外国人の土地取得「0.7%」とは?届出・所有・在留資格を分けて考える
「外国人による土地取得が0.7%だった」。この数字を見て、日本の土地のうち外国人が持っている割合だと受け止めた方もいるかもしれません。
国土交通省は2026年9月15日、国土利用計画法に基づく届出から、外国人・外国法人による大規模な土地取得の状況を公表しました。
対象は2025年7~12月の届出です。共同通信は、今回が初めての集計公表と報じています。
国土交通省発表、参考報道・共同通信
外国人経営者の事業用地取得にも関係するニュースですが、まずは数字の範囲を確かめたいところです。そのうえで、土地の手続と在留資格の手続を整理してみます。
0.7%は「一定期間の対象届出」に占める割合

今回の集計は、国土利用計画法第23条の事後届出について、自治体から国交省に送付された情報をまとめたものです。
| 集計項目 | 届出全体 | うち外国人・外国法人 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 件数 | 9,573件 | 68件 | 0.7% |
| 面積 | 23,845ha | 124ha | 0.5% |
件数と面積では、分母が違います。0.7%は件数の割合で、面積の割合は0.5%です。
いずれも日本の土地全体を分母にした数字ではありません。
国土交通省発表
また、一定期間に届け出られた取引と、過去から積み重なった土地の所有状況は別です。
この集計から「日本の土地の何%を外国人が所有しているか」はわかりません。
小規模な取引も含む、すべての不動産購入の割合として扱うこともできません。
数字が大きいか小さいかを論じる前に、何を数えたのかを確認する。
そのひと手間で、ニュースの見え方は変わります。
外国籍の人と、海外に住む人は同じ区分ではありません

今回の「外国人」は、日本以外の国・地域の国籍として届出があった人です。
海外から購入した人だけを集めた数字ではなく、永住者・特別永住者による届出も含まれています。
「外国法人」は、設立に当たって準拠した法令の国・地域が日本以外の法人です。
そのため、日本の法律で設立された会社は、外国籍の方が代表者や株主であるだけで、今回の「外国法人」に含まれるわけではありません。
国土交通省の集計上の定義
国籍、住所、法人の設立地、出資者の属性。似た話に見えて、それぞれ確認している内容が異なります。
「外国資本による取得をすべて把握した数字」と説明することも避ける必要があります。
土地取引の届出は、面積と契約内容を確認する

国土利用計画法の一般的な事後届出では、次の面積が基準になります。
| 土地の所在する区域 | 届出対象となる面積 |
|---|---|
| 市街化区域 | 2,000㎡以上 |
| 市街化区域以外の都市計画区域 | 5,000㎡以上 |
| 都市計画区域外 | 10,000㎡以上 |
対象となる売買等の契約では、原則として買主などの権利取得者が、契約締結日から起算して2週間以内に届け出ます。外国人だけに課される制度ではありません。
国土交通省「土地取引規制制度」
小分けに購入する場合も、全体の計画を見る
個々の契約面積が基準未満でも、一連の計画で取得する「一団の土地」が基準以上なら、届出が必要になる場合があります。
国土交通省「一団の土地」の説明
たとえば、事業所と隣接する駐車場の土地を、別々の売主から購入する場面です。
契約書1通ごとの面積だけで判断せず、全体でどのように使う予定かを確認します。
「引渡しが終わってから相談しよう」と考えていると、契約日を基準とする届出期限を過ぎかねません。
新潟で事業用地を探す場合も、候補地の区域と取得予定面積を、契約前に整理しておきたいところです。
今回の発表と、届出事項の改正は分けて理解する

権利取得者の国籍等が届出事項に追加されたのは2025年7月1日です。
今回の公表は、その後の半年分をまとめたもので、公表日から外国人の購入を禁止するという内容ではありません。
国土交通省発表
一方、届出制度にはその後の改正もあります。
国交省は、2026年4月1日施行の改正で、法人代表者の国籍等を届出事項に追加すると案内しています。
国土交通省・施行規則改正の案内
2025年の集計上の区分と、現在提出する届出書の記入事項は、同じ時点の情報ではありません。実際に手続をする際は、提出先が案内する最新の様式を使うことが大切です。
土地を購入することと、在留資格を得ることは別の手続

外国人経営者の相談で、特に分けて考えたいのがこの点です。
在留資格「経営・管理」は、日本で事業を経営し、又はその管理に従事する活動に対応する資格です。土地や建物を購入した事実だけで、この活動への該当性や許可要件が満たされるわけではありません。
JETRO「就労資格の種類」
仮に、海外在住の方が「日本に土地を買い、そこに事業所を設けたい」と計画しているとします。
確認したいのは、購入名義、予定する事業、本人が担う仕事、事業開始までの段取りです。
物件の確保を先行させるほど、後から計画を変える負担も大きくなります。
行政書士としては、購入できるかという相談に加えて、「その場所で、誰が、どのような事業を行うのか」を早い段階で伺いたいと考えます。
土地利用、必要な許認可、在留資格を一つの計画に並べることで、確認漏れを減らせます。
今回の0.7%だけで、個別の土地利用の適否や地域への影響までは判断できません。
全国集計はその対象範囲に沿って読み、個別案件は利用目的と手続を具体的に確認することが必要です。
外国人の方による事業用地の取得や日本での事業開始は、個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
Asocia行政書士法務事務所では、在留資格や事業に必要な許認可について、計画段階からご相談を承っております。
4.記事末尾の整理
【結論】
0.7%は2025年7~12月の対象届出件数に占める割合で、日本の土地所有全体に占める割合ではありません。土地取引の届出、土地の利用、在留資格の審査を分けて確認することが大切です。
【根拠】
国土交通省の集計結果・定義、国土利用計画法第23条に関する制度案内、2026年の施行規則改正案内、JETROの在留資格解説に基づいています。
【注意点・例外】
集計からは、小規模取引を含む外国人の取得全体や、外国資本を含む国内法人の土地所有全体はわかりません。事後届出の対象判定では、一団の土地や適用除外等も確認が必要です。所在地・土地の種類・利用目的によっては、他の法令による手続も別途確認します。本文の事業用地取得の場面は説明用の仮例です。
【出典】
一次情報・公的機関資料(確認日:2026年9月16日)
- 国土交通省「外国人・外国法人による大規模な土地取得の状況について」(2026年9月15日)
- 国土交通省「土地取引規制制度」
- 国土交通省「国土利用計画法施行規則の一部を改正する省令(令和8年国土交通省令第5号)について」
- JETRO「日本での拠点設立方法・2.4 就労資格の種類」
参考報道
- 共同通信「外国人の大規模土地取得0.7% 21道府県で68件、中国が最多」熊本日日新聞掲載(2026年9月15日19時22分)
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