この記事のポイント
- 外免切替は、外国免許をそのまま日本免許に交換する手続ではない
- 2025年10月から住所確認、知識確認、技能確認が大幅に厳格化された
- 地方で暮らす外国人にとって、運転免許の取得は生活基盤や就労継続にも関わる問題になっている
外免切替は「免許の交換」ではない

外国で取得した運転免許を日本の運転免許に切り替える、いわゆる「外免切替」。
言葉だけを聞くと、外国の免許証を持参すれば、その場で日本の免許証に交換してもらえるように感じるかもしれません。しかし、制度上は単純な交換ではありません。
道路交通法第97条の2第3項に基づき、外国免許を持つ人について、運転経歴や知識、技能を確認したうえで、日本の学科試験や技能試験の一部を免除する手続です。
外国免許の取得後、その国などに通算3か月以上滞在していたことも必要になります。
つまり、外免切替は「外国で免許を持っているから自動的に認める制度」ではなく、日本で安全に運転できるかを確認するための制度です。
この基本的な性質が、2025年10月の厳格化によって、より明確になったといえます。
2025年10月から何が変わったのか

住所確認が厳格化された
改正前は、住民基本台帳法の適用を受けない外国人でも、旅券や一時滞在証明書などにより免許申請ができる場合がありました。そのため、短期滞在中の外国人がホテルなどを滞在先として申請する事例も問題視されていました。
2025年10月以降は、国籍にかかわらず住民票の写しを添付することが原則となりました。住民基本台帳法の適用を受けない外国人は、外交・公用など法令で定められた例外を除き、原則として申請できません。
ここは在留資格実務とも接点があります。
中長期在留者であれば通常は住民登録の対象になりますが、在留カードを持っていることだけで、外免切替のすべての要件を満たすわけではありません。
住所地、外国免許の有効性、取得後の滞在期間、翻訳文などを個別に確認する必要があります。
知識確認は10問から50問へ
従来の知識確認は、イラストを用いた10問の質問に対し、7問以上正解すれば基準を満たすものでした。
現在は文章形式の50問となり、制限時間は30分、45問以上の正解が必要です。正答率でいえば90%です。
単に問題数が増えただけではありません。
日本の交通標識、一時停止、歩行者優先、踏切、交差点での優先関係などを、言葉として理解していなければ合格しにくくなっています。日本語以外の言語で受けられる場合でも、日本の交通ルールそのものを理解する必要がある点は変わりません。
技能確認も「コースを走れればよい」ではなくなった
技能確認では、横断歩道や踏切の通過、坂道での停止・発進などが課題に含まれます。採点は技能試験の基準に準じ、100ポイント中70ポイント以上が必要です。
左右の通行区分が異なる国から来た人の場合、頭では左側通行を理解していても、曲がった直後に無意識に右側へ寄ってしまうことがあります。
これは単なる知識不足とは限りません。長年身についた運転動作は、想像以上に身体に残っています。教習所で日本のコースを使って練習する意味は、まさにそこにあります。
合格率の低下が示しているもの

FNNプライムオンラインの報道では、警察庁の集計として、知識確認の合格率が92.5%から42.8%に、技能確認は30.4%から13.1%に低下したとされています。
各地の自動車教習所でも、外免切替対策を希望する外国人が増えていると報じられました。
この数字だけを見ると、「制度が厳しすぎる」という印象を持つ人もいるでしょう。
一方で、報道に登場した中国出身の女性は、厳しい確認を受けることで、実際に自分が運転するときの安心につながるという趣旨の話をしていました。
何度不合格になっても、日本で生活するために練習を続けています。
私は、この部分が今回のニュースで最も大切だと感じます。
外免切替の厳格化は、制度上は交通安全対策です。しかし、実際にその影響を受ける人にとって、運転免許は試験の合否だけの問題ではありません。
地方では、駅まで遠い、バスが1時間に1本しかない、勤務先への公共交通機関がない、買い物や通院に車が必要ということが珍しくありません。
免許を取れないことが、生活範囲や就職先の選択を狭めることもあります。
外国人本人と雇用企業が注意したいこと

外免切替を予定している場合は、「外国で運転していたから大丈夫」と考えず、早い段階から準備する必要があります。
特に重要なのは、外国免許証の有効期限、取得日、取得後の現地滞在期間を証明できる資料です。古いパスポートに出入国履歴が残っている場合もあるため、安易に処分しないほうがよいでしょう。
知識確認に合格した後、技能確認に不合格となった場合でも、知識確認を受けた日から6か月間は、再申請時に知識確認を省略できる取扱いがあります。
ただし、6か月を過ぎれば再び知識確認から受ける可能性があります。
企業側も、採用後すぐに運転業務や自動車通勤ができることを前提にしないほうが安全です。
免許取得までに複数回の受験や教習所での練習が必要になる可能性があります。採用時に、日本の免許をすでに取得しているのか、外免切替の申請前なのか、技能確認を受けている途中なのかを確認しておく必要があります。
厳格化だけでは終わらせてはいけない

交通安全のため、知識や技能を適切に確認することには合理性があります。
ただし、試験を難しくするだけで十分とは思いません。
日本の交通ルールを多言語で学べる教材、外免切替に対応する教習所、地方の試験場までの移動手段、予約の取りやすさなど、合格に向けて正しく学べる環境も同時に整える必要があります。
安全を守ることと、外国人が日本で生活できるよう支援することは、対立する話ではありません。
むしろ、正しいルールを学び、安心して運転できるようにすることが、本当の意味での共生につながるのではないでしょうか。
4. 記事末尾の整理
【結論】
外免切替は、外国免許を形式的に交換する制度ではありません。2025年10月の厳格化により、日本の交通ルールと運転技能を実質的に確認する制度へと変わりました。
交通安全の観点から厳格化には合理性がありますが、地方で暮らす外国人にとって運転免許は、買い物、通院、通勤、就職に関わる生活基盤です。外国人本人だけでなく、雇用企業も取得までの期間と負担を見込んで対応する必要があります。
【根拠】
道路交通法第97条の2第3項に基づく運転免許試験の一部免除制度
2025年10月施行の道路交通法施行規則等の改正
警察庁「外国免許等関係事務取扱い要領」
国家公安委員会「令和8年度交通安全業務計画」
警察庁ウェブサイト「外国の運転免許をお持ちの方」
【注意点・例外】
外国免許を取得した国・地域によっては、知識確認や技能確認が免除される場合があります。
必要書類、予約方法、対応言語、再受験の取扱いは、都道府県警察や免許センターによって確認が必要です。
在留カードを所持していることだけで、外免切替が認められるわけではありません。
外国免許の取得経緯、現地滞在期間、有効期限などに疑義がある場合、追加資料を求められることがあります。
個別事情により判断が分かれるため、申請先の運転免許センターや専門家への確認が必要です。
【出典】
一次情報
警察庁「外国の運転免許をお持ちの方」
警察庁「外国免許等関係事務取扱い要領」2026年1月8日
警察庁「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令等について」2025年9月11日
国家公安委員会「令和8年度交通安全業務計画」
参考情報
FNNプライムオンライン「『外免切替』厳格化から9カ月 『受からない』外国人急増で教習所の受講者増加」2026年7月9日
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