技能実習を続けられないときは?ベトナム人向け相談・実習先変更・帰国支援
「今の実習先では、もう続けられない」
「実習を中断してしまったけれど、誰に相談すればよいかわからない」
こうした状況では、制度の説明を読むこと自体が難しく感じられるかもしれません。
日本語に不安があれば、なおさらでしょう。
2026年10月23日、外国人技能実習機構(OTIT)は「お困りのベトナム人の皆様へ」という案内を掲載しました。出入国在留管理庁、厚生労働省、OTITが駐日ベトナム大使館と連携し、相談や手続の支援を案内するものです。
日本語とベトナム語の資料が用意されています。
otit.go.jp
今回の掲載日を、新しい在留資格や一律の救済制度の施行日と受け取ることはできません。
資料が示しているのは、困った状況から相談や手続につながるための道筋です。
実習先で問題があるときは、母国語で相談できる

資料では、実習先での暴行、ハラスメント、重大な法令・契約違反があった場合、やむを得ない事情による実習先変更が可能と案内しています。
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「実習先を変えたい」と思っても、何を説明すればよいかわからないこともあるでしょう。
実務上は、いつ、どこで、何があったのかを、わかる範囲で整理しておくと相談が進みやすくなります。給与明細、契約書、メッセージなど、手元にある資料も役立つ可能性があります。
ただし、証拠を集めるために危険な場所へ戻ったり、書類が全部そろうまで相談を控えたりする必要はありません。
OTITの実習先変更のページには、監理団体や会社へ変更希望を伝えるためのフォームと記載例が、多言語で掲載されています。
口頭で事情を説明しにくい場合には、こうした資料も相談の助けになります。
外国人技能実習機構
一方、相談できることと、希望する実習先への変更が直ちに決まることは別です。
具体的な事情と必要な手続を確認して進めることになります。
実習を中断した方も、相談を諦めない

今回の資料で、特に知っていただきたい部分があります。
現在は技能実習を行っておらず、実習の再開や帰国を考えている方についても、OTITで相談できると明記されています。やむを得ない事情により実習先から離れた方も含まれます。
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「会社を離れたのだから、もう相談してはいけない」と、一人で結論を出してほしくありません。
ただし、相談を受けられるという案内は、実習の再開や在留の継続を保証するものではありません。在留期限、実習を中断した経緯、現在の生活状況などによって、確認する事項は変わります。
私としては、最初から再開か帰国かの結論を急ぐより、まず本人の希望と現状を分けて整理することが大切だと考えています。「日本で実習を続けたい」という希望を聞くと同時に、在留カードや旅券の状況を確認する。その順番を丁寧に進めたいところです。
帰国を考える場合、出国命令には要件がある

元技能実習生でオーバーステイになった方に対しては、出国命令制度が紹介されています。
一定の要件を満たす方が、収容されずに帰国するための制度です。
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ただ、「自分から入管へ行けば、誰でも収容されない」と説明するのは正確ではありません。
今回の資料には、早期帰国を希望して自ら出頭すること、不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと、一定の犯罪による処罰や過去の退去強制・出国命令による出国歴に関する条件、速やかな出国の見込みなどが示されています。
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本人が「オーバーステイだけです」と考えていても、制度上どのように扱われるかは、これまでの経緯を確認しなければわかりません。
支援者も、短い聞き取りだけで適用を約束しないことが大切です。
資料では、出国命令による帰国の場合の上陸拒否期間を1年と案内しています。
ただし、1年が経過すれば必ず再入国できる、という意味ではありません。出国命令は、日本に引き続き住むための在留許可でもありません。
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帰国を希望する方には、相談を先延ばしにせず、地方入管等で制度の適用や必要な対応を確認することをおすすめします。
パスポートがない場合も、手続の確認から始める

「帰りたいけれど、パスポートをなくした」
「有効期限が切れてしまっている」
資料では、有効な旅券がない場合の臨時旅券の発給についても案内しています。オンライン申請の案内がありますが、それだけで手続が完了するわけではなく、駐日ベトナム大使館・総領事館への必要書類の持参が必要です。
失効した旅券が手元にある場合と、紛失した場合では、用意する資料も異なります。紛失の場合には、ベトナム国内の地方自治体が発行する身元証明書等が必要とされ、出頭確認書なども案内されています。
また、今回の資料には、入管に収容されている方は、この大使館・総領事館による手続支援を受けられないとの記載があります。
旅券支援の対象や進め方を、すべての方に一律に当てはめないよう注意してください。
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旅券の申請準備と入管での手続をどう進めるかは、本人の状況に応じて関係窓口へ確認する必要があります。発給までの日数や帰国日を、周囲が約束できるものでもありません。
支援する側は、本人が理解できる言葉でつなぐ

企業、監理団体、地域の支援者にとっても、今回の資料は共有しておきたい内容です。
例えば、本人が「帰りたい」と話していても、その理由が実習先での問題なのか、家族の事情なのか、在留期限への不安なのかで、確認することは違います。
これは想定例ですが、同じ言葉でも背景まで同じとは限りません。
日本語版だけを読んで結論を伝えるより、ベトナム語版も本人へ渡し、何を希望しているかを聞く。そのうえで相談窓口へつなぐ方法が、現実的だと考えます。
資料に掲載されたOTITのベトナム語相談は、次のとおりです。
| 窓口 | 案内内容 |
|---|---|
| 技能実習SOS・緊急相談専用窓口 | 0120-250-168 |
| 電話受付 | 月~金11:00~19:00、土9:00~17:00 |
| メール相談 | 資料掲載のQRコードから24時間受付 |
メールの24時間受付は、24時間いつでも回答が届くという意味ではありません。利用時には公式案内で最新の受付状況を確認してください。
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在留手続や関係機関への相談の進め方に迷う場合は、Asocia行政書士法務事務所へご相談ください。本人の希望と現在の状況を確認し、必要な手続や相談先の整理をお手伝いいたします。
4.記事末尾の整理
【結論】
実習先で問題を抱えている方や、実習を中断して再開・帰国を考えている方も、OTITへ相談できます。実習先変更、出国命令、旅券手続支援は、それぞれ条件の異なる仕組みです。相談できることと、希望する結果が保証されることを分けて考える必要があります。
【根拠】
OTITが2026年10月23日に掲載した日本語・ベトナム語資料と、実習先変更の公式案内に基づきます。相談前の状況整理や本人への説明方法は、筆者の実務上の提案です。
【注意点・例外】
出国命令の適用、実習再開、実習先変更、旅券支援の可否は、個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。相談や出頭によって一律に収容を免れる、在留が認められる、再入国できると保証するものではありません。
今回の資料に、支援の開始日や新制度の施行日は明記されていません。
【出典】
すべて一次情報です。報道記事は使用していません。
[1]外国人技能実習機構
Dành cho người Việt Nam đang gặp khó khăn(お困りのベトナム人の皆様へ)
掲載日:2026年10月23日。日本語・ベトナム語のPDFを閲覧できます。
[2]外国人技能実習機構
やむを得ない事情がある場合の実習先変更
[3]出入国在留管理庁
出国命令制度について
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