この記事のポイント

- 「短期滞在」は、一部の外国人について90日以内の日単位で在留期間を指定できるようになりました
- 希望する滞在日数を申請人が自由に選べる制度ではありません
- ラオスの認定送出機関リストは、技能実習用ではなく育成就労制度用のリストです
- ウクライナ避難民については人数統計の更新であり、新たな制度変更は確認できません
2026年9月初め、外国人の在留や受入れ実務に関する新しい公表が続きました。
一つひとつを見ると、小さな省令改正、送出機関リストの追加、月次統計の更新です。
ただ、実務ではこうした「大改正ではない情報」ほど、見落とした後にじわじわ効いてくることがあります。
今回は、短期滞在の在留期間、育成就労制度におけるラオスの認定送出機関、ウクライナ避難民の最新統計という3つの動きを整理します。
「短期滞在」は90日以内の日単位指定が可能に

2026年9月1日、「出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令」が令和8年法務省令第48号として公布され、同日施行されました。
今回の改正により、「短期滞在」の在留期間について、従来の90日・30日・15日などの基本的な枠組みを残しながら、法務大臣が個々の外国人について、90日を超えない範囲で日を単位とする期間を指定できるようになりました。
制度上は、40日や50日といった期間を個別に定めることが可能になります。
「40日ほしい」と自由に選べる制度ではない
ここは、少し注意が必要です。
今回の改正は、申請人が希望する日数を自由に選び、その日数がそのまま認められる仕組みではありません。
パブリックコメントに対する出入国在留管理庁の回答でも、外国人が在留期間を自由に選択できるものではないことが明確にされています。
また、入管庁は、新たな判断基準を定めて公表することは考えていないと回答しています。
したがって、どのような人に30日や90日ではない個別期間が指定されるのか、現時点で外部から一律に判断することはできません。
実務では、親族訪問、短期商用、会議参加、視察などについて、なぜその日程が必要なのかを具体的に説明する姿勢が、これまで以上に重要になると考えます。
滞在予定表と航空便、招へい理由、宿泊先、費用負担の説明が食い違っていると、必要日数そのものに疑問を持たれかねません。
変わっていない部分も多い
短期滞在で認められる活動範囲が広がったわけではありません。
観光、親族訪問、会合への参加、業務連絡などの短期的活動が対象であり、報酬を受ける就労は原則として認められません。最長90日という上限も変わっていません。
さらに、査証、いわゆるビザと、上陸時に決定される在留資格・在留期間は同じものではありません。
実際に日本で適法に滞在できる期限は、上陸許可で決定された在留期間を確認する必要があります。
「90日のつもりで来日したから90日いられるはず」と思い込まず、入国後すぐに許可された在留期間と満了日を確認することが大切です。
育成就労制度でラオスの認定送出機関リストを公表

2026年8月31日、日本の法務省、外務省、厚生労働省、警察庁と、ラオス人民民主共和国労働社会福祉省との間で、育成就労制度に関する協力覚書が署名されました。
これを受け、外国人技能実習機構は9月2日、ラオス政府の認定送出機関リストを公表しました。
育成就労制度では、悪質な送出機関を排除するため、原則として二国間取決めを作成した国から受入れを行う仕組みが採られています。
監理支援機関の許可に係る施行日前申請では、受入れ予定国の送出機関と契約し、その名称を申請書に記載する必要があります。
外国人技能実習機構の案内によれば、その送出機関は育成就労法施行規則第20条の要件を満たす認定送出機関でなければなりません。
技能実習用のリストと混同しない
現場で起こりそうなのは、「これまで技能実習で取引してきた送出機関だから、育成就労でも当然に使えるだろう」という思い込みです。
今回公表されたのは、育成就労制度の認定送出機関リストです。技能実習制度の外国政府認定送出機関一覧とは別に管理されています。
既存の取引関係だけで判断せず、育成就労制度用の最新リストに掲載されているかを確認しなければなりません。
送出国によっては、現在も「暫定」とされているリストがあります。暫定リストに掲載されていても、正式な認定リストに載らなければ、その送出機関を記載したまま監理支援機関の許可を受けることはできません。
ラオスについては、9月2日時点で「認定」として掲載されています。
制度の看板が技能実習から育成就労へ変わるだけではありません。
契約先、手数料、本人への説明、送出しの経路まで、入口から適正性を確認する制度へ移っている。そのことを感じさせる公表です。
ウクライナ避難民は累計2,902人、国内在留は1,931人

