在留期限を過ぎても適法。それでも生活が止まることがある
出入国在留管理庁は、「在留期間内での変更又は更新許可を希望する場合について」という案内を公表しました。
対象は、在留カードまたは特定在留カードを所持している方です。
内容の中心は、在留期間更新許可申請について、原則として在留期間満了日の3か月前から45日前までの申請に努めること。
在留資格変更許可申請については、変更の事由が生じたら速やかに申請することです。
この案内だけを見ると、「更新申請の期限が45日前に変わったのか」と感じるかもしれません。
しかし、そうではありません。
45日前は新たな法定期限ではなく、在留期間内の許可を希望する場合の申請時期の目安です。
そして、早く申請すれば必ず満了日までに許可される、という約束でもありません。
今回の案内で注目したいのは、審査そのものよりも、その間の日常生活です。申請中で適法に在留できていても、マイナンバーカードや預貯金口座の利用に支障が出る場合があります。
「特例期間」があれば問題ない、とは言い切れない

在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請を在留期限までに行い、期限までに結果が出ない場合、原則として、処分がされる時または従前の在留期間満了日から2か月を経過する時のいずれか早い時まで、従前の在留資格で適法に在留できます。
これが「特例期間」です。
したがって、在留カードの券面に記載された満了日を過ぎたからといって、申請中の方が直ちに不法残留になるわけではありません。
窓口申請では在留カード裏面の申請中の記載、オンライン申請では受付完了メールなど、申請中であることを示す資料を保管しておくことが大切です。
ただし、特例期間は在留の適法性を守る仕組みです。マイナンバーカードや銀行口座を含む、生活上のすべてのサービスが自動的に延長される制度ではありません。ここが、実務上とても誤解されやすいところです。
マイナンバーカードは市区町村での手続が必要

在留期間に定めのある外国人のマイナンバーカードは、原則として在留期間満了日が有効期限になります。特定在留カードをマイナンバーカードとして利用している場合も、今回の案内の対象です。
在留資格の変更・更新を申請中で、新しい在留カードを有効期限までに受け取れないときは、市区町村の窓口でマイナンバーカードの有効期間を最長2か月延長できる場合があります。
重要なのは、カードの有効期限が切れる前に手続をすることです。
何もしないまま期限を過ぎると、本人確認書類としての利用や電子証明書を使った手続ができなくなります。
許可後に新しい在留カードを受け取ったら、改めて市区町村で有効期間の変更手続が必要になるのが一般的です。必要書類や窓口は自治体によって異なるため、住所地の市区町村へ事前に確認してください。
銀行口座も「申請中」と届け出る

金融機関では、在留期間満了日の翌日以降、在留期間の更新や申請中であることが確認できるまで、現金の引出しや振込みなどを制限する場合があります。
金融庁も、更新済みまたは申請中である旨を金融機関へ届け出る必要性を案内しています。
ここでも、「入管へ申請したから銀行にも自動で伝わる」と考えない方が安全です。
金融機関から案内が届いていなくても、満了日前に、利用する金融機関へ申請中の届出方法と必要書類を確認し、必要な届出をしておくことをおすすめします。
手続方法や制限の内容は金融機関ごとに異なります。
給与口座が一時的に使えなくなれば、本人だけでなく雇用企業にも影響します。
企業側も在留期限を管理し、更新書類の準備や金融機関への届出を早めに案内する必要があります。
実務では「3か月前」に準備を始めたい

今回の案内を実際の行動に置き換えると、次のようになります。
- 在留期間満了日の3か月前になったら、必要書類と申請条件を確認する
- 可能な限り満了日の45日前までに、不足のない状態で申請する
- 申請後は、在留カード裏面の記載やオンライン申請の受付完了メールを保管する
- 満了日までに結果が出ない可能性があれば、市区町村と金融機関へ事前に連絡する
- 許可後は、新しい在留カードの情報を市区町村と金融機関へ届け出る
「早く出す」だけでは足りません。必要書類が不足していれば、追加資料への対応で時間がかかります。
雇用企業や学校が作成する書類、課税・納税証明書なども含め、3か月前から逆算して準備することが現実的です。
なお、4月からの就労を目的とする留学生の在留資格変更と、「技能実習」から「特定技能」への変更については、今回の一般的な案内とは別の取扱いが示されています。
また、3か月以内の在留期間を持つ方は、おおむね在留期間の2分の1を経過した時から更新申請が可能です。
行政書士として感じること

特例期間によって適法に滞在できる一方、生活を支えるカードや口座は券面上の満了日で止まり得る。
このずれは、外国人本人にはかなり分かりにくいものです。
制度上は大丈夫でも、生活上は大丈夫ではない。
今回の案内は、その現実を入管庁が正面から示したものだと受け止めています。
ただ、審査期間を申請者だけでコントロールすることはできません。
45日前に申請しても在留期間内の許可が保証されない以上、本人に早期申請を求めるだけでなく、企業、学校、自治体、金融機関が申請中の状態を適切に扱える仕組みも必要です。
在留資格の変更・更新は、申請時期だけでなく、現在の活動内容、転職、扶養状況、納税・社会保険の状況などによって必要な準備が変わります。
判断に迷う場合は、在留期限の3か月前を待たず、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
記事末尾の整理
【結論】
在留期間内の許可を希望する場合、更新申請は満了日の3か月前から45日前までを目安に、変更申請は変更の事由が生じた後速やかに行うことが重要です。45日前は法定期限でも、期限内の許可を保証する基準でもありません。
【根拠】
出入国在留管理庁は、特例期間中もマイナンバーカードや預貯金口座の利用に制限が生じる場合があるとして、早期申請と事前の届出を案内しています。特例期間は、申請に対する処分時または在留期間満了日から2か月が経過する時のいずれか早い時までです。
【注意点・例外】
4月就労開始予定の留学生による変更申請と、「技能実習」から「特定技能」への変更申請は別途案内の対象です。在留期間が30日以下の方には特例期間が適用されません。
提出書類の不足や個別の審査状況によっては、早期に申請しても満了日までに許可されないことがあります。市区町村と金融機関の手続も一律ではありません。
【出典】
一次情報
- 出入国在留管理庁「在留期間内での変更又は更新許可を希望する場合について」
- 出入国在留管理庁「特例期間とは?」
- 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」
- 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」
- 出入国在留管理庁「マイナンバーカードを作って、便利に生活しましょう!」
- 金融庁「外国人の受入れ・共生に関する金融関連施策について」
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」
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