2027年新設「企業内転勤2号」とは?海外拠点社員の短期研修が変わります
この記事のポイント

① 企業単独型技能実習1号で行われてきた1年以内の短期研修は、2027年4月以降、原則として「企業内転勤2号」へ整理されます。
② 企業内転勤2号は、育成就労を1年間だけ利用する制度ではありません。
③ 常勤職員20人以上、受入れ人数5%以内、転勤元での1年以上の勤務歴など、独自の要件があります。
1年以内の企業内研修に新しい在留資格

2026年8月16日付の専門メディア報道で、「企業内転勤2号」の実務上の位置付けが紹介されました。
この報道の根拠となっているのは、外国人技能実習機構が8月5日に改正した育成就労制度運用要領です。
運用要領では、従来の企業単独型技能実習のうち、海外の事業所で働く社員を研修などのため1年以内の期間で日本へ受け入れていたケースについて、2027年4月1日以降は、在留資格「企業内転勤2号」による受入れになると明記されています。
外国人技能実習機構「育成就労制度運用要領」
企業からは、「海外工場の若手社員を半年ほど日本へ呼び、日本の製造技術や品質管理を学ばせたい」という相談が少なくありません。
これまでは企業単独型技能実習1号が選択肢になることがありました。
しかし、技能実習制度が育成就労制度へ移行することに伴い、短期の企業内研修は別の線路へ移されることになります。
単に在留資格の名称が変わるだけではありません。
「1号より上」が企業内転勤2号ではない

現在の「企業内転勤」は、海外の事業所から日本の事業所へ期間を定めて転勤し、「技術・人文知識・国際業務」に相当する専門的な仕事を行う在留資格です。
2027年4月以降、従来の企業内転勤は「企業内転勤1号」に、新設される短期技能修得型は「企業内転勤2号」に区分されます。
ここで誤解しやすいのが、「2号は1号の上位資格なのではないか」という点です。
企業内転勤1号は、エンジニア、海外取引、通訳、マーケティングなどの専門的業務を前提とします。
一方、企業内転勤2号は、海外拠点の社員が日本で講習を受けながら、技能、技術または知識を身に付けるため、その技能等に関係する業務へ従事する制度です。
目的が違います。2号だから、より高度な仕事ができるという関係ではありません。
企業内転勤2号の主な要件

政府資料では、次の要件が示されています。
| 確認項目 | 主な要件 |
|---|---|
| 受入れ機関の規模 | 常勤職員数が20人以上 |
| 受入れ人数 | 常勤職員数の5%まで |
| 転勤元での勤務歴 | 原則として1年以上 |
| 報酬 | 日本人が従事する場合と同等額以上 |
| 在留できる期間 | 通算1年まで |
企業単独型技能実習では、海外法人での在職年数について一律の要件はありませんでした。そのため、これまで企業単独型を利用できていた会社でも、同じ候補者をそのまま企業内転勤2号で受け入れられるとは限りません。
たとえば、日本側の事業所の常勤職員が19人であれば、他の要件を満たしていても企業内転勤2号の利用は難しくなります。
また、転勤元での勤務歴が1年に満たない社員を、採用後すぐに日本へ呼び寄せる形も要件に合いません。
これらの要件は、農林水産省が公表している制度説明資料でも確認できます。
農林水産省「飲食料品製造業における外国人の受入れについて」
育成就労との違いは「期間」だけではない

育成就労は、人手不足分野において、原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成し、確保する制度です。
企業内転勤2号は、海外拠点の社員を1年以内の期間で日本へ転勤させ、技能等を修得させた後、原則として帰国させる制度です。
育成就労計画について外国人育成就労機構の認定を受ける必要はありません。育成就労産業分野以外の業務も対象になり得るとされています。
ただし、計画認定が不要だから審査が簡単になる、という意味ではないと私は考えています。
入管審査では、企業間の関係、海外での勤務実態、研修の必要性、日本で身に付ける技能、具体的な講習内容、OJTの方法、帰国後の活用予定などが確認されると考えられます。
単に「日本の工場で働いてもらう」「人手が足りないので現場へ配置する」という説明では、制度の目的と合いません。
企業が今から整理しておきたいこと

現在、企業単独型技能実習1号で海外拠点の社員を受け入れている企業は、少なくとも次の点を確認しておく必要があります。
① 2027年4月以降に入国する候補者がいるか
② 候補者が転勤元で1年以上勤務しているか
③ 日本側事業所の常勤職員数と受入れ可能人数
④ 海外拠点と日本側企業との資本関係や事業上の関係
⑤ 日本で修得させる技能と具体的な講習計画
⑥ 報酬、在留期間、帰国後の配置予定
2027年4月1日時点ですでに技能実習を行っている外国人などについては、経過措置の対象となる可能性があります。
ただし、すべての企業や技能実習生に一律に適用されるものではありません。
入国予定日、技能実習計画の認定時期、現在の在留資格などによって判断が分かれます。
「短期研修だから簡単」とは限らない

企業内転勤2号は、海外拠点を持つ企業にとって使いやすい制度になる可能性があります。技能実習から切り離されることで、企業内の人材育成という本来の目的も説明しやすくなるでしょう。
一方、常勤職員数、人数枠、海外勤務歴という明確な入口要件が設けられました。
大切なのは、在留資格の名前から判断するのではなく、「なぜこの社員を日本へ転勤させ、何を学ばせ、帰国後にどう生かすのか」を一つの流れとして整理することです。
企業内転勤2号、育成就労、企業内転勤1号のどれが適切かは、企業関係、業務内容、研修期間などの個別事情によって判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
在留資格の切替えや2027年以降の受入れ計画に迷う場合は、制度施行の直前ではなく、候補者を決める段階からご相談ください。
4.記事末尾の整理
【結論】
企業単独型技能実習1号で行われてきた1年以内の企業内研修は、2027年4月1日以降、原則として企業内転勤2号へ移ります。ただし、受入れ企業の規模、人数枠、転勤元での勤務歴など、新しい要件の確認が必要です。
【根拠】
2024年改正入管法により企業内転勤2号が新設され、2027年4月1日からの運用が予定されています。2026年8月5日改正の育成就労制度運用要領では、企業単独型技能実習による短期研修との住み分けが明記されました。
【注意点・例外】
企業内転勤2号は、育成就労の短期版でも、企業内転勤1号の上位資格でもありません。経過措置の適用や企業間関係の範囲、具体的な研修内容については、個別事情により判断が変わります。
【出典】
一次情報
参考情報
外国人ニュース「育成就労の運用要領改正、旧企業単独型技能実習1号の短期研修は企業内転勤2号へ」
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