育成就労の受入れ準備、日本語講習の依頼先は決まっていますか?教員確保調査から考える
「日本語の勉強は、入国するまでに済ませてもらいます」
「講習は、受入れが近づいてからお願いする予定です」
育成就労の準備を考えるとき、日本語教育をどこまで具体化しているでしょうか。
採用人数や住居の準備と同じように、誰が、いつ、どのように教えるのかも整理しておく必要があります。
2026年10月23日、入管庁は、厚生労働省と実施した日本語講習に関する調査結果を公表しました。26日には時事通信やReseEdも報道しています。
登録日本語教員の確保が、受入れ準備の課題として取り上げられています。
出入国在留管理庁
2027年4月1日の制度開始に向け、今回の調査から実務上考えておきたいことを整理します。
「35.9%が候補未定」は、どの機関の数字か

報道によれば、アンケートは10月5日から7日まで実施され、OTITのメーリングリストに登録された1,880団体のうち、監理支援機関として活動予定の348機関から回答がありました。
その中で、登録日本語教員が未確保で候補者も未定だったのは125機関、35.9%。確保済みは51機関で、ほかに確保見込みありや調整中という回答がありました。
ライブドアニュース
ここで注意したいのは、全国の監理支援機関すべてを調べた割合ではないことです。
回答した機関の準備状況を示す数字であり、「全国の35.9%が受入れできない」と読むことはできません。
入管庁の案内では、今回の調査は、必要なA1相当講習を適切に提供できる体制や教員不足等の課題を把握する目的とされています。
出入国在留管理庁
私としては、この数字だけで準備不足を責めるより、依頼先と具体的な調整を始められているかを点検するきっかけにしたいと考えています。
A1合格と、受入れ後の日本語教育を分けて考える

まず制度の基本を押さえておきましょう。
厚生労働省は、就労開始までにA1相当の試験に合格するか、A1相当講習を受講する仕組みを案内しています。未合格者に必要となるA1相当講習は100時間以上です。
mhlw.go.jp
ただし、「A1に合格させてから入国させるので、日本語講習の準備は不要」とは限りません。
さらに、3年間の育成就労の終了までにA2相当へ到達するための「A2目標講習」について、100時間以上履修できるよう必要な措置を講じることとされています。
A2相当の試験にすでに合格している場合は不要ですが、A1合格だけでこの講習も不要になるわけではありません。
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A1合格者であっても、日本語以外の科目を含む入国後講習がすべて免除されるという意味でもありません。
受入れ計画では、「就労開始までの準備」と「働きながら学ぶ計画」を分けて確認することが大切です。分野によって求める日本語水準が高く設定される場合もあるため、自社の分野の基準を併せて見てください。
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依頼先は「日本語を教えられる人」だけでは決められない

講習をお願いする際には、制度上の要件に合うかの確認が必要です。
原則となるのは、認定日本語教育機関の「就労のための課程」です。
一方、施行後5年間を目途とする当分の間の経過措置として、登録日本語教員による講習も、同時に受講する生徒が20人以下であることなど、一定の要件を満たせば認められます。
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「認定機関にしか頼めない」という理解も、「登録日本語教員が一人いれば、ほかの条件は問われない」という理解も正確ではありません。
厚生労働省は、講習の依頼先を探すための参考情報として、日本語教育機関の講習提供状況一覧を掲載しています。自社で教員を直接雇う方法だけに絞らず、外部機関への依頼も含めて検討できます。mhlw.go.jp
ただ、一覧に名前があることと、自社が希望する時期・人数で受け入れてもらえることは別の話です。
候補先が見つかったら、実際の受講枠や担当教員、講習内容まで確認しておきたいところです。
人数と入国時期を伝え、日程と費用まで具体化する

