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TOP > コラム > 外国人受入れ「数値目標」の検討が政府段階へ|有識者会議設置で何が変わるか

外国人受入れ「数値目標」の検討が政府段階へ|有識者会議設置で何が変わるか

2026.07.28
コラム外国人支援外国人雇用
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この記事のポイント

・今回決まったのは、具体的な人数ではなく検討体制の設置です。
・約123万人は、外国人全体の新規受入れ人数ではありません。
・現在の在留資格申請や外国人雇用が、直ちに停止・制限されるわけではありません。

外国人受入れの「数値目標」が政府の検討課題に

政府は2026年7月24日、「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」を開催し、外国人受入れの基本的なあり方を検討する体制を設けることを決めました。

読売新聞は「有識者会議の新設」と報じています。
一方、内閣府の公式発表では、「外国人の受入れの基本的な在り方」と「日本語や我が国の制度・ルール等を学習するプログラム」について、ワーキンググループを設置して検討すると説明されています。

名称の表現には違いがありますが、重要なのは、外国人受入れの数や基本方針が、政党の提言から政府の正式な検討課題へ移ったことです。

政府は将来推計などを行い、2026年度中、つまり2027年3月までに基本方針をまとめる予定です。ただし、現時点で外国人の受入れ人数や外国人比率の上限が決まったわけではありません。
内閣府の公表資料

当事務所では先日、維新の提言段階について「外国人受け入れ『量的マネジメント』提言とは何か」という記事を書きました。

今回の決定は、その議論が一段進んだものと受け止めています。

約123万人は「新たに来日する人数」ではない

今回の報道で誤解しやすいのが、特定技能と育成就労を合わせた「約123万人」という数字です。

政府は2028年度末までの受入れ見込数として、1号特定技能外国人80万5,700人、育成就労外国人42万6,200人、合計123万1,900人を設定しています。

しかし、これは2028年度末までに新たに123万人を入国させるという意味ではありません。

出入国在留管理庁のQ&Aでは、現在すでに在留している人を含めた、1号特定技能外国人と育成就労外国人の在留者総数の上限であることが明記されています。また、分野ごとに算定した受入れ見込数を合計したものであり、外国人全体の上限でもありません。
出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」

特定技能・育成就労の上限は、人手不足の程度、生産性向上、国内人材の確保状況などを分野別に検討して設定するものです。

これに対し、技術・人文知識・国際業務、留学、家族滞在、経営・管理、永住者、日本人の配偶者等には、現在このような共通の人数上限は設けられていません。

今回検討される基本方針が、どこまでの在留資格を対象にするのか。ここはまだわかりません。

「何人まで」と決める前に、何を数えるのか

外国人受入れを数値で管理するといっても、制度設計はそれほど単純ではありません。

たとえば、留学生が卒業後に技術・人文知識・国際業務へ変更した場合、受入れ人数をどの時点で数えるのでしょうか。
特定技能2号や技人国で家族を呼び寄せた場合、家族も受入れ人数に含めるのでしょうか。

永住者、日本人の配偶者、外国人を親に持つ子どもまで、労働力として受け入れた外国人と同じ物差しで扱うことにも無理があります。

国全体の比率だけを見るのか、都道府県や市区町村ごとの集住状況を見るのかによっても結論が変わります。

2025年末の在留外国人数は412万5,395人で、前年末から9.5%増加しました。
日本の総人口に占める割合は3.35%です。
在留資格別では、永住者が94万7,125人と最も多く、技術・人文知識・国際業務、留学、技能実習、特定技能が続いています。
出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数」

この400万人を超える人々を、単に一つの「外国人」という数字で括ることが適切なのか。今後の有識者会議では、かなり丁寧な議論が必要になると思います。

政策の軸が「労働力」から「生活者」へ広がっている

これまでの外国人政策は、人手不足分野に必要な人材をどう受け入れるかという労働政策の色が強いものでした。

今回の基本方針では、将来の人口、社会保障、教育、日本語学習、地域社会、受入れ機関と自治体の役割分担まで含めて検討される見込みです。

政府は同時に、外国人が入国前から日本語や日本の制度・生活ルールを学ぶ「日本語・生活学習プログラム(仮称)」についても検討を進めています。
出入国在留管理庁「法務大臣政務官PT報告書」

外国人を「何人受け入れるか」だけでなく、「どのように働き、暮らし、地域の一員になってもらうか」まで政策の対象になってきた。

実務を見ている私には、そのように感じられます。

外国人を雇用する企業が今できること

今回の決定によって、現在の在留資格申請や外国人採用が直ちに制限されるわけではありません。
個別の申請は、引き続き現行の入管法、審査基準、分野別運用方針に基づいて判断されます。

企業が慌てて採用を止める必要はありません。

ただし、外国人材をいつでも必要なだけ採用できるという前提で、長期の事業計画を組むのも危険です。今後は、外国人を採用する必要性、在留資格と業務内容の適合性、給与、社会保険、支援体制、定着に向けた取組を、これまで以上に説明できる状態にしておく必要があります。

地方では、介護、建設、製造、外食、農業など、すでに外国人材がいなければ成り立たない現場も増えています。

全国一律の人数だけでなく、地域や産業ごとの事情が基本方針にどう反映されるのかも重要です。

数だけを絞れば現場が回らなくなる。一方、受入れ体制を整えないまま人数だけ増やしても、地域や企業、外国人本人にしわ寄せが生じます。

行政書士としては、この両方を見ながら冷静に議論してほしいと思います。

今後確認すべきは2027年3月の基本方針

今後の注目点は、数値目標の対象となる在留資格、既存在留者の扱い、全国と地域のどちらを単位とするのか、法的な上限とするのか政策上の目安にとどめるのか、という点です。

具体的な制度が決まるまでは、「外国人全体に上限が設けられた」「外国人雇用ができなくなる」と受け止めるのは早計です。

ただ、外国人政策が受入れ拡大だけでなく、数の管理、在留管理、生活支援を一体で考える段階へ入ったことは確かでしょう。

在留資格申請や外国人雇用は、制度の動きを待ってから対応するのではなく、現在の雇用管理や支援体制を点検しておくことが大切です。個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。

4.記事末尾の整理

【結論】

政府は、外国人受入れに関する数値目標や基本方針を検討する体制を設けました。ただし、具体的な人数や対象在留資格は未定です。特定技能・育成就労の約123万人は、既存在留者を含む両制度の受入れ上限であり、外国人全体の新規受入れ人数ではありません。

【根拠】

2026年7月24日の関係閣僚会議で、外国人受入れの基本的なあり方についてワーキンググループを設置し、2026年度中に基本方針を取りまとめる方針が確認されました。

1号特定技能と育成就労については、2028年度末時点の受入れ上限として合計123万1,900人が設定されています。

【注意点・例外】

数値目標の対象、算定方法、法的効果は決まっていません。

技人国、留学、家族滞在、永住者などに人数上限が導入されることも、現時点では確定していません。

個別の在留資格申請は、本人の経歴、活動内容、雇用条件、会社の状況などにより判断されます。

【出典】

一次情報

内閣府「第3回外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議への出席」

内閣官房「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」第3回資料

出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」

出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」

参考情報

読売新聞「『特定技能』などの在留外国人受け入れ、数値目標など検討する有識者会議設置を決定」2026年7月24日


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