特定技能に「資源循環分野」新設|廃棄物処理業で外国人材を受け入れる条件とは
この記事のポイント

- 対象は廃棄物処分業のうち「中間処理」を行う業務
- 一般廃棄物、産業廃棄物のいずれも対象になり得る
- 受入企業には、協議会による書面確認や実地確認が予定されている
- 告示は公布されたが、現時点で直ちに採用できるわけではない
- 受入れ開始は2027年が予定されている
資源循環分野の受入基準が官報に掲載
2026年7月30日、特定技能制度と育成就労制度における「資源循環分野」の受入基準が官報に掲載されました。
資源循環分野は、2026年1月23日の閣議決定により新たな対象分野となったものです。
今回の告示によって、どのような事業者が外国人材を受け入れられるのか、受入企業に何が求められるのか、その輪郭がより具体的になりました。
対象となる業務区分は「廃棄物処分業(中間処理)」です。
環境省は、一般廃棄物と産業廃棄物のどちらも対象になると説明しています。
ただし、「リサイクル関係の会社であれば、どこでも特定技能外国人を雇える」という制度ではありません。
収集運搬のみを行う会社や、最終処分だけを行う会社が当然に対象になるわけでもない点には注意が必要です。
自社の許可・認定内容と、外国人に担当してもらう実際の業務を照合しなければなりません。
環境省「資源循環分野における特定技能制度及び育成就労制度」
なぜ資源循環分野が追加されたのか

背景にあるのは、廃棄物処理業界の深刻な人手不足です。
政府の分野別運用方針では、2028年度に必要となる就業者数を約12万2,000人と見込む一方、実際の就業者数は約10万5,000人にとどまり、約1万7,000人が不足すると推計しています。
ICT・IoTを活用した設備の導入や国内人材の確保を進めても、なお約4,500人が不足するとされています。
廃棄物処理業の2024年度の有効求人倍率が5.35倍とされている点からも、採用の難しさが分かります。
そこで、2026年度から2028年度までの分野全体の受入れ見込数は4,500人とされました。
内訳は、特定技能1号が900人、2027年度から始まる育成就労が3,600人です。
厚生労働省掲載「特定技能・育成就労の分野別運用方針」
数字を見ると、即戦力としての特定技能より、育成就労によって現場で人材を育てることに重点を置いた制度設計であることがうかがえます。
受入企業には「優良機関認証」が求められる

資源循環分野の特徴は、受入企業に対する確認が比較的厳格に予定されている点です。
環境省によれば、受入れを希望する企業に対して、分野別協議会が書面確認と実地確認を行います。これは受入れ前の一度だけではなく、受入れ後も定期的に実施される予定です。
確認を受けても認証されなかった場合は、特定技能外国人や育成就労外国人の受入要件を満たさないことになります。
告示では、関係法令に基づく許可・認定を受けていること、協議会へ加入して必要な協力を行うこと、協議会で合意された事項を遵守することなどが定められています。
労働者派遣による受入れは認められず、原則として受入企業との直接雇用になります。
行政書士として気になるのは、在留資格の書類を整える以前に、会社側の廃棄物処理法上の許可、労働安全衛生体制、教育記録などが確認対象になり得る点です。
外国人材の採用だけを切り離して準備するのでは足りません。
日頃の法令遵守や現場管理そのものが審査の土台になる制度だと受け止めるべきでしょう。
告示公布は「採用解禁」ではない

ここは誤解されやすいところです。
今回、受入基準に関する告示は公布されましたが、2026年8月1日現在、特定技能評価試験の詳細、協議会への加入手続、具体的な認証項目、分野別運用要領別冊などは「詳細決まり次第」とされています。
したがって、現時点で候補者と雇用契約を締結すれば、すぐに資源循環分野の特定技能申請ができるわけではありません。環境省の資料では、2027年中の受入れ開始を目指すとされています。
環境省「資源循環分野の受入れについて」
人材紹介会社などから早期の募集提案を受けた場合も、試験日程や協議会の運用が確定しているかを確認する必要があります。
制度開始前に多額の紹介料や準備費用を支払う場合は、契約解除や返金条件も慎重に確認した方がよいでしょう。
今から企業が確認しておきたいこと

受入れを検討する企業は、まず自社が行う中間処理の内容と、廃棄物処理法その他の関係法令に基づく許可・認定を整理しておく必要があります。
次に重要なのが安全衛生です。廃棄物の選別、破砕、焼却などの現場には、機械への巻き込まれ、有害物質との接触、火災といった固有の危険があります。
外国人本人が日本語試験に合格していても、それだけで安全指示を十分に理解できるとは限りません。やさしい日本語や図解を使った作業手順書、母国語による注意表示、教育記録の保存なども検討すべきです。
制度開始まで少し時間があります。
この時間を単なる「待ち時間」にするのか、受入体制を整える準備期間にするのかで、実際の採用後には大きな差が出ると思います。
資源循環分野の特定技能・育成就労は、単に人手を補う制度ではありません。安全に働き、技能を身につけ、現場の担い手として成長できる仕組みを企業側が作れるか。その点まで見られる制度になりそうです。
自社が対象事業者に該当するか、どの業務を担当させられるかは、保有する許可・認定と実際の事業内容によって判断が分かれます。採用計画を具体化する前に、関係法令と最新の運用情報を確認することをおすすめします。
4.記事末尾の整理
【結論】
資源循環分野の受入基準は公布されましたが、現時点で直ちに特定技能外国人を採用できるわけではありません。
対象は廃棄物処分業の中間処理業務であり、受入企業には関係法令の遵守、協議会への加入、書面・実地確認による優良機関認証などが求められる予定です。
【根拠】
- 2026年7月30日付官報に環境省告示第36号・第37号を掲載
- 2026年1月23日閣議決定の分野別運用方針
- 資源循環分野全体の受入れ見込数4,500人
- 対象業務は廃棄物処分業の中間処理
- 環境省が協議会による書面・実地確認を予定
【注意点・例外】
- 収集運搬業や最終処分業が当然に対象になるわけではない
- 試験、協議会加入、認証項目などには未確定部分が残っている
- 告示の公布と実際の申請受付開始は同じではない
- 個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要
【出典】
一次情報
- 官報・2026年7月30日号
- 出入国在留管理庁「特定技能制度・関係法令」
- 環境省「資源循環分野における特定技能制度及び育成就労制度」
- 環境省「資源循環分野の受入れについて」
- 厚生労働省掲載「特定技能・育成就労の分野別運用方針」
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