外国人支援コーディネーターが全国へ
2026年9月7日の時事通信は、生活上の困難を抱える外国人を支援する「外国人支援コーディネーター」が、全国38都道府県に配置されたと報じました。
出入国在留管理庁が2024年度に始めた認証制度で、2025年度までに162人が認証されています。
報道によれば、2026年度中には約300人になる見込みです。
時事通信の報道、出入国在留管理庁の養成研修案内
「外国人支援」という言葉から、在留資格や入管手続の相談員を想像する方も多いかもしれません。実際の役割は、もう少し広く、そして地道です。
相談に答える人ではなく、問題をほどく人

出入国在留管理庁は、外国人支援コーディネーターについて、生活上の困りごとを抱える外国人から相談を受け、必要な機関との連絡や調整を行い、解決まで導く人材と位置付けています。
外国人支援コーディネーターの育成・認証等
外国人から寄せられる相談は、一つの制度だけでは解決できないことが珍しくありません。
例えば、勤務先を解雇されたという相談でも、雇用問題だけでは終わりません。
在留資格を維持できるのか、家賃を払えるのか、健康保険や年金はどうなるのか、子どもの学校生活を続けられるのか。精神的に追い込まれている場合には、福祉や医療につなぐ必要もあります。
こうした絡まった糸を一本ずつほどき、入管、自治体、ハローワーク、医療機関、福祉機関、学校、弁護士や行政書士などへ橋渡しするのがコーディネーターの仕事です。
単に窓口を紹介するだけでなく、相談者自身が問題を整理し、解決に向けて動けるよう支える点に、この制度の意味があると感じます。
なぜ今、専門人材が必要なのか

2025年末の在留外国人数は412万5,395人となり、前年末から9.5%増加しました。
初めて400万人を超え、過去最高を更新しています。
令和7年末の在留外国人数
地方自治体の一元的相談窓口では、2024年度に59万1,208件の相談が受け付けられました。
内容は、行政手続、税金、社会保険・年金、通訳・翻訳、入管手続など多岐にわたります。
令和6年度の一元的相談窓口の現況
相談件数だけを見ると、窓口の多言語化を進めれば解決できそうに思えるかもしれません。しかし、言葉が通じることと、問題が解決することは別です。
制度を説明する力、相談者が本当に困っていることを見極める力、適切な専門機関へつなぐ力。そのいずれも、短期間で身につくものではありません。
そのため養成研修では、約2か月間のオンライン研修、3か月間の職場での実践、2日間の集合研修などが行われ、最後に修了認定テストがあります。
認証の有効期間は3年間です。
国家資格ではなく、在留申請の専門資格でもない

ここは誤解されやすいところです。
外国人支援コーディネーターは、現時点では国家資格ではなく、出入国在留管理庁による認証制度です。国家資格化については有識者会議で議論されていますが、実施が決まったわけではありません。外国人支援コーディネーターに関する検討会
また、この認証を受けただけで、他人の在留資格申請書類を有償で作成したり、当然に入管への申請取次ぎができたりするものでもありません。
官公署へ提出する書類の有償作成には行政書士法などの規律があり、申請取次ぎにも別の資格、所属や届出などが必要です。行政書士法、申請等取次者としての手続
特定技能1号における支援計画や登録支援機関制度とも別の仕組みです。
コーディネーターは、各分野の専門家に代わる人ではなく、相談者と専門家を適切につなぐ人と考えるのが分かりやすいでしょう。
企業や学校にも活動範囲を広げる方針

時事通信は、現在は国や自治体などの相談窓口を中心としている活動範囲を、2027年度から外国人の勤務先、学校、外国人支援を行う民間団体などにも広げる方針だと報じています。
実現すれば、問題が深刻になってから相談窓口へ来るのではなく、職場や学校で早期に変化を把握し、支援につなげやすくなります。
ただし、企業が「コーディネーターに任せておけばよい」と考えてしまうのは違います。
労働条件の適正化、社会保険への加入、在留期間の管理、ハラスメント防止などは、引き続き企業自身が取り組むべき問題です。
活動範囲拡大の具体的な対象、権限、研修内容は、今後の正式な公表を確認する必要があります。
人数よりも、支援できる環境が大切

新潟県内でも、出入国在留管理庁の所属機関リストに、新潟県国際交流協会、新潟市国際交流協会、上越国際交流協会などが掲載されています。
外国人支援コーディネーター所属機関リスト
配置が広がること自体は歓迎すべき動きです。
一方で、認証者の人数を増やすだけでは、複雑な相談を支え切れません。
相談を整理する時間、関係機関と連携する権限、通訳や専門家を利用する予算、相談記録や個人情報を適切に管理する体制。そして何より、専門性に見合った待遇が必要です。
外国人支援は、善意だけに頼る仕事では長続きしません。国家資格化という看板を付けるかどうか以上に、専門人材が安心して働き続けられる仕組みをつくれるか。今後はそこを見ていきたいと思います。
在留資格、雇用、生活上の問題が重なっている場合、一つの窓口だけで判断しようとすると問題を見落とすことがあります。
外国人支援コーディネーターや自治体の相談窓口を活用しつつ、在留申請など専門的な手続が必要な場合は、早い段階で行政書士などへ相談することをおすすめします。
4.記事末尾の整理
【結論】
外国人支援コーディネーターは、複数の問題を抱える外国人と適切な支援機関をつなぐ専門人材です。制度の全国展開は重要ですが、人数の拡大と併せて、待遇、予算、連携体制の整備が求められます。
【根拠】
出入国在留管理庁は2024年度から養成・認証を開始し、2025年度までに162人を認証しています。2025年末の在留外国人数は412万5,395人、2024年度の自治体窓口における相談受付件数は59万1,208件でした。
【注意点・例外】
現時点では国家資格ではありません。認証だけで在留申請書類の有償作成や申請取次ぎができるわけではなく、在留審査で有利になる制度でもありません。2027年度以降の活動範囲や国家資格化については未確定部分があり、正式な公表の確認が必要です。
【出典】
一次情報:
- 出入国在留管理庁「外国人支援コーディネーター養成研修」
- 出入国在留管理庁「外国人支援コーディネーターの育成・認証等」
- 出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数」
- 出入国在留管理庁「一元的相談窓口の現況」
参考情報:
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