外国人従業員の銀行口座開設、本人任せになっていませんか?GTN調査から考える生活支援
「銀行口座ができたら、会社に教えてください」
外国人従業員の入社時に、そう案内している企業もあるでしょう。
ただ、日本で暮らし始めたばかりの本人にとっては、その一言の先に、いくつものわからないことが待っているかもしれません。
どこの銀行へ行けばよいのか。何を持参するのか。
窓口で勤務先について聞かれたら、どう説明すればよいのか。
2026年10月22日、グローバルトラストネットワークス(GTN)が、在留外国人の金融サービスに関する調査を公表しました。
今回はこの調査を入り口に、外国人を雇用する企業や登録支援機関が確認しておきたい口座開設支援を考えます。
gtn.co.jp
「67%が困難を経験」の読み方に注意

調査は2026年1月19日から23日まで、Webアンケートで実施されています。
対象は、在留歴5年以内で、日本で給与・収入・生活費を受け取った経験のある外国人500人です。
公表日と調査実施日は異なります。
GTNの発表によれば、口座開設時に何らかの困難を経験した人は67%。「困りながら開設できた」「途中で諦めた」「銀行に断られた」といった回答を含む数字です。
67%全員が開設を拒否された、という意味ではありません。
また、困りながら開設できた人など317人を対象とする集計では、日本語だけの書類・説明が負担だったとの回答が39%、必要書類の多さや手続きの煩雑さが38%でした。
こちらも500人全体を分母にした数字とは区別が必要です。
gtn.co.jp
この民間調査だけで、外国人全体の状況や、個々の銀行の対応の適否までは判断できません。
それでも、企業側が思っているほど簡単には進まない手続きがあることを、考えるきっかけにはなります。
最初の給与日から逆算して準備する

私が実務上大切だと考えるのは、「銀行に行ったか」よりも、「給与を受け取る準備がどこまで進んだか」を確認することです。
例えば、初めて窓口へ行ったものの、勤務先を確認できる書類が足りず、再度来店することになったとします。これは想定例ですが、勤務日程によっては、次に行ける日がかなり先になるかもしれません。
金融庁の案内でも、受入れ企業に対し、必要に応じた同行、手続きや会話の補助、勤務の証明などへの協力を求めています。
本人に銀行名を伝えただけで、準備が終わったと考えないことが大切です。
fsa.go.jp
入社前後の予定には、来店日だけでなく、追加書類が必要になった場合の時間も見込んでおきたいところです。
給与担当者と生活支援の担当者が別であれば、本人の了承のもとで進捗を共有すると、確認漏れを減らせると考えます。
必要書類は、利用する金融機関に確認する

金融庁の本人向け資料では、在留カード、パスポート、社員証や学生証、印鑑などを必要書類等の例として挙げています。
ただし、金融機関によって必要なものが異なり、印鑑に代えて署名で対応できる場合もあります。fsa.go.jp
「前の従業員はこの書類で開設できた」という情報は参考になりますが、今回も同じとは限りません。
申込方法、予約の要否、勤務先を確認する書類、通訳の同行方法などを、利用予定の窓口へ事前に確認するのが現実的です。
書類を集める際には、氏名や住所の表記も一緒に見ておくとよいでしょう。
会社で使うカタカナ表記と本人確認書類上の氏名が違う場合など、本人が説明に迷いそうな点を整理しておく、という実務上の工夫です。
手続きを代わりに済ませることだけが支援ではありません。「なぜ勤務先を確認されるのか」「何のための口座なのか」を、本人が理解できる言葉で伝えることにも意味があります。
特定技能1号では、口座開設支援も制度上の支援

特定技能1号で受け入れる場合は、口座開設の支援を単なる親切の範囲で考えないよう注意が必要です。
出入国在留管理庁のQ&Aでは、必要な書類や窓口を案内し、日本語によるコミュニケーションなどが契約の妨げとならないよう、必要に応じて同行し、手続きを補助することが示されています。
出入国在留管理庁
全員に一律の同行が必要という説明ではありません。一方で、本人が説明を理解できずに困っているのに、案内資料を渡しただけで終える対応では、必要な補助が届かないおそれがあります。
登録支援機関へ支援を委託している企業も、誰が銀行との調整を行い、会社はどの書類を用意するのかを共有しておきたいところです。
担当の境目で手続きが止まらないようにするためです。
なお、特定技能1号の支援制度を、技術・人文知識・国際業務など、他の在留資格にもそのまま当てはめることはできません。
制度上の義務と、企業が行う生活面の配慮は分けて整理する必要があります。
口座ができた後も、在留手続きとつなげて考える

