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TOP > コラム > 外国人ビザ手数料が7月から5倍へ|査証と在留資格の違いを行政書士が解説

外国人ビザ手数料が7月から5倍へ|査証と在留資格の違いを行政書士が解説

2026.06.21
コラム外国人支援法改正
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外国人ビザ手数料が7月から値上げへ。まず確認したい「ビザ」の意味

政府は2026年6月19日、査証手数料等を定める政令の一部改正を閣議決定しました。外務大臣会見では、2026年7月1日から、一次入国査証の手数料を現行3,000円から15,000円へ、数次入国査証の手数料を現行6,000円から30,000円へ改定すると説明されています。

今回のニュースで、実務上もっとも注意したいのは、「外国人ビザ手数料」という言葉だけを見て、在留資格変更や在留期間更新の手数料と混同してしまうことです。

日本では日常的に「ビザ」という言葉が広く使われます。たとえば「留学ビザ」「技人国ビザ」「配偶者ビザ」と言いますが、法律上は、多くの場合「在留資格」を指しています。

一方、外務省が扱う「査証」は、日本に入国する前に在外公館で発給されるものであり、日本での在留資格とは別のものです。外務省も、査証と在留資格は別のものだと説明しています。

今回の「ビザ」の値上げはこの外務省が扱う「査証」とことを指します。

 

今回上がるのは「入国前に取得する査証」の手数料

今回の改定対象は、外国人が日本に入国する前に、海外の日本大使館・総領事館等で申請する査証手数料です。

具体的には、一般入国査証は15,000円、数次入国査証は30,000円となります。外務省領事局が公表していた政令案の概要でも、邦貨で納付する額として、一般入国査証15,000円、数次入国査証30,000円と整理されていました。

ここでいう「一般入国査証」は、いわゆる一回限り入国できる査証です。観光、親族訪問、商用、または在留資格認定証明書交付後に就労・留学・家族滞在などで来日する場面でも、入国前に査証申請が必要になることがあります。

外務省の説明では、就労や長期滞在の場合、原則として出入国在留管理庁で在留資格認定証明書を取得した上で、査証申請人が居住する国・地域を管轄する在外公館で査証申請を行うとされています。

つまり、企業や学校が日本側で在留資格認定証明書交付申請を行い、許可後に本人が海外の大使館で査証申請をする。その最後の段階で、本人側の負担が増えるという理解が実務に近いです。

在留資格の更新手数料とは別の話

一方、日本国内で行う在留期間更新許可申請、在留資格変更許可申請、永住許可申請などの手数料引き上げは、今回の査証手数料改定とは別の制度改正です。

ここを混同すると、顧問先や外国人本人への説明がかなりぶれます。

たとえば、すでに日本に在留している外国人が、技術・人文知識・国際業務の更新をする、家族滞在から留学へ変更する、永住申請をする。

これは入管庁の在留手続です。今回の外務省の査証手数料とは窓口も制度も異なります。

もちろん、政府全体としては、外国人関連手数料を見直す流れが続いています。そのため、企業や学校から見ると「また手数料が上がるのか」という受け止めになるのも自然です。

ただ、制度を説明する側としては、「入国前の査証」と「日本国内の在留手続」を分けて話す必要があります。

なぜ48年ぶりの改定なのか

外務大臣会見では、今回の査証手数料は1978年に定められたもので、現在までの物価上昇や為替相場の変動に対応するため見直したと説明されています。外務省領事局の政令案概要でも、査証手数料は昭和53年の改定以降据え置かれてきたとされています。   

48年ぶりという言葉には、それなりの重みがあります。

行政手続の手数料は、長く据え置かれると、ある日まとめて上がることがあります。今回も、現場感覚としては「段階的に少しずつ」ではなく、「一気に5倍」という印象が強いでしょう。

ただし、15,000円、30,000円という金額が、直ちに日本への入国抑制につながるかは慎重に見る必要があります。外務大臣も、すぐにインバウンドに影響が出るとは考えていないと述べています。

