊・飲食業などでも、外国人材が現場を支える場面は珍しくなくなりました。
行政書士として外国人雇用の相談に関わっていると、企業の関心はどうしても「どの在留資格なら採用できるか」「いつから働けるか」に集中します。
もちろん、最初の確認としては重要です。
しかし、採用後には住居、通勤、日本語、医療、税金、社会保険、在留期間の更新、家族の在留資格、子どもの教育といった生活上の課題が続きます。
許可が出たところがゴールではありません。むしろ、日本での生活はそこから始まります。
受入れ体制が弱ければ、せっかく採用しても短期間で転職や帰国につながります。
企業にとっても地域にとっても、「採用できた人数」より「安心して働き続けられる人数」の方が大切になってくるはずです。
「人手不足の穴埋め」だけでは長く続かない

外国人材を単なる人手不足対策として扱う考え方には、限界があります。
企業側は、業務内容と在留資格の適合性を確認するだけでなく、同じ仕事をする人との待遇のバランス、理解できる言葉での労働条件の説明、相談体制、キャリア形成まで考える必要があります。
外国人本人にも、在留資格に応じた活動を守り、税金や社会保険料を適切に納付し、期限管理を行う責任があります。
受入れ企業、外国人本人、支援機関、行政のいずれか一つだけに責任を負わせても、制度は安定しません。
現在の外国人政策では、不法滞在や不法就労への対応、在留管理の厳格化が強く打ち出されています。適正な管理は必要です。
ただし、取締りを強化する一方で、審査体制、相談窓口、日本語教育、学校や医療の受入れ環境が追いつかなければ、その負担は企業と外国人本人、そして自治体に残されます。
秩序ある受入れとは、入口を狭くすることだけではないと思います。
適切に受け入れ、ルールを説明し、守れる環境を整え、違反には対応する。その一連の仕組みが必要です。
400万人という数字が私たちに問いかけるもの

外国人住民403万人という数字を、「多すぎる」「まだ少ない」という賛否だけで見るべきではありません。
すでに日本で働き、税や社会保険料を負担し、地域で生活し、子どもを育てている外国人がいます。一方で、在留資格や雇用環境が不安定なため、定着できずに日本を離れる人もいます。
日本人住民が年間90万人を超える規模で減っている中、外国人を労働力として呼びながら、生活者としての受入れを後回しにすることは難しくなっています。
外国人の増加だけで人口減少は解決しません。
それでも、これからの地域社会や企業経営を考えるうえで、外国人住民の存在を外して議論することもできません。
問われているのは受入れの賛否ではなく、どのようなルールで受け入れ、どのように適正な雇用と地域生活を支えるのかです。
在留資格申請や外国人雇用は、採用予定の業務内容、本人の経歴、在留資格、家族構成などによって判断が変わります。
受入れ後の定着まで含めて、早い段階から専門家へ相談することをおすすめします。
4.記事末尾の整理
【結論】
外国人住民の増加は日本の人口減少を一定程度補っていますが、人口減少そのものを解決してはいません。外国人を労働力としてだけでなく、地域で暮らす住民として支える制度設計が必要です。
【根拠】
2026年1月1日現在、日本人住民は1億1,973万6,483人、外国人住民は403万1,159人、国内総人口は1億2,376万7,642人です。
外国人住民は前年比35万3,696人増加しましたが、総人口は56万3,048人減少しています。
2025年10月末時点の外国人労働者は257万1,037人であり、外国人住民数とは集計対象が異なります。
【注意点・例外】
住民基本台帳上の外国人住民数と、出入国在留管理庁が公表する在留外国人数、厚生労働省の外国人労働者数は、基準日と対象範囲が異なります。
外国人住民の増加だけから、将来の定住意思、労働力への貢献、社会保障への影響を断定することはできません。
在留資格や外国人雇用の可否は、個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
【出典】
一次情報
総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和8年1月1日現在)」
e-Stat「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」
厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」
出入国在留管理庁「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」
参考情報
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