企業の5割が正社員不足|外国人採用を「人数合わせ」で終わらせないために
この記事のポイント

・正社員不足を感じる企業は51.3%となり、人手不足倒産も過去最多のペースで増えている
・人手不足であっても、外国人がどの仕事でもできるわけではない
・外国人採用は、人を探す前に「任せる業務」と「在留資格」を整理する必要がある
・採用後の定着には、待遇、評価、教育、生活支援まで含めた受入れ設計が欠かせない
正社員不足を感じる企業が51.3%に

帝国データバンクが2026年8月17日に公表した「人手不足に対する企業の動向調査」によると、7月時点で正社員の不足を感じている企業は51.3%でした。
7月としては4年連続で半数を超えています。
調査対象は全国2万2,350社で、有効回答は1万518社でした。
非正社員について不足を感じている企業は28.8%となっています。
業種別では、正社員不足の割合が最も高かったのは金融の67.1%でした。
建設が66.0%、運輸・倉庫が65.6%と続きます。
金融が最も高いという結果は、人手不足が単純な「作業する人の不足」だけではないことを示しています。
M&A、事業承継、DXなどを担える専門人材も足りていません。
建設や運輸では、現場を支えてきた世代の高齢化や引退が進んでいます。
つまり、今起きているのは人数の不足だけでなく、知識や経験、技能の空白でもあります。
人手不足が事業継続の問題になっている

2026年上半期の人手不足倒産は227件に達し、上半期として過去最多を更新しました。
建設業が65件で最も多く、サービス業が59件、運輸・通信業が38件となっています。
仕事がないのではありません。
仕事はあるのに、人がいないため受注できない。受注しても人件費や外注費が上昇し、利益を確保できない。そうした状況が現実の倒産につながっています。
同調査には、新潟県の警備関連企業からも、人手不足による売上減少に加え、人件費などの上昇を十分に価格転嫁できていないという趣旨の声が掲載されています。
人手不足は、もはや採用担当者だけの課題ではありません。受注、価格、技術承継、事業継続を含む経営課題になっています。
外国人材はすでに特別な存在ではない

厚生労働省の最新集計によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人で、過去最多となりました。
外国人を雇用する事業所も37万1,215所に達しています。
特に「専門的・技術的分野の在留資格」で働く外国人は86万5,588人となり、在留資格別で最も多くなりました。
外国人雇用は、一部の大企業だけが行う特別な採用ではなくなっています。地方の中小企業にとっても、現実的な選択肢の一つです。
ただし、帝国データバンクの調査は、外国人雇用によって人手不足が解消することを示したものではありません。
両者に直接の因果関係があるとまでは断定できません。
外国人材は重要な選択肢ですが、採用すれば自動的に人手不足が解決するわけではないのです。
「正社員として採用する」だけでは足りない

実務でよくあるのが、「正社員として雇うので、就労ビザは取れますか」というご相談です。
しかし、正社員という雇用形態だけで、従事できる仕事の範囲が広がるわけではありません。
外国人は、原則として在留資格で認められた範囲内で働く必要があります。
例えば、建設会社の仕事でも、現場での施工業務と、設計、CAD、積算、技術管理では、検討する在留資格が異なります。
設計や技術開発など、専門的な知識を必要とする業務であれば「技術・人文知識・国際業務」に該当する可能性があります。
一方、建設現場での作業を主な業務とする場合は、通常、特定技能など別の制度を検討しなければなりません。
飲食店でも同様です。接客や調理を主な仕事とする場合、「技術・人文知識・国際業務」での採用は通常困難です。
特定技能「外食業」や、就労制限のない身分に基づく在留資格などを確認することになります。
人手不足であることは、在留資格の要件を緩和する理由にはなりません。
人を探す前に、仕事を分けて考える

外国人採用で失敗しやすいのは、先に人を探し、採用を決めてから在留資格を考えるケースです。
本来は、次の順番で整理する必要があります。
1.実際に任せる仕事を具体化する
職種名だけでは足りません。日々の業務、勤務場所、現場作業の割合、将来の配置まで確認します。
申請書上では「技術管理」としながら、実際には現場作業だけをさせるような運用はできません。
2.本人の経歴と在留資格を照合する
学歴、専攻、実務経験、技能試験、日本語能力など、必要な要件は在留資格によって異なります。
同じ仕事でも、本人の経歴によって申請できる在留資格や許可の可能性が変わります。
3.採用後の定着まで設計する
厚生労働省の外国人雇用管理指針では、社内規程などの多言語化、評価や待遇の透明性、日本語学習、生活支援、相談体制の整備などが示されています。
現場では、仕事内容の説明不足や評価基準の不明確さが、早期離職の原因になることがあります。「言わなくても分かるだろう」が通じにくい場面も少なくありません。
外国人だから特別扱いをするという話ではなく、誰が働いても分かりやすい職場へ整えることが大切です。
外国人採用を技術承継につなげられるか

