特定技能1号「外食業分野」の審査状況が更新されました
出入国在留管理庁は、2026年6月26日、特定技能1号「外食業分野」の在留諸申請の審査状況を公表しました。
今回の公表で、企業や外国人本人が特に確認すべきなのは、「外食業の特定技能がすべて止まった」という単純な話ではない、という点です。
現在、外食業分野の在留資格認定証明書交付申請、つまり海外にいる外国人を新たに特定技能1号外食業として呼び寄せるための申請は、交付停止中です。
一方で、在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請については、申請の種類や受付日によって扱いが分かれています。
入管庁は、2026年6月26日掲載の審査状況で、認定申請は交付停止中、更新申請は通常どおり順次審査するとしています。
現場感覚としては、これは外食業界にとってかなり大きな運用変更です。人手不足を背景に、特定技能を前提として採用計画を組んでいた飲食店、給食事業者、外食チェーンにとっては、「内定を出したから大丈夫」「試験に合格しているから呼べる」という段階ではなくなっています。
なぜ外食業分野で交付停止が起きたのか

背景にあるのは、外食業分野の受入れ見込数、いわゆる受入れ上限です。出入国在留管理庁は2026年3月27日、外食業分野の特定技能1号在留者数が2026年2月末時点で約4万6,000人となり、同年5月頃に受入れ見込数である5万人を超えることが見込まれる状況だと説明しました。
特定技能制度は、人手不足分野で外国人材を受け入れる制度ですが、分野ごとに受入れ見込数が設定されています。
外食業分野では、この見込数に近づいたため、入管法第7条の2第3項・第4項に基づき、在留資格認定証明書の一時的な交付停止措置が講じられることになりました。
出入国在留管理庁は、2026年4月13日からこの措置をとる方針を示しています。
つまり、今回の停止は、外食業で働く外国人が不要になったという意味ではありません。むしろ、需要が非常に強く、制度上の上限に達しつつあるために、入口を絞る運用に入ったと見るべきです。
在留資格認定証明書交付申請は「交付停止中」

まず、海外から新たに特定技能1号外食業の外国人を呼び寄せる場合に使う、在留資格認定証明書交付申請については、交付停止中です。
農林水産省の外食業分野ページでも、2026年4月13日以降に受理した特定技能1号外食業の認定申請は不交付とされ、4月13日より前に受理された申請も、受入れ見込数の範囲内で順次交付されるものの、国内にいる外国人からの変更申請を優先するため、交付までに相当な遅延が見込まれると説明されています。
企業側で注意したいのは、「申請書を出せるか」ではなく、「許可・交付される見込みがあるか」です。採用面接、雇用契約、支援委託契約、住居手配まで進めていたとしても、認定証明書が交付されなければ、予定どおり入国して就労することはできません。
在留資格変更許可申請は、類型と受付日で扱いが分かれる

今回の公表で最も実務上わかりにくいのが、在留資格変更許可申請の扱いです。
2026年6月26日掲載の入管庁情報では、通常どおり審査終了次第許可されるものとして、技能実習の「医療・福祉施設給食製造作業」からの変更申請は受付日が2026年5月31日までの申請、外食業分野に係る特定活動「特定技能1号移行準備」からの変更申請も受付日が2026年5月31日までの申請とされています。
さらに、すでに特定技能1号外食業で在留している人が、外食業分野内で転職するための変更申請については、すべての申請が対象とされています。
一方で、これら以外の在留資格から特定技能1号外食業へ変更する申請については、受付日が2026年4月12日までの申請が対象です。
2026年4月13日以降に受理されたものは、原則不許可となるとされています。
ここは非常に重要です。たとえば、留学、家族滞在、技術・人文知識・国際業務、特定活動などから外食業の特定技能1号へ変更しようとする場合、受付日が2026年4月13日以降であれば、原則として厳しい扱いになります。
試験合格や日本語能力、雇用契約の有無だけでは突破できない局面です。
在留期間更新許可申請は通常どおり審査

すでに特定技能1号外食業で働いている外国人が、同じ活動を継続するための在留期間更新許可申請については、通常どおり順次審査が終了次第許可される扱いです。
入管庁の特定技能ページでも、在留期間更新許可申請は、既にその在留資格を持って日本に滞在している人が、その活動を継続して行う場合の申請だと説明されています。
この点は、現に雇用している企業にとって少し安心できる部分です。ただし、「更新は止まっていない」ことと、「必ず更新される」ことは別です。
雇用契約、報酬、支援計画、社会保険、税金、届出、協議会加入など、通常の審査事項に問題があれば、当然ながら更新審査で確認されます。
また、特定技能の外国人が所属機関を変更する場合は、単なる届出だけでなく、在留資格変更許可申請が必要とされています。
外食業分野内の転職は通常どおり審査対象とされていますが、転職先企業の受入体制や支援体制の確認を軽視してよいわけではありません。
特定活動「特定技能1号移行準備」への案内が出る場合もある

