2027年4月から旧技能実習修了者の試験免除が終了|特定技能1号への移行で注意すべき点
この記事のポイント

- 変更対象は、技能実習修了者の全員ではない
- 旧制度の修了者は、2027年4月以降、技能試験と日本語試験の両方が必要になる
- 基準となるのは原則として申請日ではなく、上陸許可や在留資格変更許可を受ける時期
- 昔の技能実習生を呼び戻す企業は、早めの確認が必要
「技能実習修了者の試験免除がなくなる」は正確ではない

出入国在留管理庁は、技能実習法施行前の「技能実習」などを修了した人が「特定技能1号」へ移行する場合の取扱いを公表しました。
今回の情報を一見すると、「技能実習を修了しても、今後は特定技能の試験が免除されなくなる」と受け取ってしまうかもしれません。
しかし、これは正確ではありません。
対象となるのは、現在の技能実習修了者全般ではなく、かなり前の制度の下で技能実習を修了した人です。ここを取り違えると、現役の技能実習生や受入れ企業に不要な混乱を生じさせます。
変更の対象となるのは誰か

今回の変更対象は、次のいずれかに該当する人です。
- 平成29年11月1日の技能実習法施行前の在留資格「技能実習」を良好に修了した人
- 平成22年7月1日の在留資格「技能実習」創設前に、在留資格「特定活動(技能実習)」を良好に修了した人
つまり、現在の技能実習法に基づく技能実習2号の良好修了者について、試験免除が一律に廃止されるわけではありません。
2027年4月1日以降も、技能実習法に基づく技能実習2号を良好に修了し、実習で修得した技能と特定技能で従事する業務との関連性が認められる場合は、試験免除の取扱いが維持されます。
対象者を判断する際は、「昔、技能実習生として日本にいた」という本人の記憶だけでは足りません。
在留歴、当時の在留資格、修了時期、技能実習の職種・作業などを資料で確認する必要があります。
2027年4月1日から何が変わるのか

旧制度の技能実習を良好に修了した人について、変更前後を整理すると次のようになります。
| 特定技能の業務との関連性 | 2027年3月31日まで | 2027年4月1日以降 |
|---|---|---|
| 関連性がある | 技能試験・日本語試験ともに免除 | 技能試験・日本語試験ともに合格が必要 |
| 関連性がない | 技能試験は必要、日本語試験は免除 | 技能試験・日本語試験ともに合格が必要 |
これまでは、昔の技能実習を良好に修了していれば、関連する特定技能分野へ移行する際に技能試験と日本語試験の両方が免除されていました。
関連性がない分野へ移行する場合でも、日本語試験については免除されていました。
この経過的な取扱いが、2027年3月31日で終了します。
2027年4月1日以降は、旧制度の技能実習を良好に修了していても、それだけでは現在の技能及び日本語能力を証明したことにはなりません。
注意したいのは「申請日」ではないこと

実務上、最も注意したいのが適用時期です。
入管庁の案内では、「令和9年4月1日以降に上陸許可等を受ける場合」とされています。
したがって、2027年3月31日までに在留資格認定証明書交付申請を提出しておけば、従来の試験免除が適用されるとは限りません。
海外から呼び寄せる場合は、在留資格認定証明書の交付だけでなく、査証取得を経て、原則として2027年3月31日までに上陸許可を受ける必要があります。
国内で特定技能1号へ変更する場合も、申請日ではなく許可日を念頭に置く必要があります。
審査が長期化した場合や、在留資格認定証明書の交付後に査証手続が遅れた場合には、上陸が2027年4月1日以降になることも考えられます。
「3月中に申請すれば間に合う」というスケジュールでは、かなり危険です。
元技能実習生の呼び戻しに影響する

行政書士の実務で想定されるのは、過去に技能実習を修了して帰国した人を、特定技能外国人として再び採用するケースです。
企業からは、「以前働いていた実習生が優秀だったので、もう一度呼びたい」という相談があります。本人の性格や仕事ぶりが分かっており、日本での生活経験もあるため、企業にとっては安心感のある採用方法です。
ところが、対象者が旧制度の修了者で、入国が2027年4月1日以降になる場合は、本人に技能試験と日本語試験の両方を受験してもらわなければなりません。
帰国から長期間が経過している場合、日本語を使う機会が減っていることもあります。技能試験についても、本人の居住国で希望する分野の試験が実施されているとは限りません。
制度上は「試験を受ければよい」という話ですが、実際には試験日程、開催国、合格発表、雇用契約、支援計画、在留資格認定証明書交付申請、査証申請までを逆算する必要があります。
受入れ企業が今から確認しておきたいこと

