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TOP > コラム > 自民党「外国人政策」第2次提言をどう読むか|不法就労・民泊・ヤード対策の実務影響

自民党「外国人政策」第2次提言をどう読むか|不法就労・民泊・ヤード対策の実務影響

2026.06.20
コラム不法就労外国人支援外国人雇用就労ビザ法改正
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外国人政策の第2次提言は「受入れ拡大」と「管理強化」の同時進行を示している

自民党外国人政策本部が、外国人政策に関する第2次提言を取りまとめ、高市首相に申し入れたと報じられています。

今回の提言では、不法滞在、不法就労、無届け民泊、不適正ヤード、土地取得、日本語教育など、かなり広いテーマが扱われています。

行政書士として見たとき、今回の提言は単なる「外国人に厳しくする話」と見るべきではありません。

むしろ、今後の外国人受入れ政策が、「人手不足だから受け入れる」という段階から、「受け入れる以上、雇用、生活、地域、安全保障、行政情報連携まで含めて管理する」という段階に移っていることを示しているように感じます。

自民党の第2次提言では、不法滞在者ゼロプラン、不法就労対策、入管DX、在留管理の適正化、各種民泊の適切な運営確保、日本語・生活学習プログラムなどが柱として整理されています。

特に、不法就労の予防として、偽変造在留カード対策、在留カード等読取アプリの使用徹底、外国人雇用状況届出制度の厳格化が明記されています。

企業にとって重要なのは「知らなかった」では済みにくくなる点

外国人雇用の現場で一番大きいのは、不法就労対策の強化です。

これまでも、企業には在留カードの確認、在留資格に応じた業務内容の確認、外国人雇用状況届出などが求められてきました。

しかし、実務上は「在留カードのコピーを取って終わり」「在留期限だけ見ている」「就労制限の有無までは確認していない」という会社も少なくありません。

今回の提言では、偽変造在留カード対策として、事業主に在留カード等読取アプリの使用を徹底させる方向性が示されています。これは、今後の外国人雇用管理において、目視確認だけでは不十分と評価される場面が増える可能性を意味します。

もちろん、提言の段階ですので、これだけで直ちに企業の法的義務が新設されたわけではありません。ただ、行政の運用や指導が変わる前には、こうした政策文書に方向性が先に出ることがあります。企業側は、今のうちから在留カード確認の手順を社内ルール化しておくべきです。

実務で確認すべき基本項目

最低限、採用時と更新時には、在留カードの真正性、在留期限、在留資格、就労制限の有無、資格外活動許可の有無、実際の業務内容との整合性を確認する必要があります。

特に「技術・人文知識・国際業務」の方を単純作業中心で雇用している場合や、「留学」「家族滞在」の方を長時間働かせている場合は、企業側にも不法就労助長のリスクが生じます。ここは、外国人本人だけの問題ではありません。

無届け民泊は、在留審査にも接続される可能性がある

今回の提言で注目すべきもう一つの点は、民泊です。

提言では、法令手続が行われずに営業されている無届民泊や、宿泊者の迷惑行為に適切に対応しない民泊が存在するとし、各種民泊の適切な運営確保が必要だとされています。

さらに、民泊仲介サイトと国の民泊データベースを連携させ、無届民泊を仲介サイトから削除する仕組みや、自治体と連携した夜間の処分事実把握なども提言されています。

行政書士の実務感覚でいうと、ここで重要なのは「民泊事業者の国籍及び在留資格の把握」や「処分歴を在留審査へ反映するための情報連携」が明記されている点です。

これは、外国人が民泊ビジネスを行う場合、単に住宅宿泊事業法や旅館業法の問題にとどまらず、在留資格の更新、変更、永住審査などにも影響し得る方向性を示しています。

たとえば「経営・管理」で民泊事業を行う場合、許認可や届出を適正に行っているか、事業実態があるか、法令違反がないかは、今後ますます見られやすくなるでしょう。副業的に無届けで民泊を行うようなケースは、在留資格上もかなり危険です。

不適正ヤード対策は、地域社会と外国人ビジネスの接点にある

提言では、不適正ヤードについても対策強化が求められています。不適正ヤードとは、法令を守らずに解体廃棄物、自動車、スクラップなどを保管するヤードを指す文脈で使われています。

提言では、業者の国籍や資本関係に関する実態把握を含めて対策を強化すべきとされています。

この分野は、在留資格「経営・管理」とも関係します。中古車輸出、解体、自動車部品、金属スクラップなどは、外国人経営者から相談が多い分野です。

もちろん、適法に事業を行っている事業者まで一律に問題視すべきではありません。

ただ、現場では、土地利用、古物商許可、産業廃棄物、解体業、ヤード条例、消防、近隣対応などが複雑に絡みます。事業計画だけを見ると成立しているように見えても、実際には許認可や地域規制を満たせないケースがあります。

ここは、入管申請だけを見ていては危ないところです。経営・管理ビザの相談で、ヤード、車両保管、解体、輸出が絡む場合には、事業所所在地の自治体規制、必要許認可、土地使用の適法性まで確認する必要があります。

