上陸拒否8546人という数字をどう見る

入管庁が2026年3月27日に公表した令和7年の統計では、外国人の被上陸拒否者数は8546人でした。前年の7879人から667人増えています。
理由別では「入国目的に疑義」が7246人で、全体の84.8%を占めました。入管庁は、令和3年以降、水際措置の緩和に伴う入国者数の増加などを背景に、上陸拒否者数が増加傾向にあると説明しています。
報道だけを見ると、「観光客を装った不法就労が増えている」という強い印象が残ります。もちろん、それ自体は軽く見てよい話ではありません。けれど、実務ではもう少し丁寧に見た方がいい数字です。
まず押さえたいのは「上陸拒否」の重

被上陸拒否者とは、単に空港で少し疑われた人ではありません。
入管庁の統計上は、口頭審理の結果として退去を命じられた者や、法務大臣に対する異議申出の結果として退去を命じられた者などが含まれます。かなり正式な審査の結果、日本に入れなかった人たちの数字です。
この前提を外してしまうと、「ちょっと説明が下手だっただけ」という軽い理解になりがちです。そうではない。入国審査の現場で、申告内容と実態に大きな疑義があると判断された結果だと見るべきです。
今回の統計で本当に気になるポイント

8割超が「入国目的に疑義」だったこと
今回の統計で目を引くのは、やはり「入国目的に疑義」が7246人と圧倒的に多いことです。これは、実際には不法就労活動が目的であるにもかかわらず、観光、短期商用、親族・知人訪問などと説明して上陸申請をしている疑いがある事案を含むものです。
ここで大事なのは、「観光」という言葉が問題なのではないということです。
問題になるのは、申告した目的と実際の行動予定、持参資料、説明内容が噛み合っているかどうかです。
主要空港に審査が集中していること
港別では、成田空港が4628人で全体の54.2%、羽田空港が1388人、関西空港が1292人、中部空港が710人、福岡空港が186人でした。上位5空港で全体の96%を占めています。
実務的には、主要空港での短期入国案件ほど、説明の整合性が厳しく見られやすい局面が続いていると考えた方が自然です。
短期滞在は「軽い在留資格」ではない
入管法上の「短期滞在」は、本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡などを想定した在留資格です。
一方で、外務省の短期滞在査証の提出書類一覧表では、日本国内で収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を行うことは認められないと明記されています。
つまり、「とりあえず観光で入って、その後に働く話を進める」という感覚は、制度の建て付けと正面からぶつかります。この感覚は現場ではまだ根強いのですが、かなり危うい発想です。
審査で見られているのは書類の量ではなく整合性

短期滞在査証の案内を見ると、観光、親族・知人訪問、短期商用等の目的に応じて、旅券、申請書、写真、航空便の予定、在職証明、費用支弁資料などが求められます。
国籍や申請先在外公館によって必要書類は異なるため、最終的には申請先の在外公館の案内確認が必要です。
ただ、実務感覚としては、書類の枚数が多ければ安心というものではありません。
よく見られるのはこのあたりです
誰が何のために来るのか
どこに泊まるのか
誰と会うのか
費用は誰が負担するのか
帰国の見込みはどう担保されているのか
本人の説明と日本側の資料にずれがないか
このあたりが、ひとつの物語として通っているか。私は短期滞在案件ほど、この「話のつながり」が問われると感じています。テンプレートどおりに招へい理由書や滞在予定表を埋めても、芯が弱いと見抜かれます。
正当な観光や親族訪問まで否定されるわけではない

ここは誤解してほしくないところです。今回の統計が示しているのは、短期滞在そのものが危険だという話ではありません。正当な観光、親族訪問、短期商用の渡航まで否定されるわけではない。問題は、申請や上陸時の説明に無理がある場合です。
たとえば、交際相手を呼ぶ案件でも、交際経緯、渡航目的、滞在中の予定、費用負担、帰国事情が自然に説明できるなら、それ自体が直ちに問題になるわけではありません。
逆に、会う理由が曖昧、滞在予定が雑、費用負担が不自然、就労の気配が濃いとなれば、一気に印象は悪くなります。
行政書士として感じる、今回の統計の本当の意味

このニュースの重さは、短期滞在が「使いやすい入口」だからこそ「疑われやすい入口」にもなっている、という点にあります。
就労予定があるなら、本来はその活動に合った在留資格を最初から検討すべきです。短期滞在は、何でも包み込める便利な箱ではありません。にもかかわらず、現場では今でも「まず観光で入ってから考えよう」という発想が残っている。この考え方が、後で大きな傷になります。
私は、短期滞在案件は軽い案件ではないと思っています。むしろ、人間関係や生活事情が濃く出るぶん、説明の精度が問われやすい。在留資格認定証明書交付申請のような長期案件とは別の難しさがあります。静かな審査ですが、見られているところはかなり細かい。
これから短期滞在案件で意識したいこと

今後の短期滞在案件では、以前よりも「正しい目的を、正しい言葉で、正しい資料に乗せる」ことが大切になるはずです。
観光なら観光として無理のない予定にする
親族訪問なら関係性資料をきちんと揃える
短期商用なら所属先や訪問先との関係を明確にする
費用支弁や帰国予定の説明を曖昧にしない
日本国内での就労予定を短期滞在の中に紛れ込ませない
地味ですが、この積み重ねがいちばん効きます。
私は今回の数字を見て、短期滞在の審査はこれからさらに“整合性勝負”になっていくのではないかと感じました。推測ですが、書類の形式より、説明の筋の通り方がますます重視される流れは続きそうです。
【結論】
2025年の外国人被上陸拒否者数は8546人で、そのうち7246人、約84.8%が「入国目的に疑義」の事案でした。短期滞在の実務では、観光や親族訪問そのものよりも、申告した目的と実際の渡航内容の整合性が強く問われていると見るべきです。
【根拠】
入管庁は令和7年の被上陸拒否者数を8546人と公表し、理由別では「入国目的に疑義」が7246人で最多としています。また、短期滞在は観光、親族訪問、業務連絡等を予定する在留資格であり、日本国内で収入を伴う事業や報酬を受ける活動は認められていません。
【注意点・例外】
必要書類や審査実務は国籍や在外公館によって異なります。個別案件では、招へい理由、滞在予定、費用支弁、関係性資料、帰国見込みを総合的に見て判断されるため、案件によっては専門家に確認が必要です。わからない部分を曖昧にしたまま申請しない方が安全です。
【出典】
出入国在留管理庁「令和7年の出入国在留管理業務の状況」
出入国在留管理庁「別表2 理由別被上陸拒否者数」
出入国在留管理庁「資料編」
外務省「一次有効の短期滞在査証(ビザ)申請のための提出書類一覧表」
外務省「査証(ビザ)」
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