過去の技能実習生を特定技能1号として採用する予定がある企業は、次の順番で確認することをおすすめします。
- 対象者がどの時期の制度で技能実習を修了したのか
- 技能実習2号を良好に修了したことを証明できる資料があるか
- 技能実習の職種・作業と、予定する特定技能の業務に関連性があるか
- 2027年3月31日までに上陸許可等を受けられる見込みがあるか
- 間に合わない場合に備えて、技能試験と日本語試験を受験できるか
早めに申請することは大切ですが、入国時期を完全にコントロールすることはできません。そのため、申請準備と並行して試験受験の可能性も検討しておく方が安全です。
制度改正は「新しい制度」だけを見てはいけない

今回の変更は、2027年4月1日に施行される育成就労制度を含む改正法と、それに伴う上陸基準省令の改正によるものです。
入管庁の公表資料には、なぜ旧制度修了者の試験免除を終了するのか、詳しい理由までは記載されていません。
制度改正というと、新たに始まる育成就労制度へ目が向きがちです。
しかし、実務では過去の制度に設けられていた経過措置が終了することも、同じくらい重要です。
昔の技能実習生だからこそ安心して採用できる。そう考えて連絡を取ったところ、入国時期によって試験が必要になっていた。このような事態は十分に起こり得ます。
在留資格の手続は、提出日だけでなく、いつ許可を受けるのかまで考えて進める必要があります。
過去の技能実習生の再雇用や、特定技能1号での呼び戻しを検討している場合は、対象者の在留歴と制度上の位置付けを早めに確認することをおすすめします。
4. 記事末尾の整理
【結論】
2027年4月1日以降、技能実習法施行前の旧制度の技能実習などを修了した人が特定技能1号へ移行する場合は、技能試験と日本語試験の両方への合格が必要になります。
ただし、現在の技能実習修了者全般について試験免除が廃止されるわけではありません。
【根拠】
- 令和6年法律第60号の施行日は、原則として2027年4月1日
- 令和7年法務省令第45号により、上陸基準省令などが改正
- 入管庁が旧制度の技能実習修了者に対する試験免除の終了を明示
【注意点・例外】
- 基準となるのは、単純な申請日ではなく上陸許可等を受ける日
- 在留資格認定証明書が2027年3月31日までに交付されても、上陸が同年4月1日以降になる場合は注意が必要
- 技能実習法に基づく技能実習2号の良好修了者は、今回の変更対象ではない
- すでに特定技能1号へ移行している人の更新時に、一律に試験合格を求めるとの告知ではない
- 「上陸許可等」の具体的な適用は申請類型により確認が必要
- 個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要
【出典】
一次情報
- 出入国在留管理庁「技能実習法施行以前の『技能実習』等を修了した者が『特定技能1号』に移行しようとする場合の取扱いについて」
- 出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」
- 衆議院「出入国管理及び難民認定法及び技能実習法の一部を改正する法律」
特定技能ビザをはじめとする各種ビザ・在留資格のご相談や代行申請はホームページのお問い合わせフォームをはじめ、お電話・LINE・Facebook・Instagramからもお問い合わせが可能です。
また、当事務所のYouTubeチャンネル「ビザ新潟ちゃんねる」も更新中です。興味のある方はYouTubeもぜひのぞいてみてください。
ビザ新潟ちゃんねる
以上、新潟市のビザ専門行政書士事務所、Asocia行政書士法務事務所でした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
新潟のビザ・入管業務のことならお任せ下さい。
ビザの相談・申請代行専門
Asocia行政書士法務事務所
新潟県初の登録支援機関(19登-000085)
代表行政書士 播磨 史雄
住所:新潟市西区平島2丁目13-11 2F
℡:025-201-7514
mail:info@fumio-h-office.com
総合ホームページ:https://fumio-h-office.com/
新潟ビザ相談センター:https://visa-asocia.com/
新潟県お酒の販売許可申請代行センター:https://www.sakemenkyo.com/
一般社団法人設立専門ページ:https://niigata-syadan.com
新潟成年後見相談センター:http://www.niigata-seinenkouken.com/
LINEからの相談は『24時間365日』受け付けています。
【※ご注意】ご依頼に関する相談料は初回無料ですが、ブログ記事に内容に関するご質問やご依頼に関係ないご相談は有償となります。
友達追加してお気軽にご相談ください。
対応エリア
新潟県全域・福島県全域・山形県全域
上記エリア以外でも当事務所はオンライン申請に対応しております。