実務上、依頼先へ相談するときは、受入れ予定人数、入国・就労開始の予定、本人の日本語能力、勤務地を整理して伝えると話が進めやすくなります。
例えば、「来年から数人お願いします」では、講習側も教員や教室を確保するための条件を判断しにくいでしょう。
これは想定例ですが、同じ5人でも、一度に入国するのか、数か月に分かれるのかで、講習の組み方は変わります。
厚生労働省は、受入れ企業等に、費用負担を含め講習を受けさせるための措置を義務付けると案内しています。今回の調査公表によって、新たに生じた義務ではありません。
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見積りでは、受講料だけでなく、教材や会場、移動に関する費用をどこまで含むのかも確認しておきましょう。
企業と監理支援機関の間でも、依頼、日程調整、支払い、受講状況の確認を誰が担当するのか、役割を共有しておくことをおすすめします。
オンラインでも「受講できる環境」が必要

通学距離や勤務シフトを考えると、オンラインでの受講を検討する企業もあると思います。
新潟で受け入れる場合にも、講習先までの移動をどうするかは具体的な検討事項になります。
A1相当講習・A2目標講習はオンラインでも受講できますが、双方向で同時にコミュニケーションを取れることなど、一定の要件があります。動画教材を渡すだけで、必要な講習を実施したことにはできません。
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受講用の端末、通信環境、落ち着いて参加できる場所。教員を確保することと併せて、本人が実際に学べる条件まで考えておきたいところです。
100時間を終えた後の学びも、受入れ準備の一部

厚生労働省のモデルカリキュラムは、A2目標講習の後も、自主学習や生活・職場でのコミュニケーションを通して学び続けることを想定しています。
100時間受講すれば、目標水準への到達が保証されるという内容ではありません。
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私は、日本語教育を講習先へ依頼した後も、企業の役割は続くと考えています。
例えば、作業の説明を短く区切る、本人に内容を言い返してもらう、わからないと言いやすい雰囲気をつくる。こうした日々の工夫も、学んだ日本語を仕事で使う機会になります。
教員の確保を「人を探す作業」で終わらせず、受入れ後の生活と仕事につながる学習計画まで整える。その視点で、準備を進めていきたいところです。
育成就労による外国人材の受入れをご検討の際は、Asocia行政書士法務事務所へご相談ください。受入れ体制と申請準備、日本語講習に関する確認事項の整理をお手伝いいたします。
4.記事末尾の整理
【結論】
今回の調査は、日本語講習の提供体制を具体化する必要性を考える材料です。就労開始前のA1相当講習と、その後のA2目標講習を区別し、依頼先、担当教員、受講人数、日程、費用、学習継続の方法まで確認しておきましょう。
【根拠】
調査の掲載は入管庁の検索収録本文、機関数・割合等は報道本文で確認しています。講習の要件、経過措置、費用負担は厚生労働省の案内・基礎資料、学習継続の説明はモデルカリキュラム概要書に基づきます。企業内の調整方法は筆者の実務上の提案です。
【注意点・例外】
35.9%は、監理支援機関として活動予定と回答した348機関に関する割合です。全国全体の割合や、制度開始時点の確定状況ではありません。
分野ごとの日本語水準、本人の試験合格状況、講習方法により必要な対応は異なります。個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
【出典】
一次情報
[1]出入国在留管理庁
育成就労制度における日本語講習の提供について
調査結果の掲載を検索収録本文で確認。ページ本体と調査原本PDFは未取得です。
[2]厚生労働省
外国人育成就労制度における日本語能力向上のための取組について
[3]厚生労働省
育成就労制度の概要・関係省令等について(日本語関係抜粋版)
主にPDF5~6頁。
[4]厚生労働省
育成就労「A1相当講習」「A2目標講習」モデルカリキュラムの活用について
2026年8月31日。主にPDF1~3頁。
参考情報・報道
[5]共同通信
日本語教員確保、35%未定 育成就労、受け入れ仲介機関調査
2026年10月23日18時5分。ライブドアニュース掲載。
[6]ReseEd
育成就労の日本語教員、確保済み14.6%…教員不足が課題に
2026年10月26日17時15分。
[7]時事通信
育成就労、日本語教員不足=「未確保」4割弱―政府調査
2026年10月26日7時3分。TheNews掲載。
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