入管庁と国交省が解体業者を合同調査へ|外国人雇用で確認したい実務のポイント
2026年9月9日の読売新聞オンラインは、出入国在留管理庁が他省庁と合同で不法就労に関する立ち入り調査を行う方針を報じました。
国土交通省と10月にも解体業者を調査し、環境省とも、自動車を解体・保管する「ヤード」への合同調査を協議しているとされています。
読売新聞オンラインの報道
建設・解体業の企業にとって、現場の外国人雇用を点検するきっかけとなるニュースです。
私が行政書士の立場からお伝えしたいのは、在留カードの記載と、実際に任せている仕事を結び付けて確認することの大切さです。
事業の調査と在留資格の確認が同じ現場で行われる

報道によれば、国交省などが行う事業上の調査に入管職員が同行し、その場で在留カードを確認する仕組みが想定されています。
関係省庁が連携して、現場にいる人の在留状況を確認する点が今回の報道の中心です。
ただし、10月の調査は現時点では報道上の予定です。
今回確認できた公表資料の範囲では、具体的な実施日や対象地域、詳しい運用はわかりません。
企業が今できるのは、自社の現場について「誰が、どの会社に雇用され、何の仕事をしているのか」を説明できる状態にすることです。
採用担当者が把握している内容と、現場責任者が理解している内容を、いったん照らし合わせてみてください。
在留資格ごとに、任せられる仕事の範囲がある

不法就労には、在留期限を過ぎた人が働く場合のほか、就労の許可を受けていない場合や、認められた活動・時間の範囲を超えて働く場合も含まれます。
在留カードを持っていても、仕事内容によっては問題になります。警視庁「外国人の適正雇用について」
たとえば「技術・人文知識・国際業務」は、専門的な技術・知識等を要する業務を前提とする在留資格です。施工管理として採用した人が、日常的には解体や資材運搬を中心に担当しているなら、その業務構成を確認する必要があります。
肩書だけでは、実際の活動を説明しきれません。
現場で働くことの可否は、業務の専門性、作業の位置付け、全体に占める割合などを踏まえて検討します。付随的な作業の扱いも含め、個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
入管庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」
一方、「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」などは、入管法上、就労活動の種類に制限がありません。
「特定技能」や「技能実習」では、それぞれの制度と本人に認められた業務の範囲を確認します。同じ現場でも、判断の前提は一人ひとり異なります。
福岡入管「外国人材の受入れ制度について」
元請と下請で、確認する役割を決めておく

建設・解体の現場では、自社の従業員に加えて協力会社の作業員が入ることがあります。
そこで曖昧にしたくないのが、在留資格を確認する担当者と、確認した情報を現場に伝える担当者です。
不法就労をさせた事業主などは、不法就労助長罪の対象となり得ます。
不法就労だと知らなかった場合でも、必要な確認を怠った過失があれば処罰の対象となることが、公的な案内でも示されています。
警視庁の案内
元請・下請それぞれの責任は、実際の関与や認識などによって判断されます。
実務上は、雇用主、担当業務、指示を出す人を整理し、協力会社にも確認方法を共有しておくことが望ましいと考えます。
請負契約では、実態が労働者派遣や労働者供給になっていないかという、雇用管理上の点検も必要です。
厚生労働省の外国人雇用資料・国交省掲載
採用後の変化まで確認できる管理にする

在留カードと仕事内容を一緒に確認する
雇用に当たっては在留カードの実物を確認し、本人の顔写真、在留資格、在留期間、表面の就労制限と裏面の資格外活動許可を見ます。
「特定活動」などは、旅券に添付された指定書の確認も必要です。
警視庁の確認ポイント、厚生労働省の確認資料
そのうえで、雇用契約書の業務内容を、作業日報や本人・現場責任者への聞き取りと照合する。書類と現場をつなぐ、このひと手間が大切です。
配置転換や担当作業の変更があった際にも確認する仕組みにしておくと、採用後の変化を把握しやすくなります。
更新申請中の人は、受付状況まで確認する
在留期間の満了前に更新・変更申請を行い、審査が終わらない場合には、一定の条件の下で従前の在留資格による在留を続けられる「特例期間」があります。
記載された在留期限を過ぎた人については、申請の有無や特例期間の期限を確認してください。
入管庁「特例期間とは?」
オンライン申請では、在留カードの裏面に「申請中」の印が押されません。
受付完了メールなど、申請中であることを確認できる資料も合わせて見ます。
入管庁「オンライン申請中であることを証明する方法」
変更申請を出したことだけで、新しい在留資格の仕事を始められるわけではない点にも注意が必要です。
適正な確認は、企業と働く本人の安心につながる

私は、不法就労対策には、制度を守る企業が安心して事業を続けられる環境を整える役割もあると考えています。
同時に、確認は一人ひとりの在留資格と就労実態に基づいて、冷静に行う必要があります。
本人にも、任せられる仕事と変更時の相談先をわかりやすく伝える。
現場の責任者にも同じ情報を共有する。こうした日常の管理を整えることが、企業にも外国人従業員にも安心できる働き方につながるはずです。
Asocia行政書士法務事務所では、在留資格申請や外国人雇用に関するご相談を承っております。
現在の業務内容と在留資格の関係に迷う場合は、雇用契約書や具体的な作業内容を整理したうえでご相談ください。
4.記事末尾の整理
【結論】
合同調査の報道を機に、在留資格、実際の仕事、雇用関係を一体で確認する管理体制を点検することが大切です。
【根拠】
在留資格による活動制限、不法就労助長への処罰、特例期間などの公的な案内に基づいています。合同調査の時期・対象については、読売新聞オンラインの報道を根拠としています。
【注意点・例外】
10月の実施は報道上の予定です。業務の適合性や元請・下請の責任は個別の事実関係によって変わります。特例期間中も、従前の在留資格で認められる活動範囲の確認が必要です。
【出典】
一次情報:業務範囲は入管庁の技人国の明確化資料、福岡入管の外国人材受入れ説明資料を参照。雇用管理については警視庁の適正雇用案内、厚生労働省の外国人雇用資料、申請中の取扱いについては入管庁の特例期間案内、オンライン申請中の証明に関する案内に基づきます。
参考情報:合同調査の方針は、読売新聞オンラインの記事(2026年9月9日配信・添付本文を確認)によります。
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