今回の調査で特に気になったのは、知識や経験を持つ世代の高齢化と引退です。
外国人材を、一時的に空いた穴を埋める人として採用するだけでは、数年後に同じ問題が起こります。
経験豊富な社員がいる間に、作業手順を文書や動画に残す。外国人社員にも段階的に技能を伝える。資格取得や昇給、将来の役職まで見えるようにする。
こうした取組みがあって初めて、外国人採用が技術承継や事業継続につながります。
人手不足の数字が大きくなるほど、企業は採用を急ぎたくなります。
ただ、外国人採用は「明日から来てもらう」という種類の人手不足対策ではありません。業務設計、募集、選考、在留資格申請、住居や受入れ準備には時間がかかります。
だからこそ、まだ何とか回っている段階から準備を始める必要があります。
在留資格申請や外国人雇用の判断は、職種名だけでなく、実際の業務内容、本人の経歴、企業の受入れ体制によって結論が変わります。
外国人採用を検討している場合は、採用を確定する前の段階で専門家へ確認することをおすすめします。
4. 記事末尾の整理
【結論】
正社員不足は企業の半数を超え、人手不足が事業継続を左右する段階に入っています。外国人採用は有力な選択肢ですが、単なる人数合わせでは解決しません。業務内容と在留資格を対応させ、採用後の教育、評価、生活支援、技術承継まで設計することが重要です。
【根拠】
・2026年7月時点で、正社員不足を感じる企業は51.3%
・2026年上半期の人手不足倒産は227件で、上半期として過去最多
・2025年10月末時点の外国人労働者は257万1,037人
・外国人は、原則として在留資格で認められた範囲内で就労する必要がある
・外国人雇用管理指針では、適切な人事管理、教育訓練、生活支援、相談体制などが示されている
【注意点・例外】
・人手不足であることだけを理由に、在留資格が許可されるわけではありません
・同じ業種でも、実際の業務内容によって該当する在留資格が異なります
・永住者、日本人の配偶者等など、原則として就労活動に制限のない在留資格もあります
・特定技能では、分野、業務区分、技能・日本語要件、雇用条件、支援体制などの確認が必要です
・個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です
【出典】
一次情報:
・厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)
・厚生労働省「外国人の雇用」
・厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」
・出入国在留管理庁「在留資格一覧表」
・出入国在留管理庁「特定技能制度」
民間調査・参考情報:
・帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」
・日本経済新聞「企業の5割『正社員の人手不足』実感 7月、帝国データ調べ」
特定技能ビザをはじめとする各種ビザ・在留資格のご相談や代行申請はホームページのお問い合わせフォームをはじめ、お電話・LINE・Facebook・Instagramからもお問い合わせが可能です。
また、当事務所のYouTubeチャンネル「ビザ新潟ちゃんねる」も更新中です。興味のある方はYouTubeもぜひのぞいてみてください。
ビザ新潟ちゃんねる
以上、新潟市のビザ専門行政書士事務所、Asocia行政書士法務事務所でした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
新潟のビザ・入管業務のことならお任せ下さい。
ビザの相談・申請代行専門
Asocia行政書士法務事務所
新潟県初の登録支援機関(19登-000085)
代表行政書士 播磨 史雄
住所:新潟市西区平島2丁目13-11 2F
℡:025-201-7514
mail:info@fumio-h-office.com
総合ホームページ:https://fumio-h-office.com/
新潟ビザ相談センター:https://visa-asocia.com/
新潟県お酒の販売許可申請代行センター:https://www.sakemenkyo.com/
一般社団法人設立専門ページ:https://niigata-syadan.com
新潟成年後見相談センター:http://www.niigata-seinenkouken.com/
LINEからの相談は『24時間365日』受け付けています。
【※ご注意】ご依頼に関する相談料は初回無料ですが、ブログ記事に内容に関するご質問やご依頼に関係ないご相談は有償となります。
友達追加してお気軽にご相談ください。
対応エリア
新潟県全域・福島県全域・山形県全域
上記エリア以外でも当事務所はオンライン申請に対応しております。