日本語・生活学習プログラムは「支援」でもあり「審査要素」になり得る

今回の提言は、取締り一辺倒ではありません。外国人が日本語や日本の制度・ルールを学ぶ「日本語・生活学習プログラム(仮称)」の創設も盛り込まれています。

提言では、在留外国人と帯同家族を対象に、入国前からオンデマンド受講でき、受講履歴を一元的に把握できるシステムの開発を進めるべきだとされています。

さらに、当該プログラムを受講し、内容を理解していることを在留審査における考慮要素とすることも検討すべきとされています。

ここは、かなり大きなポイントです。

日本語教育や生活オリエンテーションは、これまで自治体、学校、企業、登録支援機関、監理団体などがそれぞれ担ってきました。

しかし、今後は国が標準的なプログラムを作り、受講履歴を在留管理と接続する方向に進む可能性があります。

また、永住許可についても、日本語・生活学習プログラムを受講することを永住許可の条件とすることや、取消事由の範囲拡大を含めた検討が提言されています。

現時点で、これが正式な永住要件になったわけではありません。ただ、永住審査が「収入・納税・年金・保険」だけでなく、「日本社会のルール理解」へ広がっていく可能性は十分にあります。

外国人雇用企業は、採用後の管理体制まで問われる

今回の提言全体を読むと、外国人政策は明らかに「入口管理」だけではなくなっています。

採用時に在留資格を確認する。入管に申請する。許可が出る。それで終わりではありません。

入社後に、実際の業務内容が在留資格に合っているか。転勤や配置転換で業務が変わっていないか。社会保険、税金、住居、生活ルール、日本語支援が適切か。副業や無許可営業がないか。企業がどこまで把握し、どこまで支援するのかが問われる時代になっています。

これは、企業にとって負担が増える話でもあります。しかし、見方を変えれば、適正に外国人雇用をしている企業が評価される方向でもあります。

外国人材の受入れは、もう「人が足りないから採る」という単純な話ではありません。

地域社会の中で、外国人本人、企業、自治体、支援機関がどう責任を分け合うか。その設計ができている企業ほど、今後は安定して外国人材を受け入れられるはずです。

行政書士としての実務上の見方

今回の第2次提言は、まだ政策提言であり、すべてがそのまま法律や運用になるとは限りません。ここは冷静に見なければなりません。

一方で、提言の中にはすでに政府が検討を進めているもの、制度改正やシステム改修に着手しているものも含まれています。民泊データベースと仲介サイトの連携、入管DX、JESTA、マイナンバーによる情報連携、日本語・生活学習プログラムなどは、今後の在留管理を大きく変える可能性があります。

実務家としては、政治的な賛否よりも先に、「何が企業や申請者の審査リスクになるのか」を見ておく必要があります。

在留資格申請は、申請書類だけで完結するものではありません。雇用管理、許認可、納税、社会保険、地域との関係、行政処分歴、事業の透明性。そうした周辺事情が、少しずつ審査に接続されていく流れが強まっています。

外国人を雇用する企業、外国人経営者、支援機関は、今のうちに自社の運用を点検しておくべきです。

在留資格申請や外国人雇用の判断は、制度の条文だけでなく、実際の活動内容、雇用管理、許認可、生活支援の状況によって結論が変わることがあります。

判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

  1. 記事末尾の整理

【結論】

自民党外国人政策本部の第2次提言は、不法就労や無届け民泊、不適正ヤードへの対策強化だけでなく、日本語教育、在留管理、入管DX、情報連携まで含む広い政策提言です。企業や外国人経営者にとっては、今後「申請時の書類」だけでなく、採用後・事業開始後の適正管理がより重要になります。

【根拠】

自民党外国人政策本部第2次提言では、不法就労対策として偽変造在留カード対策、在留カード等読取アプリの使用徹底、外国人雇用状況届出制度の厳格化が示されています。
また、無届民泊対策として、民泊制度運営システムと仲介サイトのデータ連携、処分歴の在留審査への反映、民泊事業者の国籍・在留資格把握などが提言されています。
日本語・生活学習プログラムについては、令和10年度からの試行実施、受講履歴の一元的把握、在留審査における考慮要素化の検討が示されています。

【注意点・例外】

今回の内容は、現時点では政党の提言を含む政策段階のものです。すべてが直ちに法的義務になるわけではありません。
ただし、行政運用や制度改正の方向性としては重要です。特に外国人雇用、民泊、ヤード、中古車輸出、経営・管理、永住申請に関係する案件では、今後の審査や行政指導に影響する可能性があります。
個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。

【出典】

一次情報
自由民主党「外国人政策本部 第2次提言」
自由民主党「外国人政策本部 第2次提言案を新藤本部長に一任」
出入国在留管理庁 公表資料、外国人雇用・在留管理関連資料

参考情報
産経新聞「外国人不法就労や無届け民泊、不適正ヤード対策強化を 自民が提言、首相『受け止める』」2026年6月12日

 

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