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TOP > コラム > 在留手続き手数料が大幅引き上げへ|更新・変更・永住申請への影響を行政書士が解説

在留手続き手数料が大幅引き上げへ|更新・変更・永住申請への影響を行政書士が解説

2026.07.04
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在留手続き手数料の大幅引き上げ案が示されました

出入国在留管理庁は、在留資格の変更・在留期間更新・永住許可などに関する手数料の見直しについて、政令案等のパブリックコメントを開始しました。

e-Govでは、関係政令案の意見募集が2026年7月3日に公示され、受付締切は2026年8月3日0時と表示されています。実務上は、8月2日中が提出期限と考えて動くのが安全です。

報道によれば、在留資格の変更・期間更新は、現在の6,000円から、在留期間に応じて1万円から7万5,000円まで引き上げる案とされています。

永住許可については、現行1万円から20万円へ引き上げる案です。
TBSの報道でも、入管庁が7月3日に政令案を公表し、更新・変更手数料を最大7万5,000円、永住許可を20万円とする方向で、10月1日からの引き上げ予定と報じています。

今回の話は、単なる「印紙代が上がる」という話にとどまりません。在留資格の更新は、日本で暮らす外国人にとって生活の基盤そのものです。

企業にとっても、外国人従業員の雇用継続に直結します。

金額だけを見ると行政手数料の改定ですが、実務上は「日本で働き続けるコスト」「家族で暮らし続けるコスト」が大きく変わる制度改正です。

なぜここまで大きな引き上げになるのか

今回の改定の背景には、令和8年入管法等改正があります。

出入国在留管理庁の公表情報では、同改正法は2026年5月29日に成立し、6月5日に公布され、JESTAの創設や在留資格変更等に係る手数料上限額の引き上げ等を内容とするものとされています。

法律上の上限については、在留資格変更・在留期間更新は10万円、永住許可は30万円まで引き上げる枠組みが議論されてきました。

東京弁護士会の会長声明でも、現行法上の手数料上限1万円を、変更・更新は10万円、永住許可は30万円へ引き上げる内容であること、衆議院法務委員会での説明として、3か月以下は1万円程度、5年は7万円程度、永住許可は20万円程度とする方針が示されたことが整理されています。

入管庁側は、公正な出入国在留管理や受入れ環境整備に要する費用を、在留外国人にも一定程度負担してもらうという考え方をとっていると見られます。
ただ、ここで慎重に見なければならないのは、「負担能力のある人」と「更新しなければ在留資格を失う人」が同じ制度の中にいることです。

たとえば、企業の役員や高度人材であれば、数万円の増加は負担として吸収できるかもしれません。一方で、留学生、家族滞在、短期の特定活動、難民認定申請中の人、子どもを含む家族世帯にとっては、更新のたびに数万円単位の支出が発生することは重い。

家族4人で同時に更新する場合、単純計算でも負担は一気に膨らみます。

減額・免除制度はあるが、対象はかなり限定的に見える

今回の政令案と並行して、「在留許可手数料の減額対象者のガイドライン案」も公表されています。このガイドライン案は、経済的困難その他特別の理由により手数料を減額または免除することが相当な者について、政令で定める対象者を示すものです。

ただし、誰でも「生活が苦しい」と言えば減額される制度ではなさそうです。
公表資料では、生活保護法上の要保護者に準ずる程度に生活に困窮していることに加え、人道上の配慮をする必要があることの双方に該当する場合に、減額対象者になり得ると整理されています。

対象例としては、難民等の認定を受けた者、人道的配慮を理由に特定活動への変更を受ける者、本国情勢不安を理由に特定活動への変更を受ける者、人身取引等の被害者、児童養護施設等に入所している外国人、指定難病の患者や特別障害者等が挙げられています。

永住許可については、日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子等に限り、減額対象となり得るとの記載もあります。

行政書士の実務感覚でいうと、この減額制度は「一般的な低所得者対策」というより、人道上の配慮が強く求められる一部のケースを救済する制度に近い印象です。

通常の就労ビザ、留学、家族滞在、経営・管理、特定技能などで在留する人が、単に生活費が厳しいという理由だけで広く減額される制度になるかは、現時点では断定できません。

