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TOP > コラム > 無資格の行政書士業務代行で逮捕報道|企業が確認したい依頼先と業務範囲

無資格の行政書士業務代行で逮捕報道|企業が確認したい依頼先と業務範囲

2026.10.21
コラム外国人雇用就労ビザ法改正
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無資格の行政書士業務代行で逮捕報道|企業が確認したい依頼先と業務範囲

特殊車両の通行許可をめぐる逮捕報道

2026年10月9日、テレビ静岡は、行政書士の資格がないまま法人から依頼を受け、特殊車両の通行許可に関する書類を作成した疑いで、静岡県内の53歳の男性が逮捕されたと報じました。

報道によれば、容疑の対象は2024年11月の書類作成で、報酬として2万円を受け取ったとみられています。

警察は約40の顧客を抱えて少なくとも1年以上業務を続けていたとみて、調べる方針とされています。
テレビ静岡

現段階では逮捕容疑についての報道であり、有罪が確定したものではありません。
個々の契約内容や業務の全容はわかりません。その前提で、企業が外部に申請を任せる際の注意点を考えたいと思います。

申請書を作る仕事には、法律上のルールがある

特殊車両通行許可は、道路法上の通行制限を超える車両などについて、道路管理者の許可を受ける手続です。申請には車両の情報や通行経路などの整理が必要になります。
運送業者にとって、日々の事業に直結する手続の一つです。
cbr.mlit.go.jp

こうした官公署に提出する書類の作成は、行政書士法が定める業務に含まれます。
現行法の第1条の3と第19条により、他の法律に根拠がある場合などの例外を除き、行政書士又は行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、報酬を得て業として行うことは制限されています。
e-Gov 法令検索

「書式に入力するだけ」「役所で受け付けてもらえた」という事情だけで、受託業務の適法性が決まるわけではありません。

誰の依頼で、何を作り、何の対価を受け取っているのか。その実態を確認する必要があります。

もちろん、本人が自分の申請書を作成したり、会社の担当者が自社の申請書を作成したりすることまで一律に禁止する制度ではありません。

他士業が法律上認められた範囲で行う業務もあります。
「行政書士以外は書類に触れてはいけない」と広げて理解しないことも大切です。

2026年改正で、報酬の名目に関する規定が明確に

2026年1月1日施行の改正行政書士法では、第19条に「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が加わりました。
shugiin.go.jp

書類作成の対価であれば、会費、コンサルタント料、サポート料などの名称でも問題になるという趣旨です。

例えば、月額の支援料に申請書作成の対価が実質的に含まれている場合、見積書の書類作成料を0円と表示しただけでは判断できません。

ただし、この業務制限は2026年に初めて設けられたものではありません。
国会審議でも、今回の文言追加は従来の解釈を明確にするもので、違法・合法の線引きを変更するものではないと説明されています。
shugiin.go.jp

今回報じられた容疑は2024年の行為です。
改正法の附則にも、施行前の行為に対する罰則は従前の例によると定められています。
今回の逮捕を、そのまま「2026年の改正で違法になった事例」と紹介することは適切ではありません。
shugiin.go.jp

外国人の在留申請でも、役割分担の確認が必要

今回の事件として報じられたのは特殊車両の手続ですが、書類作成を誰に任せるかという問題は、外国人雇用の現場にも関わります。

例えば、登録支援機関に特定技能外国人の支援を委託する場合です。
生活支援、申請書類の作成、申請の取次ぎを、契約上も実務上も整理しておきたいところです。

登録支援機関の職員は、所定の承認などの要件を満たせば申請を取り次ぐことができます。
ただし、取次ぎができることから、報酬を得て他人の申請書類を業として作成できるとはいえません。
出入国在留管理庁

出入国在留管理庁も、弁護士・行政書士以外の者が、業として手数料を得るなどして自らオンラインシステムに申請情報を入力した場合、行政書士法等に違反することがあると注意喚起しています。

紙の申請書がなくても、この問題は生じます。
moj.go.jp

企業や学校による適法な手続支援まで萎縮させる必要はありません。
ただ、外部への委託契約では、担当者の立場、作成する書類、費用の対象を具体的に確認しておく必要があります。

個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。

依頼する前に、担当者と責任の所在を確かめる

依頼先を選ぶとき、料金や処理の速さは気になるものです。
そこに、資格・登録と責任分担の確認も加えていただきたいと思います。

行政書士に依頼する場合は、氏名、登録番号、事務所名を確認できます。
日本行政書士会連合会の会員検索では、氏名や登録番号などから検索が可能です。
試験に合格したという説明だけでなく、現在の登録状況まで確かめましょう。
不明な点は所属行政書士会に確認する方法もあります。
日本行政書士会連合会

また、「行政書士と提携しています」という案内を受けた場合も、実際に誰が受任し、誰が書類作成に責任を持つのかを確認してください。

窓口の会社名だけでは、具体的な業務体制までは見えません。

契約書や見積書では、書類作成、提出、追加資料への対応、費用の支払先を確認し、申請書の控えや受付記録も手元に残しておくことをおすすめします。

担当者と連絡が取れなくなった際にも、自社で進捗を把握できる状態が望ましいからです。

申請を任せることも、企業の管理の一部

行政書士として今回の報道から考えるのは、依頼する側が業務の仕組みを理解できる説明の大切さです。資格の有無に加えて、何を引き受け、どこまで対応するのかを伝えることは、私たち自身の責任でもあります。

許認可や在留資格の手続は、事業の継続や本人の生活に関わります。
慣れた相手との取引でも、契約内容と担当者を確認する機会を持っていただければと思います。

Asocia行政書士法務事務所では、在留資格申請や外国人雇用に関するご相談を承っています。
外部の支援機関とどのように役割分担をすればよいか迷う場合も、ご相談ください。


4.記事末尾の整理

【結論】

申請を外部に委託するときは、資格・登録、実際の作成者、報酬の対象を確認することが大切です。申請の取次ぎと書類作成の権限も区別して考える必要があります。

【根拠】

行政書士法第1条の3・第19条、令和7年法律第65号とその附則、衆議院総務委員会の改正法審議、出入国在留管理庁のオンライン申請に関する注意喚起に基づき整理しました。

【注意点・例外】

本人による申請や自社内の書類作成、他法令等に基づく例外があります。有償性や業務内容の判断は契約の名称だけではできません。今回の被疑者の有罪や、依頼企業・約40の顧客それぞれの法的責任は、報道だけでは判断できません。

【出典】

一次情報

  • 行政書士法(e-Gov法令検索)
  • 行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)
  • 衆議院総務委員会会議録・2025年5月29日
  • 出入国在留管理庁・オンライン申請の利用に関する注意喚起
  • 出入国在留管理庁・所属機関、公益法人、登録支援機関の職員向け案内
  • 国土交通省・特殊車両通行許可申請

関係団体の公式情報

  • 日本行政書士会連合会・行政書士会員検索

参考情報(報道)

  • テレビ静岡・無資格での行政書士業務代行をめぐる逮捕報道(2026年10月9日)

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播磨 史雄

この記事の執筆者

播磨 史雄 代表 入管取次行政書士

平成23年行政書士登録、同年開業。法人設立・補助金業務のほか、2018年より新潟県委託の外国人材受け入れサポートセンター相談員として入管業務にも従事。

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