出入国在留管理庁は2026年9月2日、ウクライナ避難民に関する月次情報を更新しました。
8月31日時点の速報値で、日本への避難民入国者は累計2,902人、現在日本に在留している避難民は1,931人です。
ここで公表されたのは人数の更新です。
今回の更新に伴い、在留資格「特定活動」の取扱いや支援制度が新たに変更された事実は、現時点では確認できません。
累計入国者数と現在の在留者数には差がありますが、今回の公表数字だけから、その理由や内訳を断定することはできません。
数字は静かですが、避難生活が長期化していることは見落とせません。
制度改正の有無だけでなく、就労、住居、日本語、子どもの教育、在留手続といった生活上の課題が続いている点にも目を向ける必要があります。
小さな更新ほど「何が変わっていないか」を確認する

今回の3件に共通するのは、新しい情報を大きく受け止め過ぎないことです。
短期滞在は日単位指定が可能になりましたが、自由選択制になったわけではありません。
ラオスの送出機関リストが公表されても、技能実習用リストをそのまま使えるとは限りません。ウクライナ避難民の数字が更新されても、それ自体は在留制度の変更を意味しません。
外国人実務では、「変わった部分」だけを追うと判断を誤ります。「変わっていない要件」と「まだ公表されていない運用」を分けて確認する。この地味な作業が、結局は一番大切なのだと思います。
短期滞在の招へい、育成就労制度への移行準備、避難民の在留手続は、目的や関係者、現在の在留状況によって必要な対応が変わります。
個別事情により判断が分かれるため、実際の手続を進める際は早めに専門家へ確認することをおすすめします。
記事末尾の整理
【結論】
短期滞在では90日以内の日単位指定が可能になりましたが、申請人が日数を自由に選べる制度ではありません。育成就労でラオスから受け入れる場合は、育成就労制度用の認定送出機関リストを確認する必要があります。ウクライナ避難民については統計更新であり、新たな制度変更ではありません。
【根拠】
令和8年法務省令第48号、出入国在留管理庁のパブリックコメント回答、外国人技能実習機構の育成就労制度に関する案内、日・ラオス間の協力覚書、出入国在留管理庁のウクライナ避難民統計に基づき整理しています。
【注意点・例外】
短期滞在の個別日数指定に関する新たな公表基準は確認できません。希望日数がそのまま認められるとは限らず、活動内容と日程の整合性が重要です。
育成就労の送出機関リストは更新されるため、申請時点の最新版を確認してください。ウクライナ避難民の累計入国者数と現在在留者数の差について、内訳は今回の公表数字だけではわかりません。
【出典】
一次情報
- e-Govパブリック・コメント「出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令案」に係る意見募集の結果(2026年9月1日)
- 官報・令和8年9月1日付本紙第1780号2頁「法務省令第48号」
- 外国人技能実習機構「ラオスの認定送出機関リストを公表しました」(2026年9月2日)
- 外国人技能実習機構「ラオスとの育成就労制度に関する協力覚書の署名について」(2026年9月2日)
- 外国人技能実習機構「外国政府認定送出機関一覧(育成就労制度)」
- 厚生労働省「育成就労に関する二国間取決め」
- 出入国在留管理庁「ウクライナ避難民に関する情報」(2026年9月2日更新)
参考情報
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