入管庁が建設・解体現場の調査に同行へ|外国人雇用で企業が確認したいこと
2026年9月21日、時事通信は、不法就労対策として、早ければ10月以降、国土交通省が所管する解体・建設現場の調査に出入国在留管理庁の職員が同行すると報じました。
環境省とのヤード対策での連携や、農林水産省と協力した啓発活動も伝えています。
時事通信の報道
建設・解体業の経営者や現場責任者にとっては、日頃の外国人雇用の確認が、現場まで行き届いているかを見直す機会です。
採用時に確認した在留資格と、今日その人が担当している仕事。その二つを結び付けて説明できるでしょうか。
入管職員の同行について、何が確認できているのか

法務省の9月11日の大臣会見では、各業法を所管する省庁等との連携を強め、行政指導等に入管職員が同行し、入管法に基づく対応を行う方向で調整していると説明されています。
背景には、不法就労を助長する側への対策を強化する方針があります。
法務省・9月11日会見
時事通信の記事では、現場のパトロールに在留カードの提示を求められる入国警備官が同行し、実態把握から行政指導や摘発につなげる狙いが示されています。
時事通信の報道
一方、開始時期は「早ければ10月以降」という報道段階です。
今回確認できた資料では、全国一律の開始日や、具体的な対象地域・調査頻度まではわかりません。記事を読んだ企業が、まず取り組めるのは、自社の雇用管理の点検です。
在留カードの確認を、仕事内容の確認につなげる

雇用前には、本人から在留カード等の提示を受け、在留資格、在留期間、就労制限、資格外活動許可の内容を確認します。
警視庁は、カードの実物確認に加え、入管庁の読取アプリや番号失効情報照会の活用も案内しています。警視庁・外国人の適正雇用
ここで大切なのは、カードの真正性と、任せる仕事の適法性を両方確認することです。
確認欄にチェックを付けた後、現場で担当業務が変わっていないかまで目を向ける必要があります。
「技術・人文知識・国際業務」は、具体的な職務で考える
建設会社が「技術・人文知識・国際業務」で外国人を雇用する場合、施工管理や設計など、専門知識を使う仕事が想定されます。国土交通省のハンドブックも、施工管理技術者、設計技術者、測量技師を例示し、技能者と同様の作業に従事させることに注意を促しています。
国土交通省・外国人建設技術者の採用・定着に向けたハンドブック
たとえば、施工管理として採用した人に、日常的に解体作業や資材運搬を主な仕事として任せている場合です。
「現場管理」という職名が付いていても、それだけで在留資格に合うとは判断できません。実際の業務、担当する時間、専門性との関係を確認する必要があります。
建設分野の「特定技能1号」は、認定内容との照合を
建設分野の特定技能1号では、国土交通省による建設特定技能受入計画の認定が必要です。
企業側の条件に加え、従事する業務区分と試験・技能実習歴との対応なども確認されます。
国土交通省・受入計画の申請手引き
受入れ後も、計画の記載事項に変更があれば、内容に応じた変更申請や届出が必要です。
新しい仕事を任せる際は、認定内容や在留資格上の業務範囲を確認しておきたいところです。
国土交通省・申請と変更手続の案内
元請・下請の間で、確認した情報をつなぐ

建設現場では、自社社員と協力会社の従業員が同じ場所で働きます。
ここで私が大切だと考えるのは、雇用する会社と、現場を管理する側との情報共有です。
たとえば、協力会社から「確認済みです」と回答を受けた場面を考えてみます。
何を、いつ、誰が確認したのか。予定している作業内容も踏まえた確認なのか。そこまで共有できれば、現場への配置を判断しやすくなります。
入場者名簿と実際の作業者を照合し、担当業務を把握する。在留資格や雇用会社に変更があったときの連絡先を決める。こうした運用を、協力会社と事前にすり合わせておくことをおすすめします。
これは、今回の報道を踏まえた実務上の提案です。
不法就労助長については、知らなかった場合でも、在留カードを確認していないなどの過失があれば処罰の対象となり得ると公的に案内されています。
警視庁・外国人の適正雇用
各社の責任は、契約関係や実際の関与によって検討が必要です。
個別事情により判断が分かれるため、専門家への確認が必要です。
担当者と現場責任者が、同じ情報を見られるように

社内点検では、最初から複雑な仕組みを作る必要はありません。
雇用契約上の業務、在留資格上の活動範囲、現場での担当作業を、一人ずつ照らし合わせるところから始めてみてください。
採用時の資料を管理している担当者と、仕事を割り振る現場責任者が、認められた業務範囲を共有する。配置を変える前に相談する相手を決める。確認した日と内容も残しておく。この手順を日常の業務に組み込むことが、行き違いを減らすと考えています。
適正に働ける範囲を会社と本人が理解していれば、外国人従業員も自分の役割を把握しやすくなります。
確認の目的や必要な資料を丁寧に説明することも、雇用管理の一部として大切にしたい点です。
Asocia行政書士法務事務所では、外国人の在留資格と業務内容の確認、建設分野の特定技能に関する手続きなどのご相談を承っております。
新たな採用や担当業務の変更を予定されている場合は、具体的な仕事内容を整理したうえでご相談ください。
4.記事末尾の整理
【結論】
入管職員の同行調査に向けた動きは、建設・解体業の外国人雇用管理を見直す機会です。在留資格と実際の業務を照合し、雇用する会社と現場の間で確認内容を共有することが大切です。
【根拠】
省庁連携と同行対応の調整方針は法務省の大臣会見、就労資格の確認と不法就労助長の注意点は警視庁の案内、建設分野の業務・受入手続は国土交通省の資料に基づきます。「早ければ10月以降」という時期や環境省・農林水産省との具体的な連携内容は、時事通信の報道として扱っています。
【注意点・例外】
具体的な調査地域・頻度や全国一律の開始日は、今回確認した資料ではわかりません。就労可否は在留資格、許可内容、実際の活動によって異なります。更新・変更申請中の場合も、申請状況を含めた個別の確認が必要です。刑事責任に関する具体的な判断は弁護士への確認が必要です。
【出典】
一次情報
- 法務省「法務大臣閣議後記者会見の概要」2026年9月11日。不法就労の摘発強化に関する質疑を参照。会見本文
- 警視庁「外国人の適正雇用について」2026年4月1日更新。在留カード確認、不法就労助長等の案内を参照。公的案内
- 国土交通省「外国人建設技術者の採用・定着に向けたハンドブック」2026年3月・第2版、本文2~3頁。ハンドブック
- 国土交通省「建設特定技能受入計画のオンライン申請について(新規)」2025年4月4日版、本文1~2頁。申請手引き
- 国土交通省「申請の手引き、様式、システム操作方法【特定技能制度(建設分野)】」。認定申請、変更申請・届出の案内を参照。手続案内
参考情報・報道
- 時事通信「不法就労対策、国交省の調査同行 来月以降、環境・農水とも協力へ―入管庁」2026年9月21日19時01分配信。報道本文
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