在留手数料の大幅引き上げが正式に決まりました
政府は2026年8月25日、在留資格の変更・在留期間の更新・永住許可などの手数料を引き上げるための政令改正を閣議決定しました。
首相官邸の定例閣議案件でも、関係政令の決定を確認できます。
当事務所が7月4日の記事で解説した段階では、まだパブリックコメント中の「案」でした。
今回は、その案に示された金額が変更されないまま、2026年10月1日から実施されることが決まったという続報です。
正直なところ、行政書士として日々更新申請を扱っている立場から見ても、かなり大きな負担増です。在留資格の更新は、希望者だけが購入する付加的なサービスではありません。
日本で適法に暮らし、働き続けるために欠かせない手続だからです。
2026年10月からの手数料一覧

在留資格変更許可と在留期間更新許可は、実際に決定された在留期間に応じた段階制になります。窓口申請とオンライン申請でも金額が異なります。
確定した金額の基礎となった入管庁の公表資料は次のとおりです。
| 許可された在留期間 | 窓口申請 | オンライン申請 |
|---|---|---|
| 3月以下 | 10,000円 | 10,000円 |
| 3月超6月以下 | 18,000円 | 15,000円 |
| 6月超1年未満 | 25,000円 | 21,000円 |
| 1年 | 33,000円 | 27,000円 |
| 1年超3年未満 | 48,000円 | 42,000円 |
| 3年以上5年未満 | 64,000円 | 56,000円 |
| 5年以上 | 75,000円 | 65,000円 |
永住許可は、現在の1万円から20万円へ引き上げられます。
現行額は、変更・更新が窓口6,000円、オンライン5,500円ですから、改定幅の大きさが分かります。
たとえば、家族4人が窓口で更新し、全員に1年の在留期間が許可された場合、手数料だけで13万2,000円になります。現行の2万4,000円から、10万8,000円の増加です。
家族単位で見ると、決して小さな改定ではありません。
希望した期間ではなく「許可された期間」で金額が決まる
ここは実務上とても重要です。5年を希望して申請しても、結果が1年であれば窓口3万3,000円、3年であれば6万4,000円となります。
申請時点では、最終的な納付額を確定できません。
また、これは厳密には「申請するための料金」ではなく、許可を受ける際の手数料です。
入管庁の現行案内も、変更・更新・永住はいずれも「許可されるとき」に納付するとしています。
不許可の場合、この許可手数料は納付しません。
永住申請も、提出時に20万円を支払う仕組みではない点は誤解しないでください。
パブリックコメントで金額が変わらなかった意味

報道によれば、「共生社会の実現に反する」といった意見も出されましたが、値上げ幅は変更されませんでした。
パブリックコメントは、多数決で政策を決める制度ではありません。
e-Govも、提出意見の「量」ではなく「内容」を考慮する制度だと説明しています。
行政手続法上、行政機関には提出意見を十分に考慮し、最終案との差異や理由を公示することが求められます。
したがって、金額が変わらなかったことだけで「意見を全く見なかった」とまでは断定できません。一方で、なぜこの負担額が必要なのか、反対意見にどう答えたのかは、結果公示で丁寧に検証されるべきでしょう。
政府は、増収分を出入国在留管理、日本語や日本の制度・ルールを学ぶプログラム、相談体制の強化などに活用すると説明しています。
共生施策に費用がかかること自体は理解できます。
ただ、その財源を在留外国人にどこまで負担してもらうのが妥当なのか。
とりわけ、留学生、家族世帯、短い期間を繰り返し更新する人への影響は残された論点だと感じます。
減額対象は一部追加されたものの、対象は限定的です

公表された制度案では、生活困窮者向けの減額には原則として「生活保護法上の要保護者に準ずる程度の生活困窮」と「人道上の配慮が必要であること」の両方が求められます。
一般的に収入が低いというだけで、広く減額される仕組みではありません。
今回の報道では、パブリックコメントを踏まえ、日本人または特別永住者の子を単独で監護・養育し、特定活動への在留資格変更を受ける生活困窮者が、新たに減額対象へ加えられたとされています。
これは一定の前進ですが、「外国人のひとり親なら全員が対象」という意味ではありません。
在留資格、指定される活動、監護・養育の実態、生活困窮の程度などから個別に判断されるものと考えられます。
最終ガイドラインの文言と必要資料は、入管庁の正式公表後に確認する必要があります。
企業と外国人本人が今から確認すべきこと

まず、次回の在留期限と申請可能日を確認してください。報道では、10月1日以降に受け付けられる申請から新料金が適用されるとされています。
ただし、新旧手数料の具体的な経過措置は、今後公表される入管庁の案内で最終確認するのが安全です。
9月中に申請できる案件であっても、値上げ回避だけを目的に、準備不足のまま急いで提出することはおすすめできません。
更新でも永住でも、活動内容、納税、社会保険、収入、家族関係などの説明が整っていることが先です。
外国人を雇用する企業は、手数料を本人負担とするのか、福利厚生等として会社が支援するのかを整理しておく必要があります。
複数人を雇用している場合、更新時期が重なると負担が一度に発生します。オンライン申請の利用体制も、コスト差を考えるとこれまで以上に重要になります。
在留資格申請や外国人雇用の判断は、制度の条文だけでなく、実際の活動内容や雇用管理、申請時期によって結論が変わります。
10月以降に更新・変更・永住申請を予定している方は、早めに申請時期と必要資料を確認することをおすすめします。
4. 記事末尾の整理
【結論】
2026年10月1日から、在留資格変更・更新の手数料は許可期間に応じて1万円から7万5,000円、永住許可は20万円となります。金額はパブリックコメント後も変更されず、正式決定されました。本人だけでなく、家族や外国人雇用企業にも大きな影響があります。
【根拠】
令和8年法律第32号による入管法改正を受け、政府は2026年8月25日に関係政令の改正を閣議決定しました。具体額と2026年10月1日の施行日は、出入国在留管理庁が公表した政令案・参考資料に示されています。
【注意点・例外】
手数料は1件・1人ごとに生じ、変更・更新は希望期間ではなく許可された在留期間で決まります。納付は許可時であり、不許可時には生じません。
減額は生活困窮だけでなく、人道上の配慮も必要となる限定的な制度です。10月1日前後の申請に適用される経過措置と、減額申請の必要資料は、入管庁の正式案内を確認してください。個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
【出典】
一次情報
- 首相官邸「令和8年8月25日(火)定例閣議案件」
- 出入国在留管理庁「令和8年入管法等改正法について」
- e-Govパブリック・コメント「関係政令案等に係る意見募集」
- 出入国在留管理庁「在留許可手数料の額及び減額又は免除の対象者等について」
- e-Gov「パブリック・コメント制度について」
- 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」
- 出入国在留管理庁「永住許可申請」
参考情報
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