バングラデシュと育成就労の協力覚書|送出費用・推薦状・契約先の確認点
「バングラデシュから、育成就労で人材を受け入れられるようになるのですね」
今回の公表を見て、採用の選択肢が広がると感じた企業もあるのではないでしょうか。
外国人技能実習機構(OTIT)は2026年10月20日、日本とバングラデシュとの育成就労制度に関する協力覚書の署名を案内しました。
otit.go.jp
受入れの準備では、覚書ができたことに加えて、契約する送出機関、本人が負担する費用、必要な推薦状を確認しておきたいところです。
今回は、主に監理支援機関を通じた受入れを想定して整理します。
覚書による協力開始と、制度のスタートは別の日

覚書は9月16日に東京、10月17日にダッカで署名され、協力は後の署名日である10月17日から始まります。育成就労外国人の保護と制度の適正な推進に向け、両国の役割を定めたものです。
mhlw.go.jp
一方、育成就労制度の運用開始は2027年4月1日です。
出入国在留管理庁
採用計画では、この二つの日付を混同しないことが大切です。
覚書の署名を、そのまま就労開始の許可と考えることはできません。
企業としては、希望する入社日から逆算して、現地での募集や教育、計画認定、在留手続などの準備を組み立てる必要があります。
人材の紹介を受けた段階で、いつから働ける前提なのかを関係者で共有しておくと、話の行き違いを減らせると考えます。
契約先は「育成就労の送出機関」として確認する

覚書では、認定送出機関以外から送り出された育成就労外国人は受け入れないとしています。認定機関を通じても、育成就労計画が認定されない場合などには受入れが認められないことがあります。mhlw.go.jp
ここで、現時点の掲載状況にも注意が必要です。
10月21日に確認したOTITの一覧では、バングラデシュの送出機関リストは、掲載・更新日が10月6日で、種別は「暫定」と表示されています。OTITは、正式な認定送出機関リストが提出される前の状態を「暫定」と説明しています。
外国人技能実習機構
そのため、「覚書ができたから、掲載機関はすべて正式認定済み」とは読めません。
長く付き合いのある現地機関であっても、今回の受入れで使う機関名、所在地、契約名義を改めて照合したいところです。
技能実習での取引実績がある場合も、育成就労の掲載状況を確認する。この一手間は省かずに進めたいと思います。
送出費用の上限は「計画に記載する報酬月額の2か月分」

覚書の送出機関認定基準には、本人や配偶者、親族等から、育成就労計画に記載された報酬月額の2か月分を超える費用を受領する行為を排除する規定があります。
本人が認定送出機関に支払った費用の上限は、計画認定基準にも示されています。
mhlw.go.jp
例えば、計画上の報酬月額を20万円と仮定すると、その2か月分は40万円です。
これは計算例であり、40万円を当然に請求できるという意味ではありません。
実務で確認したいのは、合計額と支払先です。
「本人の手数料は少額ですが、家族が別に支払っています」といった説明があれば、本人分の領収書だけでは負担の全体像が見えません。
あくまで想定例ですが、募集担当者への支払い、教育費、手続費など、名目を分けた請求があるときも、何の対価なのかを整理しておく必要があります。
覚書は、費用の算出基準の公表と、本人・監理支援機関への説明も求めています。
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私としては、日本側に提示された見積書と、本人側の費用明細を並べて確認する方法が現実的だと考えています。
金額が違うこと自体を直ちに問題とするのではなく、誰が何を負担する契約なのかを説明できる状態にしておきたいところです。
個々の教育費や渡航関連費用をどこまで算入するかは、覚書だけではわからない部分があります。上限以内という数字だけで判断せず、最新の運用資料と具体的な契約内容を確認する必要があります。
推薦状を省略できる条件は、二つに分かれている

「推薦状が不要になる」という点も、条件まで読んでおく必要があります。
覚書では、バングラデシュ側の担当省である海外移住者福利厚生・海外雇用省(MoEWOE)が発行する推薦状について、次のように分けています。
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| 推薦状の対象 | 不要となる条件 |
|---|---|
| 認定送出機関 | 日本側がMoEWOEから認定送出機関の完全なリストを受領すること |
| 育成就労外国人本人 | 日本側が上記リストに加え、覚書別添3の証明書を受領すること |
署名だけで、二種類の推薦状が一律に不要になったという内容ではありません。
今回確認した公表資料だけでは、日本側によるこれらの受領が完了しているかはわかりません。
申請書類を用意するときは、最新の国別案内と提出先の取扱いを確認してください。
書類が一枚減るかどうかは、担当者にとって小さくない問題です。ただ、省略できる理由を確認せずに外すと、かえって準備のやり直しにつながりかねません。
社内の必要書類一覧にも、確認日と省略の根拠を残すことをおすすめします。
企業が今、整理しておきたいこと

私が今回の覚書で大切だと感じるのは、日本側の採用条件と、本人が母国で受けている説明をつなぐ視点です。
例えば、企業は月給や勤務先を説明したつもりでも、本人が別の金額や仕事内容を聞いていた、という場面を想定してみてください。面談では、条件を一方的に読み上げるだけでなく、「どのような説明を受けていますか」と本人の言葉で確認する工夫が役立つと考えます。
準備段階では、送出機関の掲載状況、費用の明細、推薦状の要否を一緒に点検し、企業・監理支援機関・本人の認識を合わせておきましょう。
バングラデシュ人材の育成就労による受入れをご検討の企業・関係機関の皆様は、Asocia行政書士法務事務所へご相談ください。受入れ体制や申請準備について、最新の公表資料を踏まえて整理をお手伝いいたします。
4.記事末尾の整理
【結論】
バングラデシュとの覚書は受入れ準備に関わる重要な動きです。送出機関の正式な認定状況、本人・家族等の費用負担、推薦状を省略できる条件を、契約と申請の段階で確認してください。
【根拠】
協力開始日は覚書13(1)、認定送出機関と推薦状は3(c)~(e)、費用は別添1(2)・(6)(c)及び別添5(11)に基づきます。制度開始日は入管庁の案内、暫定リストの状況はOTITの掲載内容によります。本文の社内確認方法は筆者の実務上の提案です。
【注意点・例外】
2026年10月21日に確認した情報です。バングラデシュのリストは「暫定」表示であり、今後の正式認定・掲載更新を確認する必要があります。推薦状の省略条件が充足済みかは未確認です。
費用上限以内であっても、個々の請求がすべて認められるわけではありません。費用の算入範囲や受入れ可否は、個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
【出典】
いずれも一次情報です。
[1]外国人技能実習機構「バングラデシュとの育成就労制度に関する協力覚書の署名について」
公表日:2026年10月20日(OTITトップのお知らせで確認)
署名の公表
[2]厚生労働省掲載「バングラデシュとの育成就労制度に関する協力覚書」
和文仮訳/英文
[3]出入国在留管理庁
育成就労制度Q&A
[4]外国人技能実習機構
外国政府認定送出機関一覧(育成就労制度)
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