特定技能の受入れ上限に近づく外食業・食品製造業――最新の充足率から考える採用計画
JITCO(公益財団法人国際人材協力機構)が、特定技能外国人の受入れ見込数と充足率をまとめた資料を更新しました。
9月8日掲載の「9/7更新」のお知らせで、集計対象は2026年6月末時点の速報値です。
外食業の充足率は98.1%。飲食料品製造業も75.5%に達しています。
外国人の採用を考える企業にとって、申請人や会社の要件に加え、分野全体の受入れ状況にも目を向ける必要があることを示す数字です。
JITCOのお知らせ
外食業98.1%、飲食料品製造業75.5%という現在地

主な分野の状況は、次のとおりです。
| 分野 | 受入れ見込数 | 特定技能1号の在留者数 | 充足率 |
|---|---|---|---|
| 外食業 | 50,000人 | 49,060人 | 98.1% |
| 飲食料品製造業 | 133,500人 | 100,769人 | 75.5% |
| 建設 | 76,000人 | 52,132人 | 68.6% |
| 介護 | 126,900人 | 79,884人 | 63.0% |
| 農業 | 73,300人 | 44,050人 | 60.1% |
| 全19分野合計 | 805,700人 | 425,961人 | 52.9% |
受入れ見込数は2029年3月までのもの、在留者数は2026年6月末の速報値です。
入管庁の公表値とJITCOの一覧を基に、主な分野を抜粋しています。
入管庁の公表資料、JITCOの一覧表
全体の充足率だけを見ると、まだ約半分です。
しかし、採用を検討する企業に直接関わるのは、自社が受け入れる分野の状況でしょう。外食業と他の分野では、すでに置かれている状況が大きく違います。
「充足率」は、何が満たされた割合なのか

この表の充足率は、分野ごとの受入れ見込数に対する、特定技能1号の在留者数の割合です。
企業の求人が埋まった割合や、業界の人手不足が解消した割合を示すものではありません。
例えば外食業の98.1%は、制度上の受入れ見込数5万人に在留者数が近づいているという意味です。個々の店舗で必要な人員が確保できているかどうかは、この表からはわかりません。
また、対象期間は2029年3月までです。今回の公表から新たに5年間の枠が始まるわけではない点も、押さえておきたいところです。
差し引きの人数を「採用できる残り枠」と考えない
外食業では、5万人から49,060人を引くと940人になります。ただし、これを今から新たに採用できる人数として使うことはできません。
表に載っているのは6月末の在留者数です。申請中の案件や、その後の入国・出国、他の在留資格への変更などを含めた現在の状況までは表していません。
実際の申請の扱いは、公表された運用と併せて判断する必要があります。
JITCOの表に付いた色も、割合を見やすくするための区分です。色が変わったことだけで、申請が停止するという意味には読めません。
外食業では、新規申請・更新・転職の扱いを分けて確認する

外食業では、2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付に関する停止措置が取られています。
入管庁は、同日以降に受理した認定証明書交付申請を不交付とする取扱いを公表しています。
入管庁の停止措置のお知らせ
一方、8月10日掲載の審査状況では、在留資格変更許可申請を優先し、毎月の在留者数を踏まえて認定証明書を交付できる場合には、受付日順に順次交付すると説明されています。
停止措置前に受け付けられた案件の処理と、新たな申請の扱いを区別する必要があります。
入管庁の審査状況
すでに外食業の特定技能1号で在留している方の更新や、同分野内の転職に伴う申請は、通常どおり審査する取扱いです。
ただし、他の在留資格からの変更には原則不許可となる範囲と例外があり、「日本国内にいる人なら採用できる」とも言い切れません。
入管庁の受入れ上限の運用
採用担当者としては、「海外から呼び寄せるのか」「別の在留資格から変更するのか」「外食業の特定技能1号として転職するのか」を、最初に整理しておきたいところです。
通常どおり審査される場合も、許可が保証されるわけではありません。
食品製造・介護・建設でも、採用計画を点検するきっかけに

飲食料品製造業の75.5%、建設の68.6%、介護の63.0%という数字を見て、「次はいつ止まるのか」と気になる企業もあるでしょう。
ただ、今回の数値だけで停止の有無や時期はわかりません。
一定の割合に達したら自動的に止まると決めつけたり、数か月の増加をそのまま延長して停止日を予測したりするのは慎重でありたいと思います。
そのうえで、採用計画を点検する材料にはなります。
例えば、食品工場が来春の新ライン稼働に合わせて外国人の採用を予定している場合。入社希望日だけを先に固めるのではなく、候補者の現在の在留資格、必要な試験や書類の準備状況、分野の最新運用を確認し、就労開始が遅れた場合の人員配置も考えておく。この一手間が、後の調整をしやすくします。
新潟県内の企業でも、全国の受入れ状況と自社の採用予定を別々の話として扱わず、人材紹介会社や支援機関と定期的に確認することをおすすめします。
採用人数とともに、働き続けられる環境を考える

私が今回の資料から感じるのは、採用できる時期の確認と、採用後の定着を一緒に考える必要性です。
給与や仕事内容の説明に食い違いはないか。困ったときに相談できるか。日本語や技能を学ぶ機会があるか。新しい人を迎える準備と併せて、すでに働く方の声を聞く時間も大切にしたいところです。
受入れ見込数は制度を運用するための数字ですが、その中には一人ひとりの仕事と生活があります。企業の事業計画と、本人の将来の見通しをすり合わせながら準備を進めることが、実務では欠かせないと考えています。
Asocia行政書士法務事務所では、特定技能をはじめとする在留資格申請について、予定する業務や本人の在留状況を踏まえた確認をお手伝いしています。採用日程に不安がある場合は、計画の段階でご相談ください。
4.記事末尾の整理
【結論】
特定技能の採用計画では、本人・企業の要件と併せて、分野別の受入れ状況を確認する必要があります。充足率や上限との差だけで、採用の可否を判断することはできません。
【根拠】
2026年6月末の特定技能1号の在留者数・受入れ見込数、JITCOの比較資料、入管庁が公表する外食業の停止措置と申請別の運用に基づいています。
【注意点・例外】
人数は速報値であり、9月現在の在留者数ではありません。更新・転職・他資格からの変更では取扱いが異なります。個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
【出典】
一次情報:数値は出入国在留管理庁の「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年6月末時点・速報値)」、外食業の扱いは同庁の受入れ上限の運用(3月27日)、交付停止措置のお知らせ(4月13日)、在留諸申請の審査状況(8月10日掲載)を参照しています。
参考情報:分野別の比較には、JITCOの「【9/7更新】一目で判る!特定技能外国人制度の受入れ見込数(上限)と受入れ充足率」(9月8日掲載)と、添付いただいた一覧表を使用しています。
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