企業と外国人本人が今から確認すべきこと

申請の時期を確認する

まず確認すべきは、次回の在留期限です。今回の改定案では、2026年10月1日からの申請分に新料金を適用する予定と報じられています。
したがって、在留期限が近い人については、いつ申請できるのか、10月前に申請可能なのかを早めに確認する必要があります。

ただし、無理に前倒しすればよいという単純な話ではありません。

更新申請は、原則として在留期間満了日の3か月前から行う運用です。個別事情によって申請可能時期や提出資料は変わるため、早期申請が可能かどうかは案件ごとに確認が必要です。

会社負担にするか本人負担にするか

外国人雇用の現場では、在留資格更新の手数料を誰が負担するかも問題になります。

手数料の負担は外国人側にあり、常に会社負担と決まっているわけではありません。
しかし、採用時に会社が「ビザ更新はサポートする」と説明していた場合や、会社都合の配置・職務変更に伴う申請である場合、本人に全額負担させることが妥当かは慎重に考えるべきです。

特に特定技能や技能実習からの移行、家族帯同を予定する高度人材、長期雇用を前提に採用した外国人材については、企業側の福利厚生・雇用管理の一部として、手数料負担のルールを明文化しておくことをおすすめします。

永住申請は「出せるうちに出す」だけでは危ない

永住許可の20万円案は、非常にインパクトがあります。そのため、「値上げ前に永住申請を急ぎたい」という相談は増えると思います。

ただ、永住申請は、出せばよいという申請ではありません。

収入、納税、年金・健康保険、在留状況、家族構成、出国日数、身元保証人などを総合的に見られます。準備不足のまま急いで出すと、不許可歴だけが残り、次回申請の説明が難しくなることもあります。

費用負担を避けたい気持ちは自然です。し

かし、永住申請では「今出せるか」ではなく、「今、許可を狙える状態か」を見る必要があります。

手数料改定は、在留管理の厳格化と一体で考えるべきです

近年の入管実務では、永住許可、経営・管理、特定技能、在留カード、税・社会保険情報との連携など、全体として在留管理を厳格化する流れが続いています。

今回の手数料引き上げも、その一部として見るべきです。

実務の現場では、「悪いことをしていなければ大丈夫」という説明では足りなくなっています。
納税、社会保険、雇用契約、業務内容、収入、家族の生活実態。これらを、申請のたびに整えておく必要があります。

手数料が上がること自体も大きな問題ですが、本当に怖いのは、費用負担を理由に申請を先延ばしし、在留期限を過ぎてしまうことです。

在留資格は、生活の土台です。期限管理だけは、絶対に後回しにしてはいけません。

まとめ

今回の在留手続き手数料の改定案は、外国人本人にも、外国人を雇用する企業にも大きな影響があります。

特に永住許可20万円案は、申請のタイミングや家族単位の生活設計に直結します。

一方で、政令案はまだパブリックコメント段階であり、最終確定前の内容です。断定できることと、まだ動く可能性のあることを分けて見ていく必要があります。

在留資格申請や外国人雇用の判断は、制度の条文だけでなく、実際の活動内容、雇用管理、納税・社会保険の状況によって結論が変わることがあります。判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

4. 記事末尾の整理

【結論】
在留手続き手数料の改定案は、単なる行政手数料の値上げではなく、日本で暮らす外国人の生活継続、企業の外国人雇用コスト、永住申請の判断に直接影響する制度変更です。特に2026年10月1日以降の申請予定者は、申請時期と費用負担を早めに確認する必要があります。

【根拠】
令和8年入管法等改正により、在留資格変更・更新、永住許可等の手数料上限引き上げが制度化され、これを受けて入管庁が政令案等のパブリックコメントを開始しています。e-Gov上では、関係政令案と減額対象者ガイドライン案が2026年7月3日に公示されています。

【注意点・例外】
政令案はまだ最終決定前です。報道で示されている金額は、今後のパブリックコメントや政令決定を経て確定します。また、減額対象者は、生活困窮と人道上の配慮の双方が問題となる限定的な制度設計に見えるため、通常の就労ビザや留学等で広く減額されるとは現時点では断定できません。個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。

【出典】
出入国在留管理庁「令和8年入管法等改正について」、e-Govパブリック・コメント「出入国管理及び難民認定法施行令等の一部改正政令案」「在留許可手数料の減額対象者のガイドライン案」、TBS NEWS DIG、東京弁護士会会長声明を参照しました。

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