令和8年熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。今も避難生活や不安の中で過ごされている方が、一日も早く安心した生活を取り戻されることを願っております。
地震直後は、命と生活を守ることが最優先です。
けれども、外国人の方にとっては、在留カードに記載された期限も待ってはくれません。
自宅に戻れない、必要書類を取り出せない、交通機関が止まっている。
そのような状況で「在留期限が来てしまったらどうなるのか」と不安を感じるのは当然だと思います。
出入国在留管理庁は、今回の地震により通常どおり在留関係の申請ができない、またはできなかった方に向け、申請期限と申請先に関する取扱いを公表しました。
この記事のポイント

- 被災により在留期間内に申請できなかった場合、期限を過ぎた後でも、当面の間は個別に手続が行われます。
- 避難により本来の住居地を離れた場合、現在の滞在先を管轄する入管で申請できます。
- 在留期限が一律に自動延長されたわけではありません。できるだけ早く入管へ相談することが重要です。
被災して在留期限内に申請できなかった場合

通常、在留期間更新許可申請は、在留期間の満了日より前に行う必要があります。
出入国在留管理庁の案内では、6か月以上の在留期間を持つ方は、おおむね満了日の3か月前から申請できるとされています。
今回の告知では、地震の被害により期限内に申請できなかった方について、当面の間、在留期間が経過していても「個別に手続を行う」とされています。
期限を過ぎたからもう何もできない、と諦める必要はありません。
まずは近くの地方出入国在留管理官署へ相談してください。
一方で、ここは誤解してはいけないところです。
告知文を見る限り、在留期限を一律に延長する措置ではありません。
期限後の申請が無条件で受理されることや、許可が保証されることを意味するものでもありません。「被災したことにより申請できなかった」という事情を踏まえ、個別に対応するという内容です。
また、「当面の間」がいつまでなのか、対象となる在留諸申請の具体的な範囲、相談時に必要となる資料の一律の一覧は、今回の告知では示されていません。
この点は現時点ではわかりません。期限を定めていないからといって、相談を先延ばしにすることは避けるべきです。
避難先を管轄する入管で申請できる

もう一つの大切な取扱いは、申請先に関するものです。
通常の在留関係申請は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で行います。
しかし、被災して本来の住居地から一時的に移動・避難している方は、現在滞在している場所を管轄する入管で申請できます。
たとえば、熊本県内の住居から県外の親族宅や避難施設へ移った方が、申請のためだけに危険や負担を抱えて熊本へ戻る必要はありません。
被災時の制度運用として、とても大切な配慮だと感じます。
ただし、この取扱いは「被災による一時的な移動・避難」を前提としています。
単なる旅行や通常の出張まで含まれるとは読み取れません。
どの官署が現在の滞在先を管轄するかは、出入国在留管理庁の「地方出入国在留管理官署」の案内で確認できます。
入管へ相談する前に整理しておきたいこと

被災直後に書類を完璧にそろえるのは難しいでしょう。まず、次の事項を確認してください。
- 在留カードに記載された在留期間の満了日
- 更新や変更の申請を既に行っているか
- 地震により申請できなかった具体的な事情
- 現在の滞在場所と連絡先
- パスポート、在留カード、手元にある申請関係書類の有無
公表資料では、被災を証明する資料の種類までは示されていません。
罹災証明書、避難先がわかる資料、交通機関の運休情報など、事情を説明できるものが手元にあれば、相談時に示せるよう整理しておくと話が伝わりやすくなります。
資料がないことだけを理由に相談をためらう必要はありません。
勤務先や学校も、外国人本人に任せきりにしない対応が求められます。
在留期限が過ぎているから直ちに手続不能と決めつけることも、反対に今回の措置があるから従来どおり就労・在学を続けて問題ないと判断することも危険です。
就労の可否を含め、現在の状況を入管または専門家へ早めに確認してください。
災害時こそ「自分だけで判断しない」

在留手続は、平時でも言葉や書類の壁があります。災害時には、その壁がさらに高くなります。
今回の取扱いは、その事情を行政が個別に受け止めるためのものです。
期限を過ぎた方は、「もう遅い」と思わず相談してください。
同時に、「自動的に延長された」と安心して放置しないでください。
この二つを一緒に伝えることが、実務上はとても重要だと考えています。
地方出入国在留管理官署のほか、外国人在留総合インフォメーションセンターでも手続に関する案内を受けられます。
電話は0570-013904、IP電話・海外からは03-5796-7112、受付は平日8時30分から17時30分です。
在留期限、避難の経緯、現在地によって必要な対応は変わります。
個別事情により判断が分かれるため、入管または在留資格を扱う専門家への確認が必要です。
4. 記事末尾の整理
【結論】
令和8年熊本地震により期限内に在留申請ができなかった方には、期限経過後も当面の間、個別に手続が行われます。避難中の方は、現在の滞在先を管轄する入管で申請できます。ただし、一律の自動延長ではないため、早めの相談が必要です。
【根拠】
出入国在留管理庁が2026年7月に公表した「令和8年熊本地震に伴う在留諸申請の取扱いについて」に、期限経過後の個別対応と、避難先を管轄する入管での申請が明記されています。通常の在留期間更新許可申請は、入管法第21条に基づき、原則として在留期間の満了日前に行います。
【注意点・例外】
今回の措置は、在留期間の一律延長や許可の保証ではありません。被災と申請遅延との関係、対象となる手続、期限後の在留・就労の取扱いは個別に確認が必要です。「当面の間」の終了時期は公表されていないため、最新情報も確認してください。
【出典】
一次情報
- 出入国在留管理庁「令和8年熊本地震に伴う在留諸申請の取扱いについて」
- 出入国在留管理庁「令和8年熊本地震の特設ページ」
- 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」
- 出入国在留管理庁「地方出入国在留管理官署」
- 出入国在留管理庁「外国人在留総合インフォメーションセンター」
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」
- 内閣府「令和8年熊本地震に係る災害救助法の適用について」
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