漁業の特定技能運用要領を改正|受入企業が確認したい業務・派遣・2号移行
出入国在留管理庁は2026年10月15日、「特定の分野に係る要領別冊(漁業分野)」を改正したと案内しました。
出入国在留管理庁・特定技能制度
漁業者や養殖業者にとって大切なのは、外国人に任せる仕事と、申請上の業務内容が一致しているかという点です。
繁忙期・閑散期で担当作業が変わる現場ほど、一年を通じた仕事内容を確認しておく必要があります。
本稿では、改正の案内を受け、一次資料で確認できる受入れ実務の要点を整理します。
なお、今回の改正後全文と新旧対照表の突合は完了していないため、以下の事項をすべて10月15日に新設・変更された要件として紹介するものではありません。
個々の変更内容と適用開始日は、申請前に最新資料で確認してください。
まず「漁業」と「養殖業」のどちらに当たるか

漁業分野には、「漁業」と「養殖業」の業務区分があります。
漁業では、漁具の製作・補修、漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵など。養殖業では、養殖資材の管理、水産動植物の育成管理、収獲・処理などが挙げられています。
安全衛生の確保も仕事に含まれます。
水産庁掲載・運用要領別冊(2024年2月改正版)第1
「水産関係の仕事」という説明だけでは、どちらの区分で採用するのか判断できません。
求人票や雇用契約書を作る前に、実際に行う作業と、本人の試験・技能実習の経歴を照らし合わせることが必要です。
清掃・加工・販売は、関連業務としての位置付けを確認

漁業の仕事には、船体の清掃、漁具の積込み、漁獲物の水揚げ、自家原料を使った加工・出荷・販売など、漁労作業とつながる仕事もあります。
公式資料では、漁業・養殖業に従事する日本人が通常行う関連業務に、付随的に従事することが認められています。ただし、関連業務だけに従事させることはできません。
この考え方は、今回の改正前の運用要領にも記載されています。水産庁掲載・運用要領別冊 第1「関連業務」
例えば、「漁業として採用したものの、実際には清掃や運搬ばかりになっている」という場合には、仕事内容の見直しが必要です。
加工や販売を予定している場合も、扱う原料や主たる業務との関係を具体的に整理しておきたいところです。
実務上は、繁忙期と閑散期のそれぞれについて、本人がどこで、誰の指示により、何を担当するかを書き出してみると、確認しやすくなります。
派遣で受け入れる場合は、派遣元の要件も確認

漁業分野では、直接雇用に加え、所定の要件を満たす労働者派遣形態による受入れが認められています。分野別運用方針では、地方公共団体や漁業協同組合など、漁業に関連する業務を行う者の関与等が条件とされています。
2026年1月23日閣議決定・漁業分野別運用方針 第二2
「派遣が認められる分野だから、一般の人材派遣と同じように利用できる」と考えるのは早計です。派遣元の資格・事業実態、派遣先の仕事内容、契約関係を併せて確認する必要があります。
漁船での就労を予定する場合は、船員派遣に当たるかなど、適用される制度についても個別に整理してください。
試験の合格証は、名称だけで判断しない

試験実施機関の大日本水産会は、現在「漁業特定技能評価試験」として、1号・2号、漁業・養殖業の試験情報を案内しています。
大日本水産会・試験案内
一方、過去の合格証には「漁業技能測定試験」などの名称が記載されている場合があります。
旧名称だから直ちに無効と判断したり、名称が似ているだけで申請に使えると判断したりすることは避けるべきです。
合格証の正式名称、号数、業務区分、実施日を確認し、最新の運用要領や試験実施機関の案内に照らして取り扱ってください。
本稿では、今回の改正に伴う旧試験合格者のみなし措置の対象範囲までは確認できていません。
特定技能2号を目指すなら、担当業務の記録を残す

特定技能2号では、試験等に加え、操業・養殖を管理する者の補佐や、作業員を指導しながら工程を管理する実務経験が要件とされています。
また、分野別運用方針には、本人の求めに応じて実務経験を証明する書面を交付することが定められています。
漁業分野別運用方針 第二1・2
長く働いていることと、必要な役割を担った経験があることは、同じではありません。
将来の2号移行を見据えるなら、いつから、どの現場で、どのような指導・管理を担当したかを記録しておくことが実務上有用です。
必要な経験年数、試験の受験要件、日本語要件とその適用時期は、申請・受験時点の案内で確認してください。
申請前に、仕事内容・企業要件・本人の資格を一緒に点検

水産庁は、2024年6月15日以降、初めて漁業分野の特定技能外国人を受け入れる場合、在留資格認定証明書交付申請の前に漁業特定技能協議会に加入する必要があると案内しています。
これも今回初めて設けられた取扱いではありません。
水産庁・特定技能外国人の受入れ
申請準備では、次の点を併せて確認しておきましょう。
- 漁業・養殖業の区分と実際の担当作業が合っているか
- 清掃・加工・運搬などの関連業務だけになっていないか
- 試験合格証や技能実習の修了資料が、予定業務に対応しているか
- 協議会加入や、派遣元・派遣先に必要な確認を終えているか
- 2号移行を予定する人の経験と担当業務を記録しているか
運用要領の改正は、書類を差し替えるだけで終わるものではありません。
雇用契約、現場の仕事、本人の資格・経験をそろえて確認することが、適切な外国人雇用につながります。
Asocia行政書士法務事務所では、漁業・養殖業の仕事内容や雇用形態を伺いながら、特定技能の受入れと在留資格申請に必要な確認事項を整理いたします。
出典・確認範囲
本文中のリンクはすべて一次情報です。確認日:2026年10月17日。
- 入管庁「特定技能制度」:検索収録本文で2026年10月15日付の漁業分野改正の案内を確認。
- 水産庁掲載の別冊:制定履歴は2024年2月15日一部改正まで。2026年10月15日改正後の全文としては使用していません。主に従来からの業務範囲の確認に使用。
- 水産庁掲載の2026年1月23日分野別運用方針:派遣、実務経験、キャリア形成等の方針を確認。各規定の適用時期は個別確認が必要。
- 大日本水産会:現在の試験名称・案内を確認。旧試験の新試験へのみなし措置は未確認。
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