口座を開設できれば、それで終わりというわけでもありません。
金融庁は、住所や在留資格・在留期間が変わった場合などには、金融機関へ連絡するよう案内しています。
また、在留期間更新の申請中であることを金融機関へ届け出る必要性についても周知しています。fsa.go.jp
入管への更新申請と、銀行への情報の届出は別の手続きです。
「申請は済んでいます」と本人が安心していても、銀行側にその状況が伝わっているとは限りません。
企業や支援担当者の確認項目に、「更新申請中・更新後の銀行への届出」を加える方法も考えられます。
具体的な提出資料や方法は、取引先の金融機関に確認してください。
本人が安心して使えるところまで支える

金融機関にも、本人確認やマネー・ローンダリング対策のために確認すべき事項があります。
書類を追加で求められたことだけで、不当な対応と決め付けることはできません。
一方、金融庁の2026年7月改訂の留意事項は、多言語対応や企業・大学等との連携を取り上げ、合理的な理由のない取引の謝絶を行わないよう求めています。
確認の必要性と、利用しやすい対応は、両方を考えるべき課題です。
fsa.go.jp
私としては、在留資格の手続きと日々の生活を切り離さずに支えることが、受入れ後の安心につながると考えています。口座開設の申込みだけでなく、本人が自分で説明を理解し、困ったときに相談できるところまで見届けたいものです。
外国人雇用や特定技能の受入れ体制については、Asocia行政書士法務事務所へご相談ください。在留手続きと生活支援の役割を整理し、必要な準備をお手伝いいたします。
4.記事末尾の整理
【結論】
銀行口座の開設は、外国人従業員の生活を支える準備の一つです。必要書類の案内、状況に応じた同行、勤務先の確認への協力、開設後の届出まで、担当者と本人で共有しておきましょう。
【根拠】
調査結果はGTNの民間調査、口座利用の注意点は金融庁の案内、特定技能1号の支援内容は入管庁のQ&Aに基づきます。日程の組み方や社内共有の方法は、筆者の実務上の提案です。
【注意点・例外】
調査の67%を、外国人全体の口座開設拒否率と読むことはできません。今回の調査公表は、在留資格の申請要件変更ではありません。
必要書類や利用条件、対応方法は金融機関によって異なり、支援によって開設が保証されるものでもありません。個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
【出典】
民間調査の原資料
[1]GTN
金融サービス実態調査の公表
公表:2026年10月22日/調査:2026年1月19日~23日/調査実施機関:アスマーク。
行政機関の一次情報
[2]金融庁
外国人材の受入れに関わる皆様向けの案内(2021年3月)
[3]金融庁
日本でくらすための銀行口座や送金のつかい方(2024年9月改訂)
[4]出入国在留管理庁
特定技能制度に関するQ&A・Q93
公式ページ本体は取得制限があり、今回は公式サイトの検索収録本文で確認しています。
[5]金融庁
外国人の受入れ・共生に関する金融関連施策について
[6]金融庁
外国人顧客対応にかかる留意事項(2026年7月改訂)
特定技能ビザをはじめとする各種ビザ・在留資格のご相談や代行申請はホームページのお問い合わせフォームをはじめ、お電話・LINE・Facebook・Instagramからもお問い合わせが可能です。
また、当事務所のYouTubeチャンネル「ビザ新潟ちゃんねる」も更新中です。興味のある方はYouTubeもぜひのぞいてみてください。
ビザ新潟ちゃんねる
以上、新潟市のビザ専門行政書士事務所、Asocia行政書士法務事務所でした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
新潟のビザ・入管業務のことならお任せ下さい。
ビザの相談・申請代行専門
Asocia行政書士法務事務所
新潟県初の登録支援機関(19登-000085)
代表行政書士 播磨 史雄
住所:新潟市西区平島2丁目13-11 2F
℡:025-201-7514
mail:info@fumio-h-office.com
総合ホームページ:https://fumio-h-office.com/
新潟ビザ相談センター:https://visa-asocia.com/
新潟県お酒の販売許可申請代行センター:https://www.sakemenkyo.com/
一般社団法人設立専門ページ:https://niigata-syadan.com
新潟成年後見相談センター:http://www.niigata-seinenkouken.com/
LINEからの相談は『24時間365日』受け付けています。
【※ご注意】ご依頼に関する相談料は初回無料ですが、ブログ記事に内容に関するご質問やご依頼に関係ないご相談は有償となります。
友達追加してお気軽にご相談ください。
対応エリア
新潟県全域・福島県全域・山形県全域
上記エリア以外でも当事務所はオンライン申請に対応しております。