企業・学校・支援者が説明するときのポイント

実務では、次のような説明が分かりやすいと思います。

「今回上がるのは、海外の日本大使館等で申請する査証の手数料です。日本国内で在留資格を更新・変更する手数料とは別です。ただし、海外から新しく人を呼ぶ場合、本人が最後に査証を取る段階で費用が増える可能性があります。」

これだけでも、かなり誤解は防げます。

特に注意したいのは、留学生、家族滞在、特定技能、技人国などで、海外から本人を呼ぶケースです。日本側で在留資格認定証明書が出た後、本人が査証申請をします。そのときに、本人または家族が手数料の増額を知らないと、「聞いていなかった」という小さな不信感につながることがあります。

金額だけを見れば、採用費全体や留学費用全体の中では大きな割合ではないかもしれません。それでも、国によっては15,000円の負担感は軽くありません。支援する側としては、制度説明書や見積り、入国までの流れの案内に、査証手数料の改定を一言入れておくべきです。

短期滞在の査証免除国はどうなるか

短期滞在については、そもそも査証が不要な国・地域があります。外務省は、74の国・地域に対して短期滞在の査証免除措置を実施していると公表しています。

そのため、査証免除の対象国から観光や短期商用で来日する人は、通常、今回の査証手数料改定の直接の対象にはなりません。

一方で、中国、フィリピン、ベトナムなど、短期滞在でも査証が必要となる国・地域の人にとっては、親族訪問や商用訪問の負担が増える場面があります。数次査証を使って日本との往来をしている経営者、取引先、家族訪問者にも影響が出ます。

制度の信頼性と「選ばれる国」としてのバランス

外国人関連制度では、近年、適正化、厳格化、費用負担の見直しという言葉がよく出てきます。不正利用への対応や行政コストの確保は必要です。制度を維持するためには、一定の手数料見直しも避けられない部分があります。

ただ、現場で外国人本人や企業と接していると、手数料の金額そのものよりも、「なぜ上がるのか」「いつからなのか」「自分の手続に関係あるのか」が分からないことの方が不安を大きくします。

日本が外国人材や留学生、観光客を受け入れていくのであれば、制度を厳格にするだけでなく、説明の分かりやすさも同じくらい大切です。費用が上がるなら、情報提供も丁寧にする。

これは、行政だけでなく、企業、学校、支援者、専門家にも求められる姿勢だと感じます。

まとめ

今回の査証手数料引き上げは、外国人の入国前手続に関する改定です。2026年7月1日以降、一次入国査証は15,000円、数次入国査証は30,000円となる予定です。

ただし、これは日本国内での在留資格更新・変更の手数料とは別です。ニュースの見出しだけを見ると混乱しやすいところですが、実務ではここを分けて説明することが重要です。

海外から人を呼ぶ企業、学校、家族、支援者は、在留資格認定証明書が出た後の査証申請段階まで含めて、本人に費用と流れを案内しておくとよいでしょう。

在留資格申請や外国人雇用の手続は、制度改正のたびに確認すべきポイントが増えています。判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

4. 記事末尾の整理

【結論】
今回値上げされるのは、海外の在外公館で申請する「査証」の手数料です。日本国内で行う在留資格変更・更新の手数料とは別制度であり、企業・学校・支援者はこの違いを明確に説明する必要があります。

【根拠】
外務大臣会見では、2026年7月1日から一次入国査証を3,000円から15,000円、数次入国査証を6,000円から30,000円へ改定すると説明されています。外務省領事局の政令案概要でも、昭和53年以降据え置かれていた査証手数料を、物価上昇や為替相場の変動に対応して見直すとされています。   

【注意点・例外】
査証免除国・地域からの短期滞在者には、通常、査証手数料は発生しません。ただし、就労・留学・家族滞在など長期滞在目的で来日する場合は、在留資格認定証明書交付後に査証申請が必要となるのが原則です。個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。

【出典】
外務省「茂木外務大臣会見記録 令和8年6月19日」
外務省領事局「領事官の徴収する手数料に関する政令の一部を改正する政令案の概要について」
外務省「査証(ビザ)」
外務省「査証免除国・地域(短期滞在)」

 

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