特定技能2号は「N3合格」だけでは足りない?航空分野の最新運用要領を読む
2026年7月17日、出入国在留管理庁は「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領」のうち、航空分野に関する部分を改正しました。
航空分野というと、空港グランドハンドリングや航空機整備の人手不足に目が向きがちです。
ただ、今回の改正資料を読んで私が気になったのは、2027年4月1日以降の特定技能2号に求められる日本語能力です。
一見すると「N3以上」と読めます。
しかし、正確には、単にN3に合格すればよいとは限りません。
ここは今後、他分野の特定技能2号を考えるうえでも注意が必要な部分です。
この記事のポイント
・航空分野の特定技能運用要領が2026年7月17日に改正された
・2027年4月1日以降、特定技能2号にはB1相当以上の日本語能力が求められる
・JLPTのN3合格者でも、得点によってはB1ではなくA2と表示される
航空分野の特定技能とは

航空分野の特定技能では、主に「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」が対象となります。
空港グランドハンドリングには、航空機地上走行支援、手荷物・貨物の取扱い、航空機内外の清掃整備、旅客対応などが含まれます。
航空機整備は、運航整備、機体整備、装備品や原動機の整備など、航空機の安全な運航を技術面から支える業務です。
今回の運用要領では、対象となる主たる業務に加え、日本人従業員が通常行う関連業務へ付随的に従事することは差し支えないと整理されています。
一方、関連業務だけに専ら従事させることは認められません。
例えば、特定技能「航空」で採用したにもかかわらず、実際には対象業務をほとんど行わず、事務作業や対象外の清掃だけを担当させるような運用は問題になります。
在留資格は雇用契約書の職種名だけで判断されるものではありません。現場で実際に何をしているのかが重要です。
特定技能2号では「現場をまとめる力」が求められる

特定技能1号は、相当程度の知識や経験を必要とする業務に従事する外国人を対象としています。
これに対し、特定技能2号は「熟練した技能」が前提です。
空港グランドハンドリングでは、社内資格などを持つ指導者やチームリーダーとして、他の作業者を指導・監督しながら業務を行うことが想定されています。
航空機整備についても、単に整備作業の経験があるだけでは足りません。
運用要領では、国家資格を持つ整備士などの指導・監督の下で、航空会社や航空機整備会社における整備業務に3年以上従事した実務経験が示されています。
2号は、現場作業ができる人から、判断し、人を指導し、安全を支える人へ進む在留資格だと考えると分かりやすいかもしれません。
2027年4月からB1相当以上の日本語能力が必要

今回の運用要領では、2027年4月1日以降、特定技能2号について「日本語教育の参照枠」のB1相当以上が求められると記載されています。
確認方法の一つとして挙げられているのが、日本語能力試験、いわゆるJLPTのN3以上です。
ただし、運用要領には「CEFRのB1相当以上と判定された場合に限る」との注意書きがあります。
つまり、「N3に合格した」という事実だけでは足りない可能性があります。
N3合格でもB1にならない場合がある

JLPTでは、2025年第2回試験から、合格者の成績書類にCEFRレベルが参考表示されるようになりました。
N3の場合は、総合得点によって次のように分かれます。
・95点から103点:A2
・104点以上:B1
したがって、N3の合格点に達していても、総合得点が103点以下であれば、成績書類上はA2と表示されます。日本語能力試験公式サイト
この違いは、今後の2号移行を考える外国人や企業にとって小さくありません。
これまでは「まずN3合格を目指しましょう」という支援でもよかった場面が、今後は「B1と表示される得点を目指しましょう」という支援に変わる可能性があります。
合格証書だけでなく、総合得点やCEFRの表示まで確認する必要が出てきます。
まだ断定できない部分もある

ここは慎重に見なければなりません。
運用要領には、2027年4月1日以降にB1相当以上を求めると記載される一方、その具体的な取扱いについては「別途お知らせします」とされています。
航空分野の改正後運用要領
現時点では、少なくとも次の点はわかりません。
・2025年第1回以前のJLPT合格者をどのように扱うのか
・申請日と許可日のどちらを基準に新要件を適用するのか
・すでに特定技能2号で在留している人の更新にも求めるのか
・JLPT以外にどの日本語試験が対象となるのか
推測ですが、今後、省令や運用通知、Q&Aなどで経過措置を含む詳細が示されると考えられます。現段階で「N3を持っているから大丈夫」と断定することはできません。
企業は「試験直前」ではなく今から準備を

特定技能2号を目指す人材がいる企業は、技能試験の準備と日本語学習を別々に考えないほうがよいと思います。
特に航空分野では、安全確認、作業指示、異常時の報告、他の作業者への指導など、日本語による正確な意思疎通が欠かせません。
対象者のJLPT合格レベルだけでなく、受験時期、総合得点、CEFR表示の有無を確認し、必要であればN3の再受験やN2への挑戦も検討する必要があります。
2号への移行直前になって「N3には合格しているが、B1の証明ができない」と気付くと、予定していた申請時期を見直さなければならない可能性があります。
制度が変わるときは、施行日より前の準備が一番大切です。
在留資格申請や特定技能外国人の雇用は、試験合格だけで判断できるものではありません。
実際の業務内容、役職、実務経験、日本語能力の証明方法によって結論が変わります。
2号への移行を予定している場合は、早めに対象者ごとの確認を進めることをおすすめします。
- 記事末尾の整理
【結論】
航空分野の特定技能運用要領が2026年7月17日に改正され、対象業務や特定技能2号の技能・日本語水準が整理されました。
2027年4月1日以降は、特定技能2号にB1相当以上の日本語能力が求められます。JLPTのN3合格者であっても、得点によってはA2と表示されるため注意が必要です。
【根拠】
・出入国在留管理庁が2026年7月17日に航空分野の運用要領を改正
・改正後の要領に、2027年4月1日以降の特定技能2号についてB1相当以上との記載
・JLPT公式サイトでは、N3の総合得点104点以上をB1、95点から103点をA2と表示
【注意点・例外】
B1要件の具体的な適用方法は、今後別途公表される予定です。
過去のJLPT合格証明の取扱い、既存の特定技能2号外国人への適用、申請時期の基準などは、2026年7月20日時点ではわかりません。
個別事情により判断が分かれるため、実際の申請前には最新の運用と提出書類を確認する必要があります。
【出典】
一次情報
・出入国在留管理庁「特定技能制度」
・2026年7月17日付・航空分野運用要領の一部改正
・航空分野の改正後運用要領
・国土交通省「航空分野における新たな外国人材の受入れ」
・日本語能力試験公式サイト「CEFRレベル参考表示」
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