入管庁の留意事項では、順番が来る前に在留期間が満了することが見込まれる申請について、不法残留を防ぐため、特定活動「特定技能1号準備」への変更許可申請や、同特定活動の在留期間更新許可申請への申請内容変更申出を案内する場合があるとされています。
これは、かなり実務的な救済的運用です。
本人としては「特定技能1号で働く予定だったのに、なぜ特定活動なのか」と不安になるかもしれません。しかし、在留期限をまたいでしまえば、不法残留という重大な問題になります。
入管側としても、審査順や受入れ見込数の関係で直ちに特定技能1号を許可できない場合、いったん在留をつなぐ選択肢を案内することがある、という理解が現実的です。
ただし、この特定活動の更新は1回限りとされています。また、その後も引き続き同様の活動を希望する場合は、在留期間が満了する前、概ね3か月前に、改めて特定技能1号外食業への変更許可申請を行うよう案内されています。
協議会加入証明書があっても受入れできるとは限らない

外食業分野では、食品産業特定技能協議会への加入も重要です。
農林水産省は、特定技能所属機関は協議会の構成員になることが求められ、特定技能外国人の受入れにあたっては、入管への在留諸申請前に協議会へ加入するよう案内しています。
もっとも、今回の停止措置後も協議会加入申請は受け付けられるものの、加入証明書が発行された場合であっても受入れができない場合があると注意喚起されています。加えて、協議会の加入証発行までには2〜3か月程度を要する状況とされています。
行政書士の実務目線でいえば、ここは企業に必ず説明しておきたいところです。
協議会加入は必要な手続ですが、「加入できたから在留許可も出る」という関係ではありません。制度上の入口、分野別の上限、本人の要件、企業側の受入体制は、それぞれ別に確認されます。
企業が今すぐ確認すべきこと

外食業で特定技能外国人の採用を予定している企業は、まず次の3点を確認する必要があります。
1つ目は、申請の種類です。認定申請なのか、変更申請なのか、更新申請なのかで結論が変わります。
2つ目は、受付日です。特に変更申請では、2026年4月12日、4月13日、5月31日といった日付が重要な分かれ目になります。
3つ目は、本人の現在の在留資格と経路です。技能実習の医療・福祉施設給食製造作業からの移行なのか、特定活動「特定技能1号移行準備」からの移行なのか、すでに外食業の特定技能1号で働いている人の転職なのか、それ以外なのか。この区別を間違えると、採用計画全体が崩れます。
「人手不足だから許可される」は通用しにくくなっている

外食業界の人手不足は深刻です。現場からすれば、「働きたい外国人がいて、雇いたい企業があるのに、なぜ止まるのか」と感じる場面もあると思います。
しかし、特定技能制度は、単に個別企業の人手不足を埋めるだけの制度ではありません。分野ごとの受入れ見込数、産業政策、国内労働市場、外国人本人の保護、支援体制などを含めて設計されています。今回の外食業分野の停止措置は、その制度設計が現実の採用現場に強く影響した例といえます。
今後、企業側は「採用できそうな人材がいるか」だけではなく、「その分野で今、どの申請が動いているのか」まで見て採用計画を立てる必要があります。
これは外食業に限らず、特定技能制度全体で今後ますます重要になる視点です。
在留資格申請や外国人雇用の判断は、制度の条文だけでなく、受付日、現在の在留資格、過去の申請経緯、受入機関の体制によって結論が変わることがあります。特定技能1号外食業で採用や転職を予定している場合は、早い段階で申請類型とスケジュールを確認することをおすすめします。
- 記事末尾の整理
【結論】
2026年6月26日時点で、特定技能1号外食業分野の在留資格認定証明書交付申請は交付停止中です。ただし、すべての申請が止まっているわけではなく、在留資格変更許可申請は類型と受付日によって扱いが分かれ、在留期間更新許可申請は通常どおり審査されています。企業は、採用予定者の現在の在留資格、申請受付日、移行経路を確認したうえで判断する必要があります。
【根拠】
外食業分野では、特定技能1号在留者数が受入れ見込数5万人に近づいたことから、2026年4月13日以降、在留資格認定証明書交付申請について一時的な交付停止措置がとられています。2026年6月26日掲載の入管庁情報では、変更申請の扱いが受付日と申請類型ごとに整理され、更新申請は通常どおり審査されるとされています。
【注意点・例外】
認定申請、変更申請、更新申請を混同しないことが重要です。特に、2026年4月13日以降に受理された「その他の在留資格からの変更申請」は原則不許可とされている一方、外食業分野内での転職、一定の技能実習からの移行、特定活動「特定技能1号移行準備」からの移行については別扱いがあります。個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
【出典】
出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況(2026年6月26日掲載)」
出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」
農林水産省「外食業分野における外国人材の受入れについて」
農林水産省「食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)について」